83話 浄化の願い
俺はサンク・アル・セイジョウ。
勇者の子孫で魔王だ。
そして以前の魔王だったカンカイは、
俺に能力を与えて今は俺の中にいる。
何の因果か……
カンカイは俺の浄化の能力で消えてしまう運命にあった。
***
「なあ、カンカイ。
俺に魔力操作を教えてくれないか」
俺はカンカイが消える前に、新たな決意をもっていた。
カンカイの犯した過ちを癒すと決めたのだ。
<願えばその通りになっただろ>
「いや、人間と話がしたい。
どうも通じていないんだよね」
何度か試してみたが、冒険者には逃げられる。
それで、どうも言葉が通じていないと気づいた。
<今頃気づくとはな……。
配下たちとは念話で話ができるだろ>
「そうなんだよ。
それなのに人間とは話ができない。
おかしいと思わないか?」
<配下たちとは、お前は王として繋がっている。
ダンジョンを通してな。
なので元々魔力が繋がっているからだ>
「魔力が繋がっている?」
<そうだ。
だから、人間と魔力を繋げたらいい>
そう言えば、カンカイと初めて会った時は頭の中に声が聞こえたな。
だからってやり方がわからない。
何せ俺は無能力者だと思っていたから……。
「魔力のことが分からないから聞いてるんだろ」
<自分の体の中に巡っている魔力を感じるだろ?>
「いいや。感じない」
<……>
「まただ、できる奴はこれができて当たり前だと思って話してくる。
俺は運動神経もないし、頭も良くない。
分かるように説明してくれ」
<分かろうとしない奴に、教えられるわけがない。
まずはお前もチャレンジする所から始めよ。
我に頼るな>
「なんだよそれ~」
<やってもおらず、即答で出来ないと言いよる。
やる気のない奴に、教えても意味がないのだ。
出来ることから始めてみよ>
そんなとき、黒鉄の門を叩く音が聞こえた。
静かに三回。
無理に開けようとする気配もなかった。
「そういえば、ゾンビの唸り声が最近聞こえないな」
<そう言えば、そうじゃな>
俺はそっと扉を開けてみた。
すると、目の前にゾンビたちがきちんと整列して立っていたのだ。
「あの~。
魔王様は、勇者様の末裔だとお聞きしました。
浄化の能力を持っていると……」
勇者ジュンが笑いながら手を振っている。
彼から聞いたのか……。
「それで、俺に何か用?」
ゾンビが跪き、俺の手を取り懇願した。
「我らに、浄化の能力を使って……」
泣きながら訴えてくる。
「五百年という長きにわたる不幸を終わらせて……
終わらせてください」
必死の願いだけど、俺にどうしろというのだろう?
「勇者ジュンのほうが浄化の能力は強いんじゃないの?」
「勇者ジュン様は、もう死んでおられます。
そのため能力を持っておりません。
今お願いできるのは、サンク様しかおりません」
え~、俺、使い方わからないんだけど……。
<ちょうどいいではないか、魔力を感じるように試してみろ。
こいつらに、血はない。
お前が願っても、潰れたり、飛んで行ったりはせぬ>
「わかったよ……。
でも、うまくいかなくても、俺を恨むなよ」
その言葉を聞いた瞬間、
ゾンビたちは歓喜するように踊り始めた。
その踊る者たちの中に、違和感のある者たちがいる。
俯いたまま、こちらを見ない。
「お前たちは、嬉しくないのか?」
セイジョウ王のように、冠を頭に被っている者たちだった。
「どうして喜べると思う?
俺たちは、浄化してもらえないだろ?」
「なんで?」
「なんでって……
お前をこんな目にした張本人だぞ?」
「俺はお前のこと知らないけど?」
俺の正面に立ち、胸を張って堂々としていた。
「我は……
お前の先祖である四代目セイジョウ王を追放した……
初代リュウドウ王だ」
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