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第71話 仲直り


「ごめんね、麗美ちゃん、春樹君、私我慢の限界見たい」


「ちょっと、どこ行くんだよ」


 由愛は俺の家を出ていった。


「はあ、これは困ったものだ」


「やったーこれ春樹君2人っきりになっちゃった」


「何を言いだすんだ、急に」


「私にはライバルがいっぱいだよもう。由愛ちゃんといると、『捕食者』スキルが私に交代をよく求めてくるの」


「そんなことがあったのか」


 麗美の深層心理は俺には分からない。しかし夜にもう一人の麗美と話した時に、二つの人格でコミュニケーションをとっていたことを聞いていた。


 この機会に麗美本人に問いただしてみるのはちょうどいい機会かもしれない。


「なあ麗美」


「なに? 春樹君」


「スキルといつもどんなことについて話してるんだ? 何かロクでもないこととかいってないよな?」


「うーん……特にこれといったやり取りはしてないよ」


「そうか、本当に危ないことしかあの麗美は言わないから、どうなってるんだろうって思っちゃったんだよね」


「確かにちょっと危険かも。でも特に悪いことはしないって言ってたよ。もし何かあったら私を守ってくれるとも言ってた。結構私はスキルに気に入られているのかもね」


「それはよかった」


「私は問題ないけど、春樹君はどう?」


「うん?」


「春樹君はスキルの私をどう思っているのか凄い気になる」


「そんなの、嫌いに決まってるじゃん」


「でも、たまにあっちの私が言ってくるの。春樹君はスキルの私を見るとツンデレ見たくなるって。それ聞いて正直羨ましかった」


「はあ、そんなわけないだろ。誰があんな奴のことを好ましく思うかよ」


「まあ、そんなことは言ってても、私は争いとか苦手だからね。みんなが本心でハッピーになれればいいと思ってる。みんなそれぞれ魅力は違うもの。だから私は、今対面している春樹君と精いっぱい楽しい会話ができれば嬉しいな」


「麗美……」


 いいやつ過ぎて、思わず感銘を受けてしまった。


 でも、そう思わせてしまった俺にも責任があるのだと思う。


「中学時代に俺がしたことは本当に過ち以外のなんでもなかった」


「中学時代か懐かしいわ、あれから私は何をしてたんだっけ? あんまり覚えてないや」


「うん? 記憶がないのはどこからなんだ?」


「えーと、私の記憶は高校に入ってから、えーと、それからどうしたんだっけ? 春樹君と再会して、一緒に楽しく遊んだんじゃなかったかしら?」


「そうか、麗美は本当に『捕食者』にのまれていた時の記憶がないんだ」


 でもそれじゃあ、捕食者についてどんな奴か知らないんじゃないか?


「それじゃあ、麗美はスキルの人格がどんな奴か知ってるか?」


「うーん、別に普通にいい子だよ。いつもニコニコしていて。私に親切にしてくれてるの。だから私はいつも仲良く話しているよ」


 あれ? でも捕食者の奴は麗美が自分の主導権を渡すように強くでてたって言ってたような。


「どうしたの?」


「うん? なんでもない」


 この件は夜にあいつに問いただす必要があるな。


「じゃーん!」


「うわっ由愛! もうお前帰ってきたのかよ」


「ええ、みんなに新人を紹介します」


「新人?」


「はい、里音ちゃんです」


「……」


 由愛に引っ張られて里音先輩が現れた。


「里音先輩! 久しぶりに俺の部屋に来てくれましたね」


「ちょっと、何か言うことあるんじゃないの」


「う、うるさいわよ」


「じゃあ、私から言っちゃうよ?」


「やめなさい! 今言うから」


「どうしたの? 2人とも」


「まあ、そんなに気を遣わなくていいよ」


「だめなの、これは私が犯した過ちだから……みんな、お願い! また私もみんなと一緒に戦いたい! だから今日から私もみんなと一緒にいる」


 里音先輩はプライドが高いのは知っている。おそらくここでそんなの当然いいに決まってると、そのまま返すのもいいが、それだけでは彼女のためにならないと思った。ここではもっと真剣に向き合うべきだ。


「俺は里音先輩の気持ちを全部分かったなんて言えません。でも真剣に色んなことを考えてくれていたんだとは思います。だからこそ俺たちのために苦悩して、たくさん悩んでくれた。自分はその気持ちを汲みたいです」


「春樹……」


「ふう、まったくお騒がせな里音ちゃんがご迷惑をおかけしました。私からもみんなに謝っておくわ」


「私は別にいいわよ。里音さんが戻ってきてくれてよかった」


「本当にそうだよ。俺たちも協力者が増えてよかったからね」


「みんな、ありがとう」


「あ、そうそう、そういえばもう一人みんなにサプライズがあります」


「サプライズ?」


「ぶるるるる!」


 誰だ? 俺の電話がかかってきた。


「ちょっと、アンタ私を忘れてたんじゃないでしょうね?」


「夏菜! 久しぶり!」


 夏菜が電話してきた。

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