焼き芋
※官能的な表現があります(*´∀`)
なお、焼き芋です。
『いし やーきいもー』の声に、昼寝で微睡んでいた私はガバッと体を起こした。鞄をひっくり返して財布を見つけ出し、ポケットにねじ込む。玄関へと滑り込めば、旦那の大きな靴を足に引っ掛け、寒風の吹く外へ飛び出した。
紐のスニーカーなぞ悠長に履いてられない。急がなくては、意外と速度の乗っている焼き芋の屋台は居なくなってしまうのだ。
☆
胸に新聞紙に包まれた戦利品を抱えて、足取り軽く家路につく。隙間からは、『甘いぞ!』と暴力的なまでに主張する湯気が細く上がっていた。火傷しそうにアツアツなところもまた嬉しい。
きっちりと旦那の靴を元の場所に揃えて戻し、手洗い、うがいを済ませる。
さあ、準備は万端だ。
まずは、熱く湿り気を帯びた新聞紙を丁寧に広げる。中から出てきた濃紫のさつまいもは、所々を蜜で黒く濡らし、香ばしい皮目を晒していた。
魅惑的な香りに、喉が鳴る。
堪らず持ち上げれば、容赦のない熱量が指先を灼いた。熱さに身悶えしながらも、先端から壊れものを扱うように皮を剥く。
現れたのは、息を呑むほどに色鮮やかな、ねっとりと光る黄金色の果肉だった。我慢に耐えかねたのか、とろりと蜜を溢していた。
「ああ、素敵……」
胸が甘く痺れるような感覚に陥る。ほぅ、と吐息が漏れた。まだだ。今、欲望に負ければ私の口の中は熱さに蹂躙されてしまう。三日間後悔したことを思い出せ。
ようやく湯気が収まったことを確認し、万感の思いを込めて齧り付く。
口に含んだ瞬間、それは噛む間さえ与えず、熱い塊のまま舌の上でどろりと融解した。歯を包み込み、粘膜にねっとりと絡みつく甘み。
「んっ……。あはぁ……」
私はその濃厚な熱に溺れ、喉を焼かれながら、夢中になって嚥下を繰り返した。
☆
「はっ」
気づくと、三本買ってきていた焼き芋は跡形もなくなり、私の腹を温める懐炉となっていた。
やべぇ、夕飯入らないかも。
でも超満足。
【創作メモ】
本文執筆:作者
AI利用:情報収集・アイデア出しの補助
辞書利用:あり
今回の辞書ワードは「濃紫」の一つ。




