ビリヤード台
聞いた話では……いや、違う。これは連瑀辰本人が言っていたことだ。
彼女は中学、高校の頃から、この薄暗く湿った路地裏に隠れるように存在する、バイク用のガレージにしか見えないのに、なぜかコンクリートの階段が敷き詰められた地下室へよく出入りしていたらしい。
「最初はビリヤード場だった。それから大型ゲーム筐体に占領されて、しばらくしたらネットカフェになった。その後、また最初のビリヤード場に戻ったの。」
彼女はかつて、そう説明したことがある。
もっとも、ビリヤードをする人間も、ゲーム筐体に座る人間も、ネットカフェに入り浸る人間も、ほとんど同じ種類の人間だった。
同じ顔ぶれとは限らない。
けれど、おそらく同じ種類の人間。
時間と、体力と、少しばかりの余った金を、どこに使えばいいのかわからない人たち。
そして、異性が隣にいるだけで、財布の紐が緩くなる人たち。
最初、連瑀辰もただ中学の同級生についてきてゲームをしていただけだった。
その頃の店内は、半分がビリヤード場、もう半分が大型ゲーム機だったという。ゲーム機側はほとんど中高生で、ビリヤード側は大学生の縄張りだった。
ネットカフェが流行し始めると、ゲーム機もビリヤード台も少しずつ隅へ追いやられていった。
けれど、家庭用ネット回線や学生寮のネット環境が急速に整備されるにつれて、かつて学区周辺の住宅街に雨後の筍のように増えたネットカフェは次々と姿を消した。
もちろん、突然公布された「学校から半径二百メートル以内でのネットカフェ営業禁止」という法律も無関係ではない。
……とはいえ。
看板さえ出さず、全員が口を閉ざしていれば、この地下室に何があるのか誰にもわからない。
この空間で何をしていようと自由だ。
誰も語らなければ、「聞いた話」は生まれない。
誰も見なければ、それは「存在しない」。
連瑀辰はすぐに同級生の男子たちに飽き、高校生たちの輪に溶け込んでいった。なにしろ、同年代の男子の幼稚さに耐えられない女子は多い。そして男子という生き物は、自分より年下の女の子がそばにいるだけで、少し張り切ってしまうものだ。
最初は、ゲームに勝ったとき、隣で応援していた彼女にジュースや小さなお菓子を奢る程度だった。やがてオンラインゲームの対戦で、「彼女が隣にいるプレイヤーは良い成績を出す」という噂が広がった──実際はただ、顔立ちが整っていて声も可愛い年下の女の子に、自分が画面の中で活躍する「勇姿」を見てもらいたかっただけなのだろう。
そうしていつしか、客たちはこぞって「幸運の女神」に来てもらおうとするようになった。
方法は簡単だった。
店長からより多く利用時間を買った者が、連瑀辰により長く「応援」してもらえる。後で店長は連瑀辰に少しばかりの「お小遣い」を渡した。
その日の客入りにもよるが、ネットカフェの全盛期には、一日千、二千元くらい珍しくなかった。祝日には彼女に紅包まで渡していた。
それが、連瑀辰にとって最初の「バイト」だった。
そしてゲーム機もネットカフェも相次いで衰退した後、店長は昔の商売へ戻った。
長年封印されていたビリヤード台を、もう一度並べ直したのだ。
当時ゲームに夢中だった少年たちは、今では次々と大学を卒業し、社会へ出ていた。毎日仕事で向き合わなければならないパソコン画面より、ブルーライトのないビリヤード台の方が、むしろ一部の人間にとって主要な娯楽になった。……あるいは、少し気取った趣味と言うべきか。
昔は壁際に並んでいた、自分で飲み物を買うための自動販売機も撤去され、代わりに簡素な小さなバーカウンターが置かれた。
酒。
煙草。
コンドーム。
客がカウンターで店長から買える主な商品は、その三種類だった。
かつての清純で可愛い「幸運の女神」は、今でも店の看板だった。男なら誰だって、自分が一発で球を沈めた瞬間、隣で美女に褒められたいものだ。
ただ、連瑀辰一人だけでは、さすがに手が回らなかった。
※
「よお、NANA。今日は珍しいじゃん。」
私より七、八歳ほど年上の男が、ちょうど地下室の入口で煙草を吸っていた。
階段を降りてきた私に気づき、声をかけてくる。
煙草は売っている。
けれど、ここは地下にある密閉空間だ。
本当に吸いたくて耐えられなくなると、彼らも外に出て煙を吐き出す。
「Jadeに呼ばれただけ。」声には少し笑みを混ぜる。けれど、表情は変えない。そして私は、決して彼らの目を真正面から見ない――どうやらそれが、この場所で一部の客に気に入られている理由らしい。
ここで私は「NANA」と呼ばれている。聞いた話では、「七」の日本語読みらしい。
連瑀辰が考えた名前だった。
一方、連瑀辰自身は「瑀」──つまり玉という意味から、「Jade」という名前をつけた。
「Jadeは?」彼は続けて聞いた。とはいえ、本当に答えを求めているようには見えない。ただ会話を続けるためだけの、社交用の定型文。
「たぶん、もうすぐ来ると思う。今日は新しい子を連れてくるって。」
「へえ、新しい子?」
彼は煙を吐いた。
「今どき、こんなボロいビリヤード場で小遣い稼ぎするくらいなら、本気でやるなら台湾随一の歓楽街林森北路の方が稼げるだろ。」
「私は何かを『やる』つもりなんてない。」私は彼を睨んだ。
「Jadeを手伝いに来てるだけ。」
「はいはい、わかってるって。俺たちみんな知ってる。誰も店長に殺されたくないしな。」
目立たない路地裏に隠れているとはいえ、この場所で「平穏に」ビリヤード場、ゲームセンター、ネットカフェ、そして名目上はビリヤード場である地下バーを続けられる。
普通なら、とっくに警察に摘発されて潰れるか、「兄弟」たちに目を付けられて、みかじめ料を毟り取られているはずだった。
けれど、「そういう人たち」は、まるでこの場所の存在に気づいていないかのようだった。
聞くな。見るな。そうすれば、存在しない。
なにしろ、わずかな成績やみかじめ料のために、自分の人生を賭ける価値などないのだから。
店内へ入ると、六台あるビリヤード台のうち三台がすでに使われていた。もう少し遅くなれば、おそらく全部埋まるだろう。
今いるのはほとんど見慣れた顔。初めて見る人は……三、四人くらいか。とはいえ、正直私は彼らの顔をよく覚えていない。髪型でも変えられたら、多分もう誰かわからない。
その点、私は店長にとても感謝している。それなりの年齢になった彼は、大きなスキンヘッド。中年の薄毛問題を避けるためなのか、それとも別の理由なのか、いっそ全部剃っている。毎日、古びた深いえんじ色のスーツを着ていて、変わるのはたまにネクタイくらい。薄暗い地下室の中でもサングラスを外さない。けれど、そのフレームでも頬骨の上にある刃物傷までは隠しきれていなかった。
店長にどんな過去があるのか。どんな理由があるのか。私には関係ない。少なくとも髪型が変わる心配はないし、顔を見ても目が合う心配もない。
そのうえ彼はいつも無口だから、私にとって余計な人付き合いの面倒をかなり省いてくれる存在だった。
私も毎日サングラスをかけようかと考えたことがある。
そうすれば、相手は私が目を見て話していないことに気づかないから。
──「だったら、ちゃんと良いブランドを選ばないとね。今度いくつか買ってあげる。」彼女は昔、そう言った。「だって、身につけるものは身体の一部みたいなものだから。ちゃんとこだわらないと。」
そんなふうに言われると、サングラス一つ選ぶことさえ急に重荷になった。結局、姑姑に買ってもらうことも、自分で買うこともなかった。
どうせ、周りの人間の多くは、私のことを矯正していない斜視だと思っている。
なら、斜視でいい。
他人が私をどう見るか。それが私になる。どれだけ自分で主張しても、どれだけ反論しても、相手の考えを変えられるとは限らない。
私たちはみんな、誰かの定義の中で生きている。
本当の意味での「自分」なんて、誰も持っていないのだから。
「……来たのか、NANA。ん? 今日、お前呼んでたっけ?」
カウンターの下に頭を突っ込んで何かをしていた店長は、私の姿をちらりと見ると、低く少しかすれた声でそう言い、またすぐにカウンターの下へ意識を戻した。
「Jadeに呼ばれた。」
店長に挨拶を済ませると、私はいつものように、まず店のトイレへ向かって化粧を直した。薄めの口紅を拭き取り、この薄暗い地下室の中でも少し明るく見える色へ変える。ファンデーションも軽く重ねる。
誰かの視線を惹くためじゃない。ただ、この気に入らない場所で、少しでも自分自身の機嫌を取るためだった。
トイレから出てくると、すでに一人の怯えたような女子大生を中心に、男女の集団が取り囲んでいるのが見えた。
ビリヤード場全体を見渡す。元凶──連瑀辰はというと、もう何食わぬ顔でいつもの常連たちの中に溶け込み、カクテルグラスを片手に、どこかのビリヤード台にもたれながら楽しそうに談笑していた。
子供の頃からこの店に入り浸っていたせいか、店長はかなり早い時期から連瑀辰を「義理の娘」のように扱っていたらしい。常連たちも皆それを知っている。だから彼女がどれだけ誰にでも愛想よく振る舞っていても、命知らずにも彼女に手を出そうとする男はいなかった。当然、連瑀辰も私も、飲み物に何かを混ぜられるような危険を心配する必要はない。
カウンターで売られているコンドームも、あくまでその場で必要になった客同士のためのものであって、私たちの身体にも値札が付いているという意味ではない。──もしその保証がなかったら、いくらなんでも連瑀辰の誘いでここに「バイト」しに来ることなんてなかった。
けれど、新しく来た人間は、そういう事情を知らない。新規の客も。そして、流行りの服装をした人々の中で、一人だけ質素な格好をして、逆の意味で「鶏群の一鶴」になっているあの女子大生も。
彼女は四方八方から飛んでくる話しかけに、おどおどしながら対応しつつ、時折連瑀辰の方へ助けを求めるような視線を送っていた。そして店の奥から出てきた私を見つけると、慌てて大きく手を振った。
それにつられて、周囲にいた連中も私の存在に気づく。
「あれ、NANA。今日来てたんだ?」
「来ちゃダメなの?」
今日三回目になる似たような質問に、さすがに少し苛立っていた。
「大勢で私の友達囲んで、何してるの?」
相手が常連だろうとなかろうと、私はここではいつもこんな話し方をしている。なぜなら、私はこの場所が好きではないから。連瑀辰も、私がこの場所を好きではないことを知っている。そして彼女は、私にここを好きにならせようとしたこともない。
──言いたいことを言って、やりたいことをやればいい。店長はただ人手が増えたら助かるだけだから。もちろん、ただ働きなんてさせないけどね。
大学一年で連瑀辰と知り合って間もない頃、彼女の方から私に「バイト」しないかと聞いてきた。
当時、台北に出てきたばかりで、姑姑の家にただで住ませてもらっていることに少し負い目を感じていた私にとって、コンビニの給料では到底家賃分には届かなかった。だったら試してみてもいいか──くらいの気持ちだった。
何より、連瑀辰は一応同じクラスの同級生だ。本当に何かあれば、学校に相談すればいいと思っていた。
──でも、あの頃の私は本当に甘かった。
警察や裏社会の人間ですら扱えない問題を、学校に持ち込んで何になるというのだろう。
かつて有名な心理学教授でさえ、自分の学生が性的被害を受けた時、警察に通報しなかったばかりか、その学生の出来事を授業のケーススタディとして扱い、被害者の個人情報を他の学生に知らせたうえで、「性暴力ではなく、ただの『情欲の交流』だった」と語った──そんな学校が、本当に学生を守れるのだろうか。
その答えは、学校の中央に立つ聖母像にでも尋ねるしかない。
そして目の前にいる、普段クラスメイトから「マリア」とからかわれている少女は、まるでようやく立つことを覚えたばかりの子羊のように、不安そうに周囲を見回していた。
「NANAの友達? ってことは新人?」
一人の男が聞いてきた。確かFrankだったか、Fredyだったか……まあ、どうでもいい。とにかく軽薄な男だ。毎回連れてくる女の子も違う──いや、もしかしたら同じ人なのかもしれない。単に私が見分けられていないだけで。
「違う。ただ遊びに来ただけ。」
私はすぐに彼の手元の飲み物に気づいた。どうやら陳苡若に渡そうとしていたらしい。けれど彼女は、明らかに戸惑っていた。
「遊びに来ただけなら、無理強いしないであげてよ。」そう言いながら、私は彼の手からグラスを奪い取り、一気に飲み干した。
陳苡若の警戒は正しかった。見た目はただのスプライト。グラスの縁にはライムが添えられている。けれど中身は、紛れもないウォッカライムだった。
あの老いぼれは家では一滴も酒を飲まなかった──たぶん、数少ない長所の一つだろう。私に半分の遺伝子を与えたあの男については、酒を飲んでいる姿を見たことがない。でも、うちの家系はたぶんアルコールには強い。なにしろ私は酔ったことがない。そして夜の店で働く彼女の酒量も、当然弱いはずがなかった。
もちろん、この店──いや、店長に対する十分な信頼がなければ、私だって男の手にある飲み物を適当に飲んだりしない。それくらいの常識はある。
「おいおい、俺、お前に奢るなんて言ってないぞ、NANA。」
私は手の甲で口元を拭った。
「ちっ。なら早く言ってよ。」
「じゃあ今日は俺たちの台についてくれよ。友達も一緒にやる? っていうか、その子なんて呼べばいい?」
私は、もはや選択肢など残されていない陳苡若をちらりと見る。
この純粋な女の子は、おそらく人生でこんな場所に足を踏み入れるなんて考えたこともなかっただろう。……そもそも連瑀辰は「団契」という名目で彼女を騙して連れてきたのだ。
──ある意味では、これも確かに「団契」なのかもしれない。
互いに分かち合い、交わり、心の満足を得る。
彼女が本名を名乗る前に、私は代わりに答えた。
「Mariaって呼んで。」
光の中を歩めば、私たちのすべての罪は洗い清められるという。
なら、この日の光さえ届かない地下室の中で。
私たちの行き着く先には、何があるのだろうね、姑姑?




