第25話 魔王、初めての実戦へ
修行開始から一週間。
魔王城の訓練場では、今日もヴァルナが魔法を撃ち続けていた。
「闇の矢ぁぁぁ!!」
バチッ。
黒い光が飛び出し——
壁に当たり——
天井に当たり——
床に当たり——
柱に当たり——
「……にゃあ」
猫の頭上に落ちる。
「なんでぇぇぇぇぇ!!」
(いやもう芸術点高いレベルで猫に吸い寄せられてるな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ しかし、今日は違った
「魔王様、今日の魔法……猫に吸い寄せられるまで“七回”跳ね返りました!」
「七回!? 昨日は五回だったのに……!」
(いや成長の基準そこなのかよ)
ヴァルナは目を輝かせた。
「じゃあ……私、またちょっと強くなってる……?」
「はい。猫に吸い寄せられるまでの“猶予時間”が伸びています」
「やったぁぁぁ!!」
(いや喜ぶポイントおかしいだろ)
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## ■ その時、警報が鳴る
魔王城に緊急警報が響いた。
「魔王様! 森の奥から強力な魔力反応が接近中です!」
「えっ……また魔王候補……?」
「いえ……今回は“魔物”です!」
(お、ついに普通の敵が来たな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 魔王軍、出撃準備
「魔王様! 我々が迎撃します!」
「いえ……!」
ヴァルナは震えながらも、俺を構えた。
「私が行く……!
修行の成果……試したい……!」
(お前……本気だな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 森の中へ
ヴァルナは一人で森へ向かった。
魔王軍は心配そうに見守る。
「魔王様……大丈夫でしょうか……」
「闇猫様がついていますから……!」
「にゃあ」
(いや猫は連れてくるなよ)
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## ■ 敵、登場
森の奥から現れたのは——
巨大な狼型の魔物。
「グルルルル……!」
「ひっ……!」
(いや怖がるなよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ ヴァル、覚悟を決める
「……でも……!」
ヴァルナは震える手で俺を構えた。
「ここで逃げたら……魔王として……前に進めない……!」
(……よし、やってみろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 魔王、初めての実戦魔法
「闇の……矢!!」
バチッ。
黒い光が飛び出し——
壁も天井も床もない森の中、
まっすぐ狼へ向かって飛んだ。
「……っ!」
狼に命中。
ドガァァァァァン!!
爆発が起き、狼が吹き飛んだ。
「……えっ」
「……えっ」
(……えっ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ まさかの“猫に吸い寄せられない”成功
「や、やったぁぁぁぁぁ!!
猫に吸い寄せられなかったぁぁぁ!!」
(いやそこじゃないだろ!
敵に当たったことを喜べよ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 魔王軍、感動する
「魔王様……!」
「ついに……猫以外に魔法が当たった……!」
「これは歴史的瞬間……!」
「闇猫様の次に偉大な成果……!」
「違うのぉぉぉぉぉ!!
私が偉いのぉぉぉ!!」
(いやもう訂正無理だろ)
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## ■ そして、ヴァルは成長を実感する
「……でも……」
ヴァルナは俺をぎゅっと握った。
「私……本当に……強くなってる……?」
(ああ。間違いなく)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「……ありがとう、杖……」
(いや照れるなよ)
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こうして、ヴァルは初めて“猫に吸い寄せられない魔法”を成功させ、
魔王としての第一歩を踏み出したのだった。




