第89話 天剣ウルシラ
周囲は結界で覆われ現実と隔絶された。ライズは魔法陣を繰り出した。
「天剣ウルシラ」
なんだこれ。
魔法陣から天剣が生み出されたようだ。
「ずいぶんといかつい武器を出しますね」
「これをくらえば君は即死だ。天剣ウルシラは女神級の魔物5体の素材を使った混成武器。おそらく私がいた大陸のトップクラスの武器さ」
混成武器というだけあり、いかつい魔物のウロコのようなものが数種類、埋め込まれている。大きさからみるに大剣といった方が適切だろう。そんな武器を魔法陣から出して浮遊させている。
まず普通に受けたらヤバい気がする。
「とりあえず先手必勝と行きます」
俺はレベル100スキル高速移動で、ライズ様に先手攻撃をしようとした。
「まだあるよ」
次は俺の周囲に魔法陣が複数出現した。
「天壁包囲陣」
まずい、強固な壁に周囲を囲まれた。1回やってみて打撃でこれは壊すことは困難だと気付いた。
「さあ、これで終わりだ」
動きが封じられた俺にライズは天剣ウルシラを振りかざした。
「ズバッ」
剣閃が壁を切り裂く。
そして壁を通りこして剣閃が俺のところまで到達したことに気づいた。
「ぐはっ」
意識が薄くなっていたことに気づいた。
「は? あまりにもあっけなさすぎないか。これが大陸最強の力って奴か」
「だから手を貸そうか? っていったじゃない」
「お前は麗美?」
「ここは春樹君の意識空間よ。君は今生死の境をさまよっている」
「なんで俺の意識空間に俺がいるんだ」
「作戦を立てるためよ。私とあなたであいつを倒すの」
「俺一人で倒せるけど」
「あなた今さっきやられたばっかりじゃないの?」
「いや、俺はここから覚醒効果を持っている。復活もできるってことさ」
「なんでもありだわね。でも私がいれば確実にあいつを倒すことが出来る」
「どういうこと」
「難しいことじゃない。春樹君がライズの気を引いてる間に、私が美織ちゃんを葬る」
「ふざけんなよ。そんなこと俺がさせねえよ」
「じゃあ、あなたに勝てるの?」
「安心してみておけ。俺はお前みたいな卑怯な手を使わなくても、このままあいつを倒して見せる」
「あはははは、頼もしいことね。それじゃあ、やってみなさいよ」
俺は目を覚まして意識空間からでた。
「やっぱりこれじゃ終わらないか」
「残念ながらレベル100スキルには無数の復活効果が備わっているんですよ。スキルの多様性をなめないで欲しいですね」
「復活したところで戦力は変わらないさ」
再びライズは斬撃を繰り出した。
「それは対応済!」
俺はレベル100スキル斬撃を飛ばして天剣ウルシラの斬撃を無効化した。
「やるね」
「でも斬撃一つで互角ということはもうそっちに対応できる駒はないですよ」
「どういうことだい?」
「俺はこのスキルを量産できます」
「なんだって?」
斬撃と量産の2つのレベル100スキルを掛け合わたことによって無数の斬撃が生み出された。これらは全てレベル100スキルである。
「緊急テレポート」
斬撃が神八聖を覆った。
傍にあった天剣ウルシラは無数の斬撃によって跡形もなく消失する。
斬撃がやむころ、そこにライズの姿はなかった。
「どこに行った」
「次元切り」
「何?」
ライズが背後から現れると、次元切りという技を放った。
その斬撃は不意を突かれた俺に直撃した。
という錯覚を見せていた。
これはレベル100スキル「幻影」である。
その効果によりライズの攻撃は空を切った。
それから無数の魔法とスキルの押収が始まった。まさに内村礼との戦いで繰り広げた無数の手数のぶつかり合いである。
「そんなに力を手に入れて、君は何をこれ以上望むんだい」
「何って、美織を助けるだけです」
「君にはたくさん傍にいるだろ既に」
「そんなのは関係ないですよ。ただ助けるだけです」
「そうやって考えなしに行動して力でねじ伏せるか。これは理不尽なことだ」
ライズは大魔法を繰り出した。
魔力の質が変わっていく。
「知っているかい? 強大な魔法を使うには、術者の命を削るのが一番いい。だから僕には無数のストックがあるんだよ。これはストックしておきたかったんだけど、仕方がない」
「来る」
さっきまでとは魔力の出力が明らかに違うことが分かる。
これは一つの攻撃にさくスキルの数を増やさなくてはならないと思った。
このような敵と戦うのは初めてである。
内村礼相手の時は実態がない書き換えを無数のスキルで無効化した。
これは実態のない攻撃である。しかしライズが扱う魔法全て実態があるもの、これをスキルで対処するにはこちらも実態があるスキルを繰り出す必要がある。
俺のスキルは無数にあるが、1つのスキルで繰り出せる出力は決まっている。それを無数に繰り出すというのは、通常よりかなり負担が重いのである。
戦いの次元が一つ上がろうとしていた。




