第30話 リュシアン、本気で再戦
リュシアンが去ってから三日後。
魔王城はいつも通り、猫と筋肉と混乱に満ちていた。
「魔王様〜! 本日の闇猫様のおやつです〜!」
「魔王様! 筋肉スクワットの時間です!!」
「違うのぉぉぉ!!
私は魔王なのぉぉぉ!!」
(いやもう日常がカオスすぎるだろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ その時、空気が変わった
突然、魔王城の空気がピンと張り詰めた。
「……っ!?
この魔力……!」
ミュリエルが震える。
「魔王様……!
リュシアンが……戻ってきます!!」
(お、ついに来たな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ リュシアン、静かに再来
空間がスッと裂け、リュシアンが姿を現した。
「……魔王ヴァルナ。
約束通り、再戦に来た」
「ひっ……!」
ヴァルナは思わず一歩下がったが——
すぐに踏みとどまった。
「……逃げない……!
私……強くなったから……!」
(お前、ほんと成長したな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ リュシアン、本気モード
「……では、始めよう」
リュシアンの周囲に黒い霧が立ち込める。
「“影界展開”」
世界が一瞬で暗転した。
「ひっ……!?
な、なにこれ……!」
「私の本気だ。
この空間では、影が私の武器となる」
(いや強すぎるだろ)
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## ■ リュシアンの攻撃が始まる
「——“影縫い・連鎖”」
地面から無数の影が伸び、ヴァルナを拘束しようとする。
「くっ……!」
「魔王よ!!
筋肉で耐えろ!!」
「耐えられないよぉぉぉ!!」
(いやバルゴ黙ってろ)
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## ■ ヴァル、修行の成果を使う
「……でも……!」
ヴァルナは深呼吸し、魔力を巡らせた。
「魔力が……流れてる……
走った時みたいに……!」
(そうだ、その感覚を思い出せ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「闇の……矢!!」
バチッ。
黒い光が飛び出し、影の拘束を破った。
「……ほう」
リュシアンの目がわずかに細くなる。
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## ■ リュシアン、本気の攻撃
「では、これならどうだ」
リュシアンが指を鳴らす。
「“影狼召喚”」
影から巨大な狼が飛び出した。
「グルルルル……!」
「ひっ……!」
(いや普通に怖いな)
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## ■ ヴァル、逃げない
「……でも……!」
ヴァルナは震えながらも、俺を構えた。
「逃げたくない……!
魔王として……前に進みたい……!」
(……よし、やってみろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 魔王、成長を見せる
「闇の……矢!!」
バチッ。
黒い光が狼に命中し、影が霧散した。
「……!」
リュシアンの目が見開かれる。
「……見事だ」
「えっ……!」
「魔力の流れ……
以前とは比べ物にならぬほど安定している。
筋肉の修行も……無駄ではなかったようだ」
「筋肉は関係ないよぉぉぉ!!」
(いや半分くらいは関係あるぞ)
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## ■ リュシアン、ついに認める
「魔王ヴァルナ。
貴様は確かに“成長”している。
だが——」
「だ、だが……?」
「まだ“魔王”には遠い。
次は……私の“奥義”を見せる」
「ひぃぃぃ!!」
(いやまだ奥義あるのかよ!!)
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## ■ しかし、リュシアンは去る
「今日はここまでだ。
次は……近いうちに来る」
リュシアンは静かに空間を裂いて消えた。
「……なんか……
今までで一番まともな魔王候補だった……」
(いや基準が低すぎるんだよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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こうして、リュシアンとの“本気の再戦”は幕を閉じた。
ヴァルは初めて“猫でも筋肉でもない、本物の魔力勝負”を経験し、
魔王としての道をさらに一歩進んだのだった。




