第84話 不気味な転校生
「そうかよ。でも俺が今からお前を見逃す理由にはならないだろ?」
「そうだよね。でも問題ない。僕は分身だからね。これはただの挨拶で意思表示だ。君たちが次に相手をするα転生体はβの美織のように分かり合えるってね」
「多分信用されないと思うけど頑張ってな」
俺はレベル100スキルを発動して、αの転生体を消し去った。
「ああ、休みはもう終わりか」
長期休みが終わりを迎えた。
「今日は転校生を紹介するぞ。霧野海和くんだ」
「こんにちは海和です。よろしくお願いします」
おいおい、また転校生かよ。
「海和は俺の後ろの席についた」
「あの春樹様、何かあの方から異様な雰囲気を感じます」
「異様な雰囲気?」
振り向くと海和がこっちを見ている気がした。
「これから何しようか」
何を言っているんだ、こいつわ。
どことなくαに雰囲気が似ている気がしたことに気づいた。いやこいつはαの転生体だ。
「美織ちゃん? 君も転校生なんだってね。今度一緒にお茶でもどう?」
「え、私は、その」
「ちょっと待て、続きは昼にやろう」
「ふん、いいよ」
俺たちは外で話すことにした。
「おい、お前なんで俺の学校に転校してきたんだ」
「うん? 僕もβと同じ人との対話を望んでいたんだよ」
「ふざけんな。日常を崩すなよ」
「なんで僕が来たことによって日常が崩れるんだよ」
「違和感が凄いからだ」
「分かったよ。消えるとするよ」
「春樹さん呼んできました」
「ああ、里音先輩と神八聖さん、これはどういうことなんですか?」
「いや、私は何も関与してないよ」
「私も知らない」
「ほう、あなたはライズさんと里音さんですか。これは面白くなってきましたね」
「何も面白くないよ。私と美織は今日で学校をさることになっている。君の目的はここに来ても無駄だったってこと」
「でも面白くなってきてませんか」
「何が?」
「倒すべき対象が目の前に現れたってことです」
「勘弁してくれよ。ここは学校だ。君と戦う気はない」
「分かりました。では僕も神八聖さんについていくことにしましょう」
「それは却下だ。α、君は信用できない。魔法陣で転移させてもらう」
魔法陣の転移が発動した。
「ひどいなあ、僕は一般社会に溶け込みたかっただけなのに」
「なんだかこいつ不気味ですよ。全く信用できない」
「ええ、私も同意だわ。内村礼に似ていて肩がゾッとするのよ」
「懐かしいですね里音ちゃん」
「里音ちゃん!?」
里音先輩への海和の呼び方が突然変化した。
「内村礼の中でずっと見てたんですが、実は僕あなたのことが結構好きだったんです。なんていうかかっこいいっていうか、弱いのに粋がってる感じが愛でたくなるんですよね」
「ひっ」
「てめえ、里音先輩に手は出させねえぞ」
里音先輩が反射的に海和の不気味さに恐怖感じたようで、怯えていた。
これに対し俺は反射的に海和への敵意が生まれた。
「あれえ? いつもの強気な調子はどうしたんですか。ほら、何のつもりよ? とかいつも通り粋がればいいじゃないですか」
「や……やめて」
「うわあ、その表情も凄くいい……ぶっ」
「調子に乗りすぎだ」
俺はレベル100スキルで海和を吹っ飛ばした。
里音先輩は無意識に美織の力を使って俺に能力を発動させてたのだ。
「ふう、春樹君気持ちは分かるけど私が魔法陣で転移してなかったらさっきのはアウトだったよ」
「ここは」
気づけば学校から離れてビル上空に転移した。
「ありがとうございます。停学にならなくて済みました」
「停学っていうか、普通に大スクープになるからね?」
「はあ、はあ、はあ」
「里音先輩大丈夫ですか」
「ええ、ちょっと内村礼がフラッシュバックしちゃったわ」
「そんなに脅威でしたっけ?」
「春樹といた時は大丈夫だったけど、ナノの研究施設で初めて戦ったときは正直怖かった。力があったから何とか叩けたけど、今の私には結構ハードルが高いわ」
「そんなに苦手意識があったんですね」
「ええ、αの神器は内村礼に似るなんて、随分嫌な転生をしたものね。あの自分の陶酔してる感じがだめなのよ」
「確かに凄い分かるかも」
「ひどいなあ、里音ちゃん、僕がこんなことをされて、ほっとした表情をするなんて」
「これでもう相対は避けられないわよ海和君」
「もうどうでもいいやその名前も借り物だしね」
「とりあえずお前はもう敵だ。里音先輩へのその目線は味方としてみなせない」
「あのさあ」
「っ!」
次の海和の名を捨てた、α神器の転生体の表情が転生する。
「君たちさっきからなんなの? 僕から君たちにお近づきの印として下手に出てやっていたら、自分勝手にぐちぐち都合をつけやがって。敬意ってもんが足りないんじゃないかな?」




