第33話 王国筋肉部隊、魔王城に突撃
リュシアンとの激戦から数日。
ヴァルナは筋肉痛と魔力疲労でベッドに沈んでいた。
「うぅ……まだ体が痛い……
筋肉修行……地獄……」
「魔王よ!!
筋肉痛は成長の証だ!!」
「証いらないよぉぉぉ!!」
(いやバルゴの声量で痛みが倍増してるだろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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その頃、王国軍は——。
「全軍、聞け!!
魔王が筋肉で強くなっている!!」
「なんでそうなるのぉぉぉ!!」
ヴァルナの悲鳴が遠く魔王城から聞こえた気がした。
「魔力の波形が“スクワットのリズム”に一致!
地鳴りは“巨大な筋肉の動き”と判明!
これは……魔王が筋肉で覚醒している証拠!!」
「筋肉覚醒……!」
「対抗するには……こちらも筋肉を鍛えるしか……!」
「よし!!
“対魔王筋肉部隊”を結成する!!」
(いや世界が筋肉方向に進むのやめろ)
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そして数日後——。
「魔王様ぁぁぁ!!
大変です!!」
ガルドが血相を変えて駆け込んできた。
「王国軍が……!
“筋肉部隊”を率いて……魔王城に向かってます!!」
「なんでぇぇぇぇぇ!!」
(いや完全に誤解の連鎖だな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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魔王城の外では——。
「全軍、前へ!!
魔王は筋肉で強くなっている!!
我々も筋肉で対抗するのだ!!」
「おおおおおおお!!」
王国兵たちは全員、
**筋肉ムキムキの鎧(重い)**
**筋肉型の盾(重い)**
**筋肉の形をした旗(意味不明)**
を装備していた。
「うぉぉぉぉ!!
筋肉は裏切らない!!」
「筋肉こそ正義!!」
「筋肉は魔王を倒す!!」
(いや魔王城の前で何叫んでんだよ)
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魔王城の門が開き、バルゴが出てきた。
「ほう……筋肉の匂いがする……!」
「誰だお前ぇぇぇ!!」
「私はバルゴ=マッスルロード!!
魔王の筋肉師範だ!!」
「筋肉師範!?
やはり魔王は筋肉で強くなっているのか!!」
「当然だ!!
筋肉は全てを解決する!!」
「やっぱりぃぃぃ!!」
(いやバルゴが誤解を確信に変えたぞ!!)
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ヴァルナが慌てて飛び出してきた。
「違うのぉぉぉ!!
私は筋肉で強くなってないのぉぉぉ!!
魔力なのぉぉぉ!!」
「魔力も筋肉から生まれる!!」
「生まれないよぉぉぉ!!」
(いやバルゴが全部台無しにしてるな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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王国軍は完全に誤解したまま叫んだ。
「魔王が筋肉で覚醒している!!」
「筋肉師範までいる!!」
「これは……筋肉戦争だ!!」
「違うのぉぉぉぉぉ!!」
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そして——
王国筋肉部隊は、魔王城に向かって突撃を開始した。
「うぉぉぉぉぉ!!
筋肉で魔王を倒すぞぉぉぉ!!」
「やめてぇぇぇぇぇ!!」
(いやカオスすぎるだろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」




