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8/10

銀杏


秋晴れの空のもと、枯れ草混じりの雑草の上を息を切らせて必死に走る。


「ママー!こっち!!はやくー!!」

「待って!一人で行かないで!そんな、はやく走れな……ヒィ……」

「しょーがないなー!ほら、手つなご!」

「ふー……、ありがと……」


自分の体力の無さが恨めしい。弾む息をなんとか整え、娘と手をつなぐ。



昨日、保育園から帰ってきていの一番に『黄色!黄色がすごいの!今行くのー!』と謎の主張をされた。興奮する娘をなだめ詳細を聞き出すと、遠足で行った公園の木が紅葉していたらしい。聞き出せた時点で外は日もどっぷりと暮れていたため、翌日に見に行くこととなったのだ。



起伏に富んだ山の公園を歩く。涼しくなったとはいえ、日差しがあるから身体は燃えるように熱い。額にたらりと汗が流れた。繋いでる手も汗ばんで滑るから離したいんだけど、離せば弾丸ロケットのように飛び出すだろうから、しっかりと繋ぎ直す。


「ほら、ママ!あれ!見て!」

「え?どれ?」


山道しんどい、と思いながら歩いていたためか、足元しか見ていなかった。娘に声をかけられてようやく顔を上げると、鮮烈な黄色が目に飛び込んできた。


舞台役者のように、堂々と真っすぐに伸びた高木(こうぼく)は、鮮麗(せんれい)な鬱金色(うこんいろ)を纏って私たちを出迎えてくれた。風がサァっと抜ければ、はらりはらりと扇型の葉を足元へ散らす。


大きな銀杏(いちょう)の木だ。


「すご……」

「ね!黄色でしょ!」

「うん、そうだねぇ」


ほんとに黄色だった。これは、誰かに見せたくなる。娘が急かすわけだ。


その本人は、私の手が緩んだ隙に黄色の絨毯にダイブしていた。葉っぱを小さな腕いっぱいにかき集めている。


「こうやって、とう!!」

「おお」


ぶわり、と落ち葉が舞い散る。それを見ていた他の子の歓声が高空(たかぞら)に響き渡った。


うん、お散歩も悪くない。今度体力つけるかな。




【創作メモ】

本文執筆:作者

AI利用:なし

辞書利用:あり

時速746字

今回の辞書ワードは「高木」「鮮麗」「鬱金色」「高空」の四つ。

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― 新着の感想 ―
わぁ〜! たどり着くまで大変だったけども……満開の銀杏の大木が目に浮かぶようです(*^^*)♪ 子供ってもう何かをしたい時、全力ですもんね♪追いつけないのわかるーww 銀杏の葉っぱを、とうっ!w そ…
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