第六話 神社
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・事件等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
「……ふん、白い羽虫どもが、ぞろぞろと群れてきおって」
神社と呼ばれる地下の施設では、年老いた老婆が旧式の大型スパナを肩に担ぎ、
迫り来る白の精鋭部隊を睨みつけていました。
この神社は風情のある場所ではない、電子機器を守るように金属とコンクリートで囲まれた要塞。
むせ返るような錆と、大地の奥底から湧き上がる熱気で満ちている。
ガンッ! ガキンッ!!
老婆の振るう旧式の大型スパナが、迫る白の重装甲義体の頭部を叩き割る。
しかし、隠居した古老の肉体は限界がある。
「ハァ、ハァ……やはり骨が軋みおるわい」
と漏らす。その隙を突き、二体の白い義体が光のブレードを振り上げます。
その刃が届く、まさにその瞬間。
「てめえら、そこから離れろ!!」
カイトが、彗星のごとく敵の本隊のド真ん中へと飛び降りてきた。
ズガァァァァン……ッ!!
着地の衝撃で地下のコンクリートが放射状に爆ぜ、白の重装甲義体三体が、その物理的な圧力だけで壁へと叩きつけられます。カイトの膝からは激しく煙が上がっていた。
「カイトかい……!?」
「待たせたなトメさん、無茶しやがって」
「ハッ、遅いんじゃバカ者が! 腰が抜けるかと思ったわい!」とトメさんが笑います。
カイトのすぐ背後には、遮光ゴーグルをギラリと光らせたカズキ、
そしていつの間にかトメさんの影から這い出てきたエイジロウが、それぞれの武器を構えていました。
白の信徒の指揮官が、機械的な冷徹さで宣言します。
『——鍵の回収を最優先。周辺の障害物は一括消去しろ』
「消去だと? ふざけるな」
カイトの右拳が、地下に露出した巨大な地脈バルブの振動と同期し始める。
「カズキ、エイジロウ、トメさん! ここはセクター零の心臓部だ。力を一番使える場所だぞ!」
神社の中から電子音と光が強く光り始める。それを冷却するためのファンや水冷器が大きく可動を始めた。
「最高だ。この空間の共鳴度、やべえぜ!」
一輝が指をパチンと弾き、神社の空間全体に超高周波の共鳴波を充満させます。
「貴様らに逃げ道はない」
エイジロウのボロ布が広がり、白い義体たちの足元に「闇の錯覚」を作り出した。
カイトは地脈から溢れるエネルギーを全身に引き受け、両腕を大きく引く。
地下の濃密な地脈エネルギーの奔流となって、カイトの拳から放たれました。
青黒いエネルギーの津波が、地下室の空間そのものを押し潰しながら、白の信徒の本隊へと猛然と襲いかかった。
「——バ、バグが……鍵を、利用したのか……ッ!?」
白の信徒たちが、その圧倒的な「質量」の前に、なす術なく次々と粉砕され、地下の錆の中に埋もれていった。




