第23話 魔王、修行を始める
猫のせいで魔王として認められない現状にブチ切れたヴァルナは、
ついに“本気で強くなる”決意を固めた。
「……私、修行する!!
猫に頼らず、魔王として強くなる!!」
(いや猫に頼ってたつもりはないだろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「なんで光るのぉぉぉ!!」
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## ■ 修行その①:魔力制御の基礎
「まずは魔力制御からだな」
(いや俺の初期不良が原因なんだけどな)
ミュリエルが黒板を出して説明を始める。
「魔王様、魔力制御の基本は“呼吸”です。
深く吸って、ゆっくり吐いて……」
「すー……はー……」
「その状態で、杖に魔力を流し込みます」
「う、うん……!」
ヴァルナは集中し、俺に魔力を流し込んだ。
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「なんで光るのぉぉぉ!!」
(いや流し方が雑なんだよ)
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## ■ 修行その②:魔法の精度を上げる
「次は“狙った場所に魔法を飛ばす”練習です!」
「よし……!
今度こそ猫に吸い寄せられないように……!」
(いやそこが目標なの悲しいな)
ヴァルナは深呼吸し、杖を構えた。
「闇の……矢!!」
バチッ。
黒い光が飛び出し——
壁に当たり——
天井に当たり——
床に当たり——
柱に当たり——
最終的に——
「にゃあ」
猫の頭上にふわっと落ちて消えた。
「なんでぇぇぇぇぇぇ!!」
(いやもう芸術点高いレベルで猫に吸い寄せられてるな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ 修行その③:結界魔法の練習
「では次は結界魔法を——」
「やだぁぁぁぁ!!
どうせまた私だけ閉じ込められるもん!!」
(いや事実だけど言うなよ)
ミュリエルは優しく微笑んだ。
「大丈夫です、魔王様。
今回は“猫を遠ざける結界”を作りましょう」
「えっ……そんなのあるの……?」
「ありません。今作ります」
(いや魔術理論を即興で作るなよ)
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## ■ 実験開始
「では、魔王様。
“猫を遠ざける結界”をイメージして魔力を流してください」
「う、うん……!」
ヴァルナは集中し、魔力を流し込む。
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
黒い光が広がり——
「……あれ?」
結界ができた。
ただし。
「……なんで……猫だけ入ってくるの……?」
猫は結界をすり抜けてヴァルナの膝に乗った。
「にゃあ」
「なんでぇぇぇぇぇぇ!!」
(いや猫に好かれすぎだろ)
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## ■ 修行その④:精神修行
「最後は精神修行です」
「精神……?」
「はい。魔王としての威厳を保つためには、
猫に動じない心が必要です」
「猫に動じない……!」
(いや魔王の修行としてどうなんだよ)
ミュリエルは手を叩いた。
「では、闇猫騎士団を呼びます!」
「にゃああああああああああ!!」
「なんでぇぇぇぇぇぇ!!」
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## ■ 闇猫騎士団、修行に参加
「魔王様!
闇猫様の威光に耐える修行、開始します!」
「にゃあ」
「ひぃぃぃぃ!!
猫がいっぱい来たぁぁぁ!!」
(いや精神修行どころじゃないな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
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## ■ しかし、ヴァルは諦めない
猫に囲まれ、魔法は猫に吸い寄せられ、
結界は猫だけ通し、精神は崩壊寸前。
それでも——
「……でも……!」
ヴァルナは涙目で立ち上がった。
「私……魔王として……強くなりたい……!」
(……お前、ほんと頑張るな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「今の光り方……応援してくれてる……?」
(まあ、そういうことにしておくか)
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こうして、ヴァルの“猫に邪魔されまくる修行編”は幕を開けた。
次回、ついに修行の成果が……出るのか……?




