第68話 学校の襲撃者
「これが私の知っている美織さんについての全てだね」
「じゃあ、私、本当はそのβという人物だったんですね」
「さっすがβ! 私が長年コミュニケーションをとっていただけのことはあるわね」
「すっごーい話、新しい人として転生するって神器の力は凄いわ」
「流石女神級の魔物から生まれた神器と呼ばれるだけのことはあるよな。しかしβが再転生したのが今の美織となると、俺たちにどうしろというんだ」
「βは彼女を完全な新しい一人の少女として見て欲しいと言っていたよ。だからよくしてやっていてくれ。それに美織さんは特に深いことは考えなくていい。ただ思うままの高校生活を過ごしてくれ」
「わ、分かりました」
美織の記憶がない理由が判明した。彼女にはおそらく未知の力があるのだろうが、それを引き出すためのコミュニケーションというわけか。
「しかしライズってどうなったんですか? 羅琉さんが神八聖さんに自宅にずっといるってことは復活とかするのかしら?」
「うーん、鋭いところを突くね由愛ちゃん。ただ私の気持ちは変わらないよ。私はあくまで普通の人としての生活を謳歌したいからね」
「そういうことだ、ライズ復活はだからないな」
「なるほどね、羅琉さんがライズ様を引きずってるのはそしたら迷惑じゃない?」
「別にそんなことは気にしないよ。どちらも私だ。異世界のライズ、現実の神八聖、好きな方で呼ぶといい」
「ふーん、じゃあいいわ。そろそろ帰るわよみんな」
「お、おう」
「今日はありがとうございました!」
「じゃあ、美織をよろしく頼むね」
「皆さん今日はありがとうございました。私はそろそろ自宅に帰ります」
「またねー」
神八聖の自宅を去り、美織を見送った俺たちは自宅に戻った。
「なんだったんだ?」
「とりあえず美織ちゃんのことも分かったし、彼女の力を引き出すのは春樹氏の腕にかかってるわけだ」
「はあ、これはまたやることが増えたよ」
「そもそも他の神器はいつ出現するのだろうか」
「こればかりは分からないから、いつでも備えれるようにしたいね」
「そうだな」
「おはようございます春樹様」
「ああ、おはよう美織さん」
昨日のこともあり美織はかなり打ち解けたようである。
しかしクラスの人気者とこんなに親しくしていいものだろうか。
視線を感じる気がしなくもない。
「おい流石春樹だぜ! 美織ちゃんも攻略完了だなんてな」
「何いってんだよ、友都」
「すまんすまん、今回も応援してるぜ」
「はあ、ありがとうね」
友都はいつも陰ながら応援してくれるから、いいやつである。
「春樹様、今回のお昼はどこに行きましょうか」
「え? 食堂に行く?」
「はいそうしましょう」
「美織さんはあれから何か変化とかあった?」
「いえ特に変化はありませんね。私自身皆様に思うように行動するべきと言ってもらえたので、あまり深くは考えないようにしているんです。私の中には何か大きな力が眠っている、それを知ったうえで、私は普段通り過ごそうと思います」
「それはいい心がけだね」
美織と一緒に話していると。校門が何やら騒がしいことに気づいた。
「な、何者だ! お前わ!」
「なんだ?」
「校門に不審者が出たみたいだぜ」
「マジかよおもしれえ」
「不審者……」
周囲の生徒が噂を聞いて騒がしくなってきた。
「なんでこのタイミングで不審者が……」
「緊急避難をします。校門に不審者が侵入しました。全校生徒は先生の指示に従って、直ちに避難してください」
「これは大事になってきたな」
「私たちも非難しましょう」
「うん」
「なんだ貴様わ!」
「俺か? 俺は我間雄二っていうものだ。ちょっと俺の仲間に用があってね」
「仲間? 誰のことだ」
「βだよ。βを早くだせ」
「そんな名前の人物はうちにはいない」
「そうかよ。じゃあ止まれ」
「うっ、体が動かない」
「俺の能力は抑制だ。γの神器の我間雄二、今からこの学校は俺のゲーム空間に包まれる」
「何をばかなことを……はっ」
次の瞬間学校がゲーム空間に包まれた。
こ、これはゲームの具現化?
一瞬で学校はファンタジー世界の情景に包まれた。




