表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/88

85話 帰ってきた英雄

 アダマス王国に、二匹の竜が現れた。

 その竜は、ダイヤモンド鉱脈に引き寄せられるように現れた。


「砲撃急げ―!」


 城壁は堅い。

 防空網は維持されている。


 竜はアダマス王国へ近づけなかった。

 上空を旋回しながら機会をうかがっている。


 王位継承の第一候補のダイヤを、

 策略によって失脚させた現在のアダマス王。

 彼は欲にまみれ、ダイヤモンド鉱脈の過剰採掘を行っていた。


 竜は財宝、特に強い魔力を宿した鉱石や魔石に引き寄せられる。

 かつてアダマス王国に巣を作っていたこともあった。

 その竜を撃退したのが、アダマス家だった。


 それは過去にもあった災厄だった。


 カンカイがダンジョンを支配していた時代。

 竜は時折、巨大な魔力に引き寄せられるように現れた。

 特に、上質な魔石を持つダンジョンには執着を見せる。


 そしてセイジョウ王国は、かつて竜を鎮める神殿国家だった。


 だが、その地下神殿は勇者召喚の儀式の場へと姿を変えたのだった。


「俺はアダマス王国に行って来る」


 ダイヤが、決意する。


 策略によって妻と子を失った。

 犯罪者と言われ、負け犬のように逃げた。

 それでも、自分の愛する故郷を失いたくなかった。

 

 リュウドウ王国から急いでアダマス王国へ向かう準備を始める。


「私たちも行く」


 フローラが言った。


「邪魔にならないようにするから」


 タルクも真剣な眼差しで言う。


「何でもするから……」


 カルサイトも続く。


「……」


 ジプサムが盾を構える。


 スファレライトの輝きの仲間たちも、

 ダイヤと共にアダマス王国へと向かうこととなった。


 ***


 城壁からの砲撃が連続して放たれる。

 数日の間、膠着状態が続き、竜は街に近づけないでいた。


 しかし、竜は賢い。

 旋回を止め、山頂に鎮座する。

 二匹の竜が、岩山の山頂で城をじっと見ていた。


 城の南側は岩山に囲まれ、いつも山頂からは煙が噴き出している。

 ダイヤモンドは、そのマグマの恩恵によるものだった。


「ギャオーーー!!!」


 竜が雄たけびを上げる。

 すると空高く舞い上がり、そのまま急降下を始めた。

 竜がマグマへと飛び込む。


 しばらくすると……


 地鳴りが響き渡り地面が小刻みに揺れる。

 街のあちこちで棚の荷物が落ちて、ガラス瓶が割れた。


 窓ガラスが振動で揺れる。


 次の瞬間――


 雷鳴のような爆発音が轟く。

 その後に、岩石が弾け飛ぶ破裂音が続いた。


「山が噴火している」


 街の住民たちは、その光景を見て立ち尽くした。


 山から火柱が天高くに昇り、

 空から燃える岩石が街へと降り注ぐ。


 その瞬間、街は業火に飲まれた。


 住民たちがパニックに陥る。

 山から溶岩が流れ出し、街へ迫る。

 

 そのとき。


 ひとりの冒険者が立ち塞がった。


 地面に手を付き、祈るように精神を統一する。


 そして、ダイヤモンドの壁が地面からせり上がった。


 ダイヤがアダマス王国へ到着したのだ。


 ダイヤモンドの壁が、溶岩流を城壁から避けるように流れを変える。


「まだ希望はあるのか……」


 街の住人たちは、ダイヤを見て希望を見出した。


「皆さーん、こちらでーす。

 英傑が戦ってくれています。

 あの、ダイヤモンド・アル・アダマスが帰ってきました」


 スファレライト輝きのメンバーは、住民避難の手伝いをする。

 その言葉に、住民たちが嫌悪した。


「何が英雄だい?

 家族を殺して逃げた極悪人だろ」


「そんなことをする人間が、

 危険を冒してまで故郷を守るために竜と戦うと思いますか?」


 フローラの叫びに、住民たちは言葉を失う。


「でも……王様がそう言って……」


 ダイヤの剣撃が、空を切り裂く。

 その一撃は、飛んでいた竜の翼を切り裂いた。


「だったら、どうして戻って来たんだ?」


 竜の吐く息が、ダイヤの体を溶かす。

 それでもダイヤは引かなかった。

 不屈の剣アダマス・アトラスが、竜の鱗を切り刻む。


 世界最高峰の切れ味を持つ剣でさえ、

 幾重にも重ねられた竜の鱗に阻まれる。


 ダイヤの作り出したダイヤモンドの壁も、

 竜の炎に溶けだしていた。


 竜の爪が、牙が。

 ダイヤの体を傷だらけにしていた。


「あんなに傷だらけになってまで……」


 人々の視線が、竜の炎で焼かれたダイヤへ向いた。


 不屈の剣、不屈の闘志が竜を怯ませる。

 何度も何度も、竜を斬る。

 斬るうちに、やがて肉が姿を見せた。


「俺の必殺の剣を受けてみろ」


 ダイヤの目が光り、横一線に虹色の輝きが山をも切り裂いた。


 その瞬間。


 目の前にいた竜が、真っ二つに割れた。


 竜の吐く息で、ダイヤは大火傷を負いながらも竜の翼を斬り落とし、

 地上戦で何とか勝利したのだ。


 一匹を討たれた竜は、咆哮を残して飛び去って行った。


「ダイヤのおかげで、この国は救われたのよ」


 フローラが叫ぶ。


「この国を救った英雄が、妻や子供を殺して逃げた?

 そんな男が、こんなボロボロになってまで国を救うか?」


 タルクも叫ぶ。


「坑道が、ダイヤモンドの鉱石で溢れてる……」


 カルサイトが小さく呟いた。


 盾を叩き胸を張るジプサムが、ダイヤに肩を貸す。


 住民たちは静まり返っていた。


 よろけながら歩くダイヤをじっと見つめる住民たち。


 すると――


「ああーー!!!

 もう嫌だ!!!」


 ある一人の兵士が叫んだ。

 膝を付き、地面を叩きつけ、頭を抱えている。


「ダイヤモンド・アル・アダマスは、妻や子を殺してはいない。

 王の命令によって、そう噂を流した。

 申し訳ない……俺を許してくれ!」


 頭を地面に叩きつけ、後悔に苦しむ兵士。


「もう、こんな嘘にまみれた生活は嫌だ……。

 首謀者は、現国王。

 そしてその取り巻きだ」


 その一言で、その場の雰囲気が変わった。


「……本当に、ダイヤ様なのか」


「俺たちは、ずっと騙されていたのか?」


「英雄が……帰ってきた……」


 ダイヤが拳を高々と上げる。


「英雄の帰還だ。

 我らの真の王の帰還だ」


 民衆が、王位継承の第一候補だったダイヤの帰還に沸いた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


少しでも面白い思っていただけましたら、ブックマークや↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして評価をいただけると、とても励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ