第38話 リュシアンが語る“魔王の真実”
影界・最深層がゆっくりと崩れ始める。
闇が薄れ、光が差し込み、空間が元の世界へと戻っていく。
ヴァルナは肩で息をしながら、リュシアンを見上げた。
「……終わった……の……?」
「いや。
“試練”は終わったが……
“物語”はまだ終わらぬ」
「えっ……?」
(お、ついに核心に触れる気だな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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リュシアンは静かにヴァルナへ歩み寄った。
「魔王ヴァルナ。
貴様は“自分自身”を超えた。
それは確かに魔王としての第一歩だ」
「……うん……!」
「だが——」
リュシアンの瞳が、深い闇のように揺れた。
「魔王とは……“世界に選ばれる存在”ではない。
“世界に拒まれる存在”だ」
「……え?」
(おい、なんか不穏なこと言い始めたぞ)
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リュシアンは続けた。
「魔王とは、世界の“均衡”を乱す者。
世界は魔王を恐れ、排除しようとする。
だからこそ、魔王は強くなければならない」
「……排除……?」
「そうだ。
魔王が弱ければ、世界そのものに飲み込まれる。
魔王が強ければ、世界を揺るがす存在となる」
「そんな……!」
(いや急にスケールが世界レベルになったな)
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リュシアンはヴァルナの杖——つまり俺を見つめた。
「その杖も……“世界に拒まれた力”だ。
だから暴走し、猫に吸い寄せられ、
時に魔王を振り回す」
「えっ……!?
猫に吸い寄せられるのって……世界のせいなの!?」
(いやそこは違う気がする)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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リュシアンは続けた。
「魔王ヴァルナ。
貴様は“弱さ”を超えた。
だが次は——」
影が揺れ、空気が震える。
「“世界そのもの”と向き合う時が来る」
「せ、世界そのもの……!?」
(いやラスボスが世界ってどういうことだよ)
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ヴァルナは震えながらも、リュシアンを見つめた。
「……私……そんな大きなものと戦えるの……?」
「戦う必要はない。
ただ、向き合えばいい」
「向き合う……?」
「世界は魔王を拒む。
だが、魔王が“世界を受け入れる”なら——
均衡は変わる」
(おお……なんか深い話になってきたな)
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リュシアンは静かに微笑んだ。
「魔王ヴァルナ。
貴様には……その資格がある」
「……!」
「だからこそ——
私は貴様を“次の魔王”として認める」
「えっ……!」
(おおおおおお!?
ついに正式に認められたぞ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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だが、リュシアンは続けた。
「だが……魔王として認められるということは——
“世界から狙われる”ということでもある」
「ひっ……!」
「王国も……魔族も……
そして“世界の理”そのものも……
貴様を排除しようと動き出すだろう」
(いや急に物騒になったな)
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ヴァルナは唇を噛んだ。
「……でも……!」
震えながらも、まっすぐ前を向く。
「私は……魔王になりたい……!
弱くても……怖くても……
前に進みたい……!」
(……お前、本当に強くなったな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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リュシアンは静かに頷いた。
「ならば——
次に来るのは“世界の使者”だ」
「せ、世界の……使者……?」
「魔王を排除するために現れる存在。
それが……“世界の守護者”」
(おい、また新キャラ出てくるのかよ)
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リュシアンは空間を裂きながら言った。
「魔王ヴァルナ。
次の戦いが……最終章だ」
「……!」
「準備しておけ。
“世界の守護者”は……すぐに来る」
そしてリュシアンは消えた。
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ヴァルナは震える手で俺を握りしめた。
「……世界の……守護者……
私……戦えるかな……」
(大丈夫だ。
お前はもう、弱さを超えた)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」




