書道
『墨は自分でするのが道理というものだ』と先生が口酸っぱく言ってたから、ひたすらに硯の上で墨を磨る
しゅっ、しゅっ、しゅっ。
墨の匂いが立ちのぼる。
『中国産の、ちゃんとした石でできた硯を選ぶんだぞ。そうすれば、墨の粒子が揃った伸びの良い墨汁ができる』って厳しい顔で言ってもいたなぁ。
しゅっ、しゅっ、しゅっ。
水がとろみを帯びてきた。……めんど『自分の使う道具を用意できて、初めてスタートラインに立てるんだ』あ、はい。天国から眼光鋭くこっち見ないでください。
しゅっ、しゅっ、しゅっ。
ことり。
……漆黒の墨汁、20ml完成です。
じゃあ、後は墨磨りマシーンにお任せします。
え?自分で道具を用意するのがスタートライン?
いやいや、畳2畳分サイズを書くには、これだけじゃ全く足りないのよ。二回分練習したら、一時間の成果が無くなるわ。梅干し先生も容認してた事だし、これは使って良いのです。
……まあ、本当に面倒になったら墨汁使うんだけど。
さて、墨も準備できた事だし、展覧会の作品を練習しますかぁ。今日は休日だから、半日みっちり集中できる貴重な日。頑張るぞ。
全紙を四枚繋げたものに、はじめの一筆を置いた。隷書はじっくりじわじわ書くのが一番のコツなんだ。
梅干し先生、天国でもしかめっ面で書道教室してんのかなぁ?あれで子供の面倒見が良いとか顔面詐欺だと思うんだよね。いや、お世話になったけれども。
先生、こちらは元気ですよ。
お加減はいかがでしょうか?
『書に集中しなさい。……こちらは元気だ』
はーい。
【創作メモ】
本文執筆:作者
AI利用:情報収集
辞書利用:あり
今回の辞書ワードは「漆黒」の一つ。




