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第70話 能力リンク

「接続のβ、遠くにいる親しい存在との親和性を極限まで高めてリンクさせる力」


 美織の体は青い光包まれて、別人格のような機械的な声で能力発動の合図を発した。


「私もまだ戦えるみたいみんな」


「しねえええええ!」


「あ、やべえ、これ死んだわ」


「バンッ」


「な、なんだと」


「いや、こっちも驚きなんだけど」


 我間雄二の攻撃は俺のレベル100スキル、緊急防御が発動して、直撃時に打撃が静止した。


「え? なんで俺のスキルが発動できるようになってるの?」


「じゃーん、どう感覚リンクの感触は春樹氏」


「お、由愛の声が頭の中に入ってくる」


「どうやら里音ちゃんがやってくれたみたい。今彼女は美織ちゃんを通じて私の力を一時的に里音ちゃんに移すことが出来てるみたい。これが美織ちゃんの能力みたいね」


「なるほど、だから能力が使えるようになったのか」


「そういうことだわね。後はよろしくね」


「ああ、任せとけ」


 由愛のリンクが切れた。


「なんだよその力は。攻撃があたらないじゃないか」


「これはスキルだよ」


「スキルなら俺も使えるぜ」


「うっ体が動かない」


「これが俺の静止スキルだよ」


 俺は我間雄二の能力で動きを封じられた。


 という演技を今している。我間雄二の能力は、俺のレベル100スキル『躍動』によって、上書きされて、普通に動けるのである。


「動けなくなった敵を、一方的に叩きのめす。これが俺の能力だよ」


「いや残念ながら動けるんだ」


「何? ぐはっ」


 俺は我間雄二を思いっきり殴り飛ばした。


「ふう、これで終わりと」


「あ、が、が」


 我間雄二は気絶した。正直内村礼ほどの実力はなかった。


 次の瞬間、我間雄二の体は消滅した。


「す、凄い」


「うーん、あんまり手ごたえがなかったかな。本当にあいつはγの神器だったのか?」


「あなたが強すぎたんじゃないの?」


「里音先輩大丈夫ですか?」


「……」


「里音先輩?」


「ごめんなさい。結局私はみんなの元へ戻ってきてしまったわ」


「何を言ってるんですか? 俺は戻ってきて欲しかったです」


「私なんて、いない方がいい存在なのよ」


「あーあ、悪い癖が出ちゃってるね」


「由愛?」


 由愛への美織のリンクはまだ切れてなかったようだ。


「里音ちゃんて、ナノの実験施設にいた時からずっと、精神の浮き沈み激しかったよね。本当に見てて疲れるのよ」


「分かってるわよ、そんなこと。私は一時春樹のことを拒んでしまったわ。そんな私がここにいる資格はないのよ」


「何それ、折角力を手に入れたのに、それを使うのを拒むの?」


「力って言っても美織さんを通じて由愛の力を一時的に接続するだけでしょ。こんな力は由愛がいたら無意味じゃない」


「でも私がいない間は十分使えるでしょ」


「そんな程度じゃ、一緒にいる資格はないのよ」


「はあ、自分へのハードル高すぎでしょ。それに本人はそんなことは思ってないはずだよ? ねえ怖いの? 春樹氏に直接聞いて拒まれることが怖いんでしょ里音ちゃん」


「ああもうむかつく、うるさいわね」


「ひえ」


 里音先輩が怒ったので、由愛がビビった。


「春樹、私はあなたの傍にいていいの?」


「当たり前じゃないですか。この時をずっと待っていました。絶対に何かあると思ってたんですよ。隠された力みたいなやつが。やっぱり俺たちには里音先輩の力が必要みたいです」


「あ、ありがとう」


 俺は里音先輩に手を差し伸べた。里音先輩はその手を取って微笑んだのだった。


「君たち、見事だったよ。これで残す神器はαとΩだけとなった」


 神八聖が現れた。


「本当にさっきので倒せたんですかね。あまりにもγは弱すぎたと思うのですが」


「それは君が強すぎたんじゃないか?」


「やっぱりそうなんですかね。でもさっきの奴が世界を滅す力があるとはどうも思えないんですよね。まだ内村礼の方が強かったというか」


「それはそうでしょ? 内村礼はαとΩの2つの神器の力を完璧に使いこなしていたからね。そう簡単には勝てないだろう」


「はあ、じゃあ本当にさっきのはγだったんですね」


「ああ、あと少しだ」


「ああ、美織さんはちょっと私と一緒に来てくれるかな。話があるんだ」


「え、私? ハイ分かりました」


 そういうと神八聖は帰っていった。


「里音先輩は今日どうします?」


「私は普段通りで行くわ。由愛がむかつくから会いたくないし」


「分かりました。また明日学校であいましょう」


「ええ」


 里音先輩は学校での強力な戦力担当になったはずだ。







「春樹君おかえりー」


「よう麗美」


「γの神器が学校に現れたんだって? 大変だったね」


「ああ、結構強かったよ」


「嘘つけ―! 瞬殺したくせに」


「しゅ、しゅんさつー? 本当に言ってるのそれ?」


「ああ、なんか、弱かった」


「凄おー、お祝いに私がまた手料理を振舞って上がるわ」


「ありがとう」


「里音ちゃんはどうしたの」


「ああ、なんか由愛がむかつくって言って、家に帰っちゃった」


「何それ? 私がむかつくんだけど。ちょっと里音ちゃんの家訪ねてくる」


「は? おい、お前俺たちから離れるのかよ」


「じゃあ電話にするわ」


 由愛は里音先輩に電話をした。


「ブルルルル」


「あ、もしもし里音ちゃん?」


「何?」


「私がむかつくってどういうことよ!」


「そのままの意味よ。あなたデリカシーがなさすぎ」


「なんですって。もう許さないからね」


「ガチャっ」


 由愛の電話が切られた音がした。


 同時に由愛の顔は真っ赤になっていた。


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