第29話 四人目の魔王候補、乱入! 魔王の成長を試す
魔力筋トレの成果で、ヴァルナはついに“猫に吸い寄せられない魔法”を二回連続で成功させた。
魔王城は祝賀ムードに包まれていた。
「魔王様が猫以外に魔法を当てたぞー!!」
「二回連続だー!!」
「闇猫様の次に偉大な成果だー!!」
「違うのぉぉぉ!!
私が偉いのぉぉぉ!!」
(いやもう訂正無理だろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ その時、空が静かに裂けた
これまでの魔王候補たちの登場は派手だった。
雷、爆発、筋肉の咆哮など。
しかし今回は——
**静かに、空間がスッ……と裂けた。**
「……また魔王候補……?」
「魔力反応……異常に安定しています……!」
(お、今度は“まともなタイプ”か?)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 四人目の魔王候補、登場
裂け目から現れたのは——
黒いローブに身を包んだ、細身の魔族。
静かな目。
無駄な動きが一切ない。
「……我が名は——
**リュシアン=ヴェルデ**。
魔王候補の一人だ」
「なんか……強そう……というか……落ち着いてる……」
(いや今までのが騒がしすぎただけだろ)
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## ■ リュシアン、第一声から鋭い
「……魔王ヴァルナ。
貴様の魔力……以前より安定しているな」
「えっ……わ、分かるの……?」
「分かる。
魔力の流れが“走っている”」
(お、バルゴの筋肉理論がまさかの正解扱い!?)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ リュシアン、猫にも筋肉にも左右されない
「……一応聞くが。
猫はいるのか?」
「にゃあ」
「……ふむ。
問題ない。私は猫に強くも弱くもない」
(初の“普通の反応”だ!!)
「筋肉は……?」
「必要ない」
「バルゴが泣くよぉぉぉ!!」
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## ■ リュシアン、ヴァルの成長を試す
「魔王ヴァルナ。
貴様の魔力が“本物”かどうか……
私が試す」
「うぅ……!」
(お前、ここが本番だぞ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ リュシアンの魔法がヤバい
「——“影縫い”」
リュシアンが指を鳴らすと、
ヴァルナの影が地面に縫い付けられた。
「ひっ……!?
う、動けない……!」
「これは“影魔法”。
筋肉でも猫でも破れぬ」
(いやバルゴと猫を基準にするなよ)
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## ■ ヴァル、修行の成果を使う
「……でも……!」
ヴァルナは震える手で俺を握りしめた。
「魔力が……流れてる……
走った時みたいに……!」
(そうだ、その感覚を思い出せ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「闇の……矢!!」
バチッ。
黒い光が飛び出し——
影の拘束を破り、
リュシアンへ向かって一直線に飛んだ。
「……!」
リュシアンは驚いたように目を見開いた。
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## ■ リュシアン、受け止める
「……なるほど」
リュシアンは手をかざし、魔法を受け止めた。
ドガァァァァァン!!
爆風が森を揺らす。
「……悪くない」
「えっ……!」
「魔力の流れ……
以前とは比べ物にならぬほど安定している」
(おお……!
ついに“猫以外の評価”が来たぞ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ リュシアン、認める
「魔王ヴァルナ。
貴様は確かに“成長”している。
だが——」
「だ、だが……?」
「まだ“魔王”には遠い。
次は……“本気”で試す」
「ひぃぃぃ!!」
(いやまだ本気じゃなかったのかよ!!)
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## ■ そして、リュシアンは去る
「準備しておけ。
次は……近いうちに来る」
リュシアンは静かに空間を裂いて消えた。
「……なんか……
今までで一番まともな魔王候補だった……」
(いや基準が低すぎるんだよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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こうして、四人目の魔王候補リュシアンは、
ヴァルの成長を認めつつも、さらなる試練を予告して去っていった。
ヴァルは初めて“猫でも筋肉でもない、本物の魔力勝負”を経験し、
魔王としての道を一歩進んだのだった。




