第3夜
⑦音読実験
文章を読む。声に出す。音にする。
誰かが文章として書いた文字と声に出した文字は本当は別物だ。
必ず書いた人の意図とはズレがでる。
知識も違えばコンディションも違う。
意味は知識が与える。
そもそも本人にしても本心を完全には文字にできない。
人間が用意したわけでない、世界に最初からある本当の言葉というのはあるのか?
私は実験をした。
意味のない文字を音読し続ける。
稀にだが返事がある。
「訳がわからない」
そう言われた。こちらはあちらの言葉を知らず、あちらはこちらの言葉をしっている。文字の意味の揺らぎまでも。私はそれが怖い。
⑧虫の声
声を口で出す必要はない。
木の枝の広がりは言葉かもしれない。
虫の羽の振動は虫の声かもしれない。
「そうだよ」
私のペットのノコギリクワガタはそう答えた。
⑨幽霊としゃべる
マンガ等のしゃべる幽霊はいかがなものだろう。
ご都合主義すぎやしないだろうか。
次元が違うはずであり、未練という感情を楔にこの世にとどまる存在が未練と関係ない事を喋る
「そんなものもは幽霊に対する冒涜じゃないか」
私はそうつぶやいた。
そんな私の前には”私たちにも喋らせろ”というプラカードを持った女の幽霊がいた。寄席前に死んだ噺家の霊だろうか?




