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第四話 スキル【嘲笑】

俺は冒険者ギルド炎牙の近くにある、宿屋へと向かった。


――しばらくの間は、借金返済の日々が続くのか。

飯代と宿代も自分で稼がなくちゃいけない。


というより、俺が元の世界に戻る方法はあるのだろうか。


――道化師に殺された俺は、気が付いたらゲームの世界へ入り込んでいた。

あの道化師は、この世界にいるのだろうか。


実はここに来る途中、俺は例の舞台へ立ち寄った。


――しかし、かつてあった舞台とは全く違う様子だった。

ゲームをプレイしていた時と比べ、観客がひしめき合ってる様子はない。

しかも舞台の受付係に聞いたところ、「道化師のような人物は存在しない」、と言われた。


この世界は、ゲームの世界”Emotional World”と少し違うようだ。

だが、元の世界を知らない以上、その違いすら俺には分からない。

なんせ、ゲーム開始から一時間もしないうちに殺されたからな。


俺が元の世界に帰る鍵があるとすれば、あの道化師。

そして、このスキル【冷笑】の説明欄。

”獲得条件:異邦人が、この世界を満喫せず、蔑み笑うこと”


この二つのどちらかにアプローチするしかない。

焦っても仕方がない、少しずつ明らかにしていこう。


後日俺は、ギルドへ向かった。

依頼されたクエスト”薬草探し”と”ゴブリン討伐”を行う。


薬草はギルドの人からもらった説明書に詳しい情報が書かれている。

生息地。特徴。簡易的な絵。


それらの情報を頼りに、俺はまず薬草回収へと向かった。


――ていうか、ここら辺ってモンスターが出てきたよな。確か。


少ない時間だったが、ゲームでプレイしていた時の記憶がある。

その記憶を頼りに、俺はモンスターが出てきそうな場所を予測して探索を進めていた。


すると、不運にもモンスターが現れてきた。


出てきたのはゴブリンだ。

武器を持っていないから、あまり遭遇したくなかった。


ゴブリン――人間を襲うモンスター。


小柄で、尖った耳。そして悪意に満ちた、あの面構え。


二足歩行の生物として、人間と同じ括りにされるのが極めて不愉快だ。


だが、あんな醜い生物ですら、日々生きるために”必死”なんだよな。

そう思うと”笑えてくる”。


「ぷふぁw」


俺は誰もいない所で、ゴブリンをからかうように笑った。

下等生物に対して、ここまで本気で笑っていいのかと思う節もある。

けど、仕方ないよな?面白いんだから。


新たなスキルを獲得しました。


――なんだ


固有スキル【嘲笑ちょうしょう】Lv.1

獲得条件:

【冷笑】の保持者が、対象を嘲笑すること。


発動条件:

対象に対して明確な嘲りの言動(嘲笑)を行うこと。


※冷笑では発動不可。

※言葉・態度・表情など、「相手に伝わる形」である必要がある。

※【冷笑】のような“心の底からの見下し”である必要はない。

 軽い嘲りや、意図的な挑発でも発動可能。


効果:対象となる物体の質量を任意に改変する。

変動幅:±30%(Lv.1時点)

クールタイム:30秒(Lv.1時点)

――なんだ、これ新たなスキルか。


【嘲笑】―――相手をからかうように笑えばいいんだな。


効果は、「対象となる物体の質量の改変」か――面白い。

早速使ってみよう。


「ぷふぁw」


俺はゴブリンを”嘲笑”した。


――来たな。


視界の端に、半透明のバーが浮かび上がる。

    《質量》 

-30% ← → +30%


「……とりあえず、軽くしてみるか」


指先でスライドさせる。


――《質量》-30%。


――次の瞬間。


ゴブリンの動きが急激に軽くなり、勢いよく俺の方に向かって飛び出してくる。


――まずい。


ゴブリンの右手には人間から剝奪したと思われる剣を握りしめている。

そして、その剣を俺に向けて突き刺してきた。


「あっぶね!」


俺はとっさの判断でかわした。


軽くなりすぎたゴブリンの身体は、もはや制御が効いていなかった。

そのおかげで、勢いのまま大きく踏み込み俺の横を通り過ぎる。


――これは、まずいな。今度は重くして見るか


――《質量》+30%


すると、ゴブリンの動きは急に重くなった。これなら攻撃できる。


そして俺は、重くなり動きが鈍くなったゴブリンに近づく。

攻撃を躱しながら、その隙を狙う。


そして、ゴブリンが剣を大きく空ぶった瞬間。


――《質量》-30%


再び軽くし、質量が軽くなったゴブリンを俺は思いっきりつかんだ。

そして羽交い締めにする。


――軽い。非常に軽い。


いくら剣を持っているとはいえ、背後に回ったらこっちのペースだ。

元々人間より軽そうなゴブリンが、さらに軽くなる。

どんなに暴れられても、抑えきれる自信しかしない。


――その圧倒的な重量差の前では、格闘経験の有無は関係ない。

 格闘技が重量によって階級が決まる理由がこれだ。


「ギィィィィ!」


俺はゴブリンを押さえつけたまま、ゴブリンの剣を奪い、刺し殺した。

すると、ゴブリンは光となって消える。


経験値5と10ゴールドを獲得しました。


――倒すと、経験値とゴールドが貰えるのか。

このシステム自体は、ゲームの頃と変わっていないみたいだな。

よし、この調子でレベルを上げてみるか。


俺は薬草回収と同時に、近くのモンスターを討伐し続けた。

レベルも徐々に上がり始める。


レベルアップしました(4→5)。スキルポイント5を獲得します。


――”スキルポイント”?


スキル画面を開くと、今あるスキルにポイントを振れるようだ。

今あるスキルは【冷笑】と【嘲笑】。

どっちに振るか。


まぁ【冷笑】はクールタイム長いし、【嘲笑】の方が実用的だな。

こっちに振るか。


俺は【嘲笑】にスキルを振った。


スキルレベルが上がりました(Lv.1→2)。

効果が変わります。


効果:対象となるの物体の質量を任意に改変する。

変動幅:±《《50》》%(Lv.2時点)

クールタイム:25秒(Lv.2時点)


――おお。変更幅が増えたな。これで、攻撃の幅も広がるな。


よし、この勢いでクエスト完了といきますか。


俺は引き続き、頼まれた依頼を日が暮れるまで行った。

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