84話 魔王の謝罪
初代リュウドウ王だと言われても、俺は知らない。
どうしよう……。
偉い人だから、「お前」って言ったの怒られるのかな……。
「へえ、そうなんだ。
それで?」
「そ、それで?」
目を丸くして驚いている。
「我が憎くないのか?
お前がこうなったのも、我が四代目を追放したからだぞ?」
あ、そういうことね。
「今、ここの暮らしが楽しいから別に恨んでもないし……
四代目のこととか、セイジョウ王国のこととかさ……
最近知ったばかりなんだよね」
チラチラとリュウドウ王が俺のことを上目遣いで見てくる。
「君も浄化されたいってこと?」
「はい。
お願いできるでしょうか」
「俺がちゃんと能力を使えるようになったらね」
リュウドウ王も、王とは思えないくらい喜び踊っていた。
他のゾンビたちも、まるで救いを与えられた子供のように泣いている。
五百年の年月は、よほど辛かったのだろう……。
「さすがに、俺は駄目ですよね……」
冒険者風のゾンビが隠れるように立っていた。
「君は?」
「カンカイを囮にしてミノタウロスから逃げた冒険者です」
カンカイの魔力が暴走する。
俺の体から、魔力があふれ出し、
ゾンビたちが震えながらひれ伏した。
「ああ、ごめんごめん。
今のは俺の意思じゃないから。
君も浄化してもらいたいってことね」
「え……いんですか?」
「もちろん。
俺には関係ないし」
<我は許さぬ>
「ありがとうございます。
カンカイ様にもお詫びを……。
私のしたことを許してください」
カンカイ。
こいつもこう言ってるぞ。
<このダンジョンに呪われ、
永遠に囚われていればよい>
なら、カンカイも永遠に恨まれ続けたまま消えるんだな。
<……>
俺はお前の傷を癒す未来を作ると決意したんだ。
俺の考えは変わらないよ。
「これが最初の一歩だ」
<……。
ええい!
好きにしたらいい>
「それで、こいつは謝ったけど……
お前は関係ない人を巻き込んで、謝らなくていいのか?」
<……>
「体を貸すから、ちゃんと謝っておけよ」
<我は魔王だ。
そんなことはできぬ>
「人間として終わりたいんだろ?」
***
こうして俺と体を入れ替わったカンカイは、人々に謝罪していた。
土下座して、頭を地面にこすりつけながら涙している。
よほど自分のしたことに後悔していたようだった。
罵声を浴びせる者。
泣きながら許せないと言う者。
黙ってその姿を見つめる者。
カンカイは、その全てを受け止めていた。
しばらくして俺に体を返すまで、
カンカイは人々の言葉を聞き続けていた。
…………
……
「なんだか、すっきりしたみたいだね」
<……これですっきりと眠れる>
「俺に、何か言うことがあるんじゃないか?」
<ふんっ……>
あ、カンカイが照れている。
「けっこう、可愛いところもあるんだな」
<我は魔王なのだぞ。
だが……。
……ありがとう>
「魔王の言葉じゃないな」
<お前の浄化の効果が強いのじゃ>
***
しばらくして、リュウドウ王国で騒ぎが起こっていた。
アダマス王国では、二匹の竜が暴れ混乱に陥っていると報告が入る。
ダイヤの故郷だ。
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