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九天楼  作者: 普九浪
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第二話 白の信徒

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・事件等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

シュウゾウの開け放った遮熱扉から、熱気と『龍骨鉄』の威圧感が溢れる中、

その男はまるで透明な空間から現れたようだった。


仕立屋、エイジロウ。

彼を覆う何重ものボロ布は、九天楼の煤を吸って背景の闇と完全に同化していた。

監視カメラはおろか、人間の網膜にすら「ただの闇」として処理されるような男。


「……おいおい、エイジロウの旦那。なんか危ねえ玩具でも仕入れてきたのかい?」


エイジロウがボロ布の隙間から細い腕を伸ばし、シュウゾウの前に一枚の『極薄型データプレート』を差し出した。九天楼では今や化石となった、物理的な接触でのみデータを読み取れる有線式の旧型端末です。

接触したシュウゾウは顔をしかめた。


「カイト、のんびり鉄を叩いてる時間はなさそうだぜ。『白い消しゴム』が迫ってる」


カイトは眉をひそめ、プレートに接触した。

そこには、ノイズ混じりのカメラの映像が映し出された。場所は上層セクター、全身純白の、一分の汚れもない最新型義体で包んだ集団が、音もなく街を闊歩している姿だった。


「現実修正塔の残党……『白の信徒ホワイト・レイマン』か」


カイトの膝の皿が、嫌な音を立てて軋む、冷や汗が顔を滴り落ちていた。

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