41 大谷用水
すみません。
遅くなった上に短いです。
11月30日である。
明日からもう師走か、と月並みな感想を漏らすが、こっちに来て早、半年が経ったと言うことだ。
何か訳分からんうちに色々やってきたけど、どうなんでしょうねぇ俺。
上手くやれてるのかな。
攻略本なんて無いし、時々神様が助けてくれるけど、基本的には思いつくこと片っ端からやってるってだけだもんな。
でも、他にやりようなんて無いよな。
ま、今はこの世界で一所懸命生きてくしか無いんだしな。
うだうだ考えててもしょうがない、ということで領地スペックチェックである。
○吉子村
領主:大谷吉子
所属:織田家
人口:2872人
石高:410石
金収入:3350
米収穫:2900
総兵数:400(200)雇い兵
商業:590
農業:520
木産:140
鉄産:150
民忠:62
特産品:魚
◇施設
市場:2
工房:1
城郭:1(吉又城)
港:2
店舗:1
領地の面積が増えたわりには、そんなにスペック上がってないな。
石高がちょこっと上がったけど、米の収穫量は増えてない。
あと、木材が少し増えたか。
民忠は徐々に下がっていくばかりだな。
新しく編入されたばかりだから仕方ないけどな。
下がりすぎるのは危険だ。
60を切るようだと何か手を打たなくてはいけなくなるだろう。
さらに、新たな領地の開発の方針をそろそろ決めないとな。
用水路を引く事業を前倒しするべきかもな。
どのみちあの土地は埋め立てないと使えないのだが、土をやたらと突っ込めば良いと言うものではない。
常に水が溢れてる土地なので、必ず堤を作ってから埋め立てないといけない。
そして地下に溜まっている水もどんどん排水していかないと、盛り土をしてもまた下から水がしみ出してきて、堤の中に水が溜まってしまうのだ。
そして、その排水に必要なのが水路である。
この水路の水を農業や生活に使えば用水路となり、余分な水を捨てるのなら排水路となる。
将来どういう使い方をするかはともかく、水路の整備を急ぐ必要がありそうだ。
まだ幸い大雨などの被害には遭っていない。
だが、そういう災害は必ずやって来る。
この辺は土地が低いので、一旦洪水が起きれば被害は相当大きなものになるだろう。
この先、経済中心の社会になっていく中で、土地の安全性の確保が必須となる。
ただ、この手の事業にはどうしても小一郎が必要である。
土木・建築スキル+政治力97という逸材は、そうそういるものではない。
ウチの部下達も、それなりにハイスペックだとは思うが小一郎には到底かなわない。
織田家中を見回しても、彼に匹敵するのは丹羽さんぐらいのものだろう。
秀吉の天下取りにも秀長の力が大きかった、というのもうなずける話である。
その小一郎は現在、小牧山城の建設に向け、秀吉と共に下準備に取り掛かっている。
この先2〜3ヶ月は手が空かないだろう。
誰か土木スキル持ってる政治力の高いやつ、居ないかねぇ。
※この際ご自分でやるのがよろしいかと。
いやぁ、土木のスキルなんてどうやって獲得するの?
書物とかあるわけ?
※日本における農業・土木に関する書物のほとんどが安土桃山時代以降に編纂されているので、この時代には参考となる文献がありません。
したがって、実地あるのみです。
工事をしているうちに、コツを摑んだり良いアイディアを思いついたりすると、スキルをゲット出来る確率が高まります。
幸い、作業の仕方自体は大昔とあまり変わりありませんので、中国の春秋戦国時代の書物も参考にはなります。
ただ、如何に効率的に行うかとなると、その場の状況によって変わってくると言うことですね。
いわゆる現場力ってやつだね。
しょうがない、荒木又右衛門に手伝わせるか。
マップを開いて地形と道路の様子を見て、どこに水路を通すのが一番良いか見定めるとしよう。
まずは木曽川から、北側のメインストリートに沿ってメインの水路を引き、外側の堀まで持ってくる。
堀を満たした水は東側のメインストリートに沿わせて流し、途中から新しい領地の方に流れを変え、さらに東にのばして日光川に合流させる。
そして、新しい領地は簡易の輪中のような堤防を作り、周辺に調節池を作っておく。
少しぐらいの大水ならここで吸収できるようにするためだ。
それと、これは当初の予定どおりだが、農業用に一番外側の環状道路と、生活用に2番目の環状道路にも水路を作る。
それらはグルッと環状道路に沿って下流側の水路に流れていく。
中々の大事業である。
まずはメインの水路の工事から取り掛かるとしよう。
又右衛門の家に行き、こんな川作りたいんだけどと言うと「図面を拝見できますか?」と言うので、水路の予定地を書き込んだ地図を渡すと、とたんに難しい顔をしだした。
何故かというと、取水口となっている木曽川と排水側の日光川の水位が大きく違うため、日光川に流す水量の調節が難しいというのだ。
これをやるにはかなり大きな調節池が必要で、それこそ新たにもらった新領地まるごと池にするぐらいでないと、間に合わないと言うのだ。
そもそも日光川自体、木曽川の分流であり、流域はほとんどが0メートル地帯であるため、合流先が水害に遭いやすくなる。
やるなら流す先の日光川を整備する必要があるだろうというのだ。
随分詳しいな又右衛門君。
※彼は大谷様の命で、地下水の調査をした際、新たに水利のスキルをゲットした模様です。
スキルゲットと共にレベルアップも果たしていました。
なにぃ!?
何故それを先に言わないの。
荒木又右衛門
1531年生まれ
年齢:29歳
大谷家:武将
所持金: 2950
総合レベル:10
思想:中道
宗教:なし
名声:25
使用武器:槍
領地:なし
能力値:
統率57、武力60、知略56、政治78
体力78、腕力68、技量59、乗馬6、砲術1、走力6
常駐スキル:鑑定、水利
製造スキル:土木
戦場スキル:なし
あれっ!?
何気に土木スキルもゲットしてるじゃん。
ん?水利って常駐スキルなの?
※そうですね。
水の利用法や水の流れを見抜く能力ですので、この能力があると灌漑が効率的に出来たり、水の権利を取得しやすくなったりします。
水関係の工事に関する能力は治水と言うスキルになります。
土木と合わせて持つことで、非常に効率的に堤防などを作ることが出来ます。
おお、それは是非ゲットしてもらいたいところだな。
まあ、じゃあ、水路の工事は又右衛門に大半をやってもらうとして、先ほど彼が指摘した点である。
どのみち日光川は我々には手が出せないし、氾濫するというなら今だって状況は大して変わらない気がする。
まあ、より被害が甚大なものになると言うことなんだろうけど。
この時代、浚渫工事ってどうなの?
※もちろん人力しかありません。
専用の筏に大きな鋤のようなものを付けて浚っていたようです。
日光川を、河口まで浚うとしたら、かなりの人力を動員しなければならないでしょう。
そうかぁ、皆さんどうやってるんでしょうねぇ。
ふと、思いついたのは、日光川じゃ無く木曽川にまた戻せば良いんじゃね?
と言うことだ。
「どうよ又右衛門君?」と尋ねたところ、それなら問題無いと言う話だった。
「じゃあ、水路を堀の南側の道に沿って流し、美濃街道に出る手前で西に折れ曲がり、美濃街道に沿って木曽川に流すってのはどうだ?」
「美濃街道が水に浸かる恐れが出てきますが、2間ぐらいの幅であれば問題無いでしょう。それよりも、取水側に堤防と共にかなり頑丈な水門を作る必要があります」
「ああ、増水した時は取水側を止めるわけだな」
「そうです。そうしないとこんな小さな水路でも、洪水を引き起こしますので」
「よし、そうと決まればさっそく人足集めだな」
「そのへんの捌きは、川並衆に頼むと良いかも知れませんね」
「そうだよ、あいつらそれの専門家だったわ」
と言うことで、久しぶりに前野長康に会いに行くことにした。
最近宴会にも呼んでないし、酒と蕎麦を持って行ってあげよう。
突然押し掛けたにもかかわらず、前野さんはすぐに会ってくれた。
そして、用水の工事の話をすると二つ返事で引き受けてくれた。
坪内玄蕃も、浅井の件から外されたことで、内心忸怩たるものがあったのだろう。
よくぞ声をかけてくれたとばかりに、「全て我らにおまかせくだされ」と言ってくれた。
明日からさっそく現地の調査に加わってくれるそうで、そこでみんなで堤の規模や水門の形状を考えることにしよう。
久々に会って、酒があるとなれば、お決まりのパターンである。
今日は小六がいないから、そんな騒ぎにはならないだろうと思ったのだが、どういう訳か又右衛門君が今日は主役だった。
一合枡に注がれた酒を、一気に飲み干すと、バッと扇子を拡げて「曲舞をひとつ」と言うといきなり踊り出した。
演目が何かはさっぱり分からないが、なかなか堂に入っている。
玄蕃は、こういった歌舞音曲に造詣が深いのか升の底を叩いて鼓の代わりにして合いの手を入れている。
だが、段々と調子がおかしくなってきて、最後には何を踊っているのか良く分からなくなってきた。
玄蕃の鼓もいい加減になってきたところで、又右衛門は「もうだめじゃぁ」と言って座り込んでしまった。
その座った拍子に、勢い余って屁をこいてしまった。
しかも俺の方に向けて。
いかに酒の席とは言え、主従関係にある者同士。
一瞬妙な緊張感が走ったので、この場を丸く収めるにはこれしか無いと思いつい言ってしまった。
「これがホントの臭え舞いだな」
というオヤジギャグを。
次の瞬間、その場の全員が一斉に大爆笑である。
前野さんなんか涙を流しながら、こちらを指さし「ヴァッハッハッハッ」と悶えながら笑っている。
俺も最初苦笑いだったが、周りがあまりにも受けまくるので、段々釣られてこっちも可笑しくなってきた。
又右衛門だけが引き攣ったような笑い方をしているので、背中をバンバンと叩いて笑い飛ばしてやった。
その後は、すっかり宴会モード全開で、深夜まで大騒ぎになってしまった。
一つ気付いたことがある。
この時代の人は、笑いに餓えていると。
とにかく笑えるネタを渇望していると言って良い。
まさかダジャレ一つで30分も持つとは思いもよらなかった。
その後「布団が吹っ飛んだ」とか「馬が埋まる」とか連発したところ、数人が顎が外れそうになったとかで、また笑いを誘っていた。
ま、ダジャレで済むなら安上がりで良いやね。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
ちょっと本業が忙しくなってきてしまい、若干影響が出てしまいました。
日曜の更新は少々厳しい感じになっております。
次回更新は2〜3日遅れてしまうかもしれません。
申し訳ありません。
忙しいのは一時的なものだと思いますので、再来週ぐらいには平常どおりに更新できると思います。




