第85話 揃うαの関係者
なんだこいついきなり怒り出した。
「ふん、おそらく理性が足りないと思われる。私のライズの大切な天才だった内村礼君の足元にも及ばないね」
「なんだと? あいつは僕が支配してやってたんだよ。こうすれば能力が拡張されて、多くの人に尊敬される、あいつの願いを俺はかなえてやったんだ」
「ふん、内村礼もこいつもおんなじもんですよ。αの関連者はどっちもろくでもない奴だな」
「なんだと? 僕のことをどいつもこいつも馬鹿にしやがって」
「覚えてるか?」
「何?」
「ここはお前の適合者を俺が倒した場所だ」
「知ってるわ! ぶっ潰す」
αの転生体は高速でこっちに突っ込んできた。
「なんだお前接近戦なんてできたのか」
「僕の能力は変わってるんでね」
αの転生体は足にオーラを纏っていた。
「くらえ!」
「くらうか!」
俺はレベル100スキルの反射ではじいた。
「痛っ」
「まだまだ」
「ぐはっ」
「ドーン」
レベル100スキルの衝撃派によってαは吹き飛んだ。
「あれ、これって転生ランクどれくらいですか神八聖さん」
「うーん、ざっとNってところだ」
「よっわ」
「くそお、くそが!」
αの転生体が起きた。
「どうしたまだやるのか」
「当たり前だろ。僕が君なんかに負けるわけないだろ」
次の瞬間α転生体の周囲の空間が歪んだ。
「ここは僕の世界だあああ!」
「うわっ」
α転生体によって周囲の空間がゲームの世界が広がった。
「なんだこれは」
真っ白な世界が広がっていた。
スキルは使えるようである。しかしみんなと隔離されてしまった」
「私もいるわ」
「よかった里音先輩がいて」
「おい内村礼、いるんだろ? 僕に手をかせよ」
「何?」
「おーう、久しい面子が集まってるね」
「お前は、内村礼」
俺が倒してゲーム世界に消えたαの適合者、内村礼がそこにはいた。
「久しいね春樹君と、β……里音さん」
「里音さんって、あなた随分好青年になったのね」
「まあ、穂美香のおかげだよ」
「穂美香もいるのか?」
「ああ、今から呼んでこようか」
「まてよ、お前僕を無視する……ぐはっ」
「僕に命令するなよ」
内村礼はαの転生体を手刀で貫いて消し飛ばした。
「どういうことよこれは」
内村礼がαの転生体を倒してしまった? あいつは敵じゃないのか?
「ああ、ごめん君たちと敵対する気はないんだ。穂美香を呼んでくるから待ってて」
「お、おう」
「何が何だか私には分からない」
「俺にもさっぱりですよ。なんで内村礼が俺たちの味方になってるんでしょうか?」
「ひとまず待つしかないわね。でもまさかあいつに助けられるなんて最悪の気分だわ」
「まあまあ、助けてもらったわけですし」
「でも思えばαの転生体は内村礼以上に質が悪かったわ。あの嘗め回すような視線と自分に酔っている感じは内村礼以上だった。それになんだか、さっきあった彼の表情からは、そういった雰囲気が消えていた」
「内村礼も改心したのかもしれませんね。とにかく穂美香も来ますし詳細を早く聞きたいところです」
「そうね」
白い瘴気に包まれた空間から、扉が開くと2人が現れた。
「やっほー、春樹君、里音ちゃん久しぶり」
「久しぶりすぎるだろ穂美香」
「本当にね」
「まっさか私も2人と再会できるとは驚きだよ。ここはゲームの世界で私と礼のユートピアだからね」
「ユートピア?」
「そうよね? 礼」
「ああ、ここには僕たちを比較するものも、蔑むものもいない最高の世界さ。いつか僕は穂美香とこうやってゆっくり2人だけで過ごしたいと思っていた」
「それは、楽しそうでなによりだな」
「私には理解できないけどね」
「あ、ごめんごめん、何も君たちに完全に理解してもらおうなんて思ってないさ。それに僕は君たちのことをもう敵視していない」
「礼、自分優位になってるわよ」
「ああ、そうだったね。紳士たるもの誠意を示さなくてはならない」
「……」
俺と里音先輩は顔を見合わせながら、内村礼と国城穂美香の2人がとても仲が良くなっていることに気づきつつ、本当にいい方向に変わったんだと思った。
「すまなかったね。別に許されるとは思ってないけど、謝罪だけしとくよ」
「……まあ、俺たちも許すことはしないけど、その言葉だけは受け取っておくよ」
「あなたの気持ちだけは受け取っておくわ。納得いかないけど」
「まあ、さっすがに無理があるよね。2人の信頼を獲得するのはこりゃ不可能だよ礼」
「そりゃあまあ、僕がしてきたことは許されるわけがないよね。だからこれから君たちにせめてもの罪滅ぼしをしようと思う」
「罪滅ぼし?」
「こっちに来てくれ」
俺たちは内村礼に奥の部屋に案内された。
「こ、これは凄い」
その部屋には無数のコンピューターがあった。




