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第60話 ゲーム再開

「ら、ライズって羅琉さんが言ってた人? もしかして死体が動いてる?」


「は、ははは、そんなわけがないだろ。俺たちをからかうのもたいがいにしてくれよ」


「春樹氏と麗美氏、どうやら本物みたいだよ。私が感じた未来の予感ではここが転換点だと思ってる」


「本当に?」


 まさか本当にライズ本人が俺たちに話しかけているのか? これは本当のことだとはにわかに信じがたい。


「理解が速い人物がいて何よりだよ。まずは私の話を聞いてくれないかな? ちょうどこの席が空いてるしね」


「え?」


 さっきまで里音先輩が座っていた席が空いていた。


「君たちはプログラムウイルスの戦いの末、成果を手にした選ばれた3人だ。私の話を聞いて欲しい。まずは結末からいうとこの世界はまもなく滅びることになる」


「何を言っているんですかあなたは?」


「私もさっぱり分かんない」


「???」


「ごめん流石に話が飛躍しすぎたみたいだ。どこから説明しようかね、私は転移体として異世界から来たんだよ。そこでこちらの世界で持ち込んだ4つの神器が間もなく目覚めようとしているんだ」


「うんうん、さっぱり分かんない」


「麗美はあんまり考えなくていいぞ」


「私はちょっと分かるわ。これは私たちがゲーム具現化させていたプログラムウイルスの話、それは異世界から来た存在である転生体から生まれていた」


「ほーう、君は話が分かるみたいだね。理解されないのではないかと思って冷や冷やしたよ」


「でも4つの神器というのは初耳だわ」


「4つの神器とはα、β、γ、Ωの女神級の魔物のドロップ素材さ。ああこれはこちらの異世界の話ね。君たちが知っているプログラムウイルスはこの神器を培養して電子化したものだ」


「やっぱり全部ライズが元凶じゃないですか。ロクなことしないなこの組織」


「でも結果的には君たちのような能力者を生み出すことができた。これで私の成果がでたといえる」


「その神器が目覚めたらどうなるんですか? 」


「そうだね。簡単に言うと君たちが戦っていた内村礼と同じ思想でより強い存在が4人世に放たれることになる。そうなったら後は分かるだろ? 全部がゲームの世界に再び包まれるんだ」


「なんで神器が内村礼?」


「神器は女神級の魔物の意思が宿り、その適応力によって高確率で人の知能と姿を手に入れるだろうね。そして内村礼はウイルスプログラムの本能に従って行動していた。だからこの例えが適任だよ」


「ほーう、あの時礼が4人ね」


「終わりじゃん!」


「おい由愛、はっきりいうなよ」


「うふふ、ごめーん。でも私全部あの戦いをダンジョン内の精神世界で見てたからさ、春樹君はαと結構互角だったよね」


「うーん、確かにそうだったような」


「あははは、そういうわけで世界はもう終わりさ、後は頼んだよ」


「は?」


「ははは、冗談さ、転生体の力は未知さ、強いかもしれないし弱いかもしれない、まだ対応策はあるさ」


「ちょっと待てよ、全部アンタが神器を現実に持ち込んだのが原因じゃないか」


「ああ、これはもう仕方がなかったんだよ。そうか私が秘伝書を持ち去ったから君たちは羅琉から何も知らされてないのか。それじゃあこれを渡しておくよ」


「え、秘伝書、こんな大事なものをもらっていいんですか?」


「君たちは既に私にとっての最重要人だからね。かまないよ」


「ちょっと待って、そもそもなんでライズ様が生きてるの? 本当に遺体が歩き出しちゃった?」


「それもそうだ」


「正確には寿命で死んでないね。私は現実世界では今は神八聖として普通の一般人として過ごしている。でも封印の間で君たちがそこにあったとしていた遺体は本物だよ」


「は? どういうことだ」


「私のちょっとした能力でね。神八聖としての体を無数に持っているんだ。この複製体を作るのに秘伝書と遺体がいたから持って帰ったんだけど、秘伝書はもう用済みかな」


「アンタもたいがい人外じゃないか」


「今の私には戦闘力なんてないさ、ただ寿命が長いだけ。まあこれ以上は知識不足で話しても意味ないから秘伝書を先ずは見ておいてくれ。ああ文字は今だと羅琉しか読めないから彼女のところに問い合わせてみてね。さよなら」


 神八聖はその場を立ち去った。


「なんだったんだいったい」


「ともかく羅琉さんに秘伝書を明日解読してもらいましょう」


「ああ」


 俺たちはまたとんでもないゲームの脅威に巻き込まれたようだ。これはゲーム再開と言うべきか。







「由愛?」


 夜になった。今の拠点は俺の家だ。由愛は寝ているようだ。


「いったいこれから俺たちはどうなってしまうんだろう?」


「知らなーい、なるようにしてなるんじゃないの?」


「麗美、今はどっちの麗美だ」


「ふふふ、さあ今の私はどっちの麗美でしょう」

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