第58話 大都会デート
「お初にお目にかかります里音さん、あなたのことは穂美香様との戦いの記録から把握させてもらっています」
「あなたは?」
「私は解体されたライズで最後にNo1を務めていた羅琉といいます。今回はこの3方に用があってこのような場所に同行してもらいました」
「そう、私は対象外だったってわけ」
「ええ、まあそういうことになります。穂美香様との縁もありますので、帰りは3方と一緒に私が車を出しますが」
「ふん、結構よ。私は電車で帰るわ」
「ちょっと、ちょっと! 一緒に帰んないのかよ」
「べ、別に好きにしていいでしょ?」
「ああ、もしかして里音ちゃんやきもち焼いてるんじゃない?」
「由愛、いい加減にしなさい!」
「うわあ鬼が来たああああ!」
「おいおい、どこ行くんだよ2人とも」
羅琉の車を里音先輩から逃げた由愛は離れていった。
「うふふふ、面白くなってきた! 私たちも2人を追いましょ!」
「ちょっ、麗美! 強く引っ張りすぎなんだが」
俺は麗美に手を強く引っ張られた。
「すいません羅流さん、そういうことみたいです」
「はあ、行ってらっしゃいませ。あ、これ忘れずに」
「うん?」
羅琉はカードをはじいて俺の元に飛ばしてきてきた。それを俺はキャッチした。
「私の名刺です。何かあれば私に連絡をください。穂美香さんの恩に銘じていつでも協力します」
「ありがとう! そうさせてもらう! 痛っ」
俺は麗美に引っ張られながら、羅琉さんの元を去ったのだった。
「おい、ここはどこだよ」
「わっかんなーい、私都会初めてだから」
大都会の真っただ中の人込みの中で、田舎者の麗美と俺は途方に暮れていた。
「ブルルルルル」
「おっ由愛からだ」
「もしもし春樹氏、私里音ちゃんに捕まっちゃった。先に家に帰っててね」
「いや麗美に連れられて俺今お前らを追っているんだけど」
「えええ? そうなの。そしたら合流したいわね。いててっ、痛い里音ちゃん」
「私に変わりなさい。春樹、私たちは今中央エリアのファミレスにいるわ。そこで12時に落ちあいましょ」
「はい、分かりました」
「ふーん、2人とも楽しそうだね」
「そうだな、幸い12時まで時間が結構空いてる」
「せっかくだから一緒に買い物に行かない?」
「いいねそれ」
「やったね、それにやっと2人っきりになれたね」
「ああ、確かに久しぶりかも」
「やっと私にもチャンス到来ってところかしら?」
「何言ってんだよ」
「だって春樹君の傍にはいつも夏菜ちゃんや里音さんがいたんだものね」
「そうか?」
そんな気がしなくもない。
「じゃあ、先ずは服でも見に行こうか」
「ああ」
「何これ高すぎ……高校生の私のお小遣いが吹っ飛ぶんですけど」
「ふーん、まあ買えないってほどの値段でもないけどな」
「あああ! でたあ、またそうやって親の金の力使うんでしょ?」
「よく覚えてんな」
俺たちは、中学時代によく一緒に買い物に行っていた。その時、ゲームセンターではよく俺が麗美におごっていたことがあったわけだ。
「あの時はお世話になったけど、流石高校生にまでなって春樹君にお世話になるわけにはいかないわ。それに自分で稼いだお金で買うものにこそ価値があるってものよ」
「そりゃあそうだ」
「うっそーお言葉に甘えて服を春樹君におごってもらっちゃいます―」
「なんだ、そりゃあああ!」
俺の財布は麗美のコーデで薄くなった。
「どう似合ってる?」
「はあ、凄く綺麗だ」
「これが都会観光って奴でしょ! 制服はもう飽き飽き」
「俺は制服も悪くないと思うぜ」
「もーう、直ぐ、そういうこと言うんだから」
「いいじゃねえかよ、そろそろ12時になるぜ」
「じゃあ行きますか!」
「まったく里音ちゃんったら直ぐそうやって怒るんだから」
「あなたが、先に喧嘩を売ってきたんでしょ?」
「いやでも由愛を追う、里音先輩の顔は超怖かったっすよ。痛っ」
俺は里音先輩に足を踏まれた。
「はあ、そもそもなんで麗美ちゃんは私服なのよ」
「ええ、今日は平日ですよ」
「でもさっきまで制服だったじゃないの?」
「これは春樹君に買ってもらったんですよ」
「はあ、あなた自分の服くらい自分で買いなさいよ」
「それもそうだよね! でも春樹君に折角買ってもらったんだから大切にしないと!」
「あれえ? もしかして里音ちゃんは麗美ちゃんに嫉妬してるんですか?」
「由愛はもう黙りなさい!」
「ごめんさい」
由愛は里音先輩に睨まれて苦笑いをした。
「それで、事情は由愛から全部聞いたわよ。また何か不穏なことが起きるみたいじゃないの」
「そうなんですよ」




