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回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


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81話 過去の真実

 ダンジョンが成長し、十階層を越えた頃から、

 ゾンビが次々と現れるようになった。


 それは偶然ではない。


 初代コノハが司っていた自然の世界は、

 やがてカブトの貪欲さが支配するダンジョンへと姿を変える。


 それからミノタウロスが支配するようになり、

 ダンジョンは戦いに狂う世界へと生まれ変わる。


 そのミノタウロスに勝ったカンカイは、

 ダンジョンの魔王となった。


 ダンジョンは、カンカイの恨みによって人間を呪った。


 そして……


 カンカイの赤い霧が土壌を汚染し、

 死んでいった者たちがダンジョンでゾンビとして蘇る。


 王国を滅ぼした時に死んでいった者たちや、

 ダンジョンやその周辺で死んでいった者たちもゾンビとなってしまう。


 そして、サンクの両親も……

 同じようにダンジョンへと引き込まれていた。


 何の因果か……。

 これによって、サンクは両親との再会を果たす。


 サンクはある夜に導かれるように、ゾンビとなった両親と出会う。

 その両親の傍らには、頭に王冠を付けた二人の姿があった。


 ***


 カンカイが、その人たちを紹介する。


<セイジョウ王朝の初代。

 そしてその横が、初代セイジョウ王の子供。

 勇者だ>


「勇者!?」


 俺には荒唐無稽で、なんのことだか分からなかった。


<我の赤い霧によって、勇者召喚が行われた。

 初代の王妃の腹の子に、勇者が宿ってしまったのだ>


 勇者は、ゾンビの姿になってなお……

 その威厳を失っていなかった。

 

「初めまして。サンク。

 そして、久しぶりだね、カンカイ」


 穏やかな声だった。


<久しぶりだな>


 魔王と勇者。

 本来なら敵同士のはずの二人が、

 まるで旧友のように接している。


 母が語った。


「勇者ジュン・アル・セイジョウ。

 私たちのご先祖様よ」


「先祖?

 って、血がつながってるってこと?」


「そうよ。

 私たちは勇者の末裔なの。

 黙っていてごめんなさい」


 そして父が、伏し目がちに語り始めた。


「お前に能力がないと言ったのは悪かった。

 だが、我々にも浄化の能力がある、といっても……

 世代を重ね、ほとんど失われてしまった」


 父が歯を食いしばり、目を閉じた。


「だから四代目は、

 無能と呼ばれ初代リュウドウ王に追放された」


 浄化の能力は、平和な国では価値を失う。

 本来なら十七代目となるサンクに、

 浄化能力はほとんど残されていなかった。


 追放されてからも、ダンジョンの周辺を見回り、

 人間が訪れないようにしたと父が語った。


 その時、護衛もいなかった両親は、

 森で魔物に襲われ命を落とした。


「そしてダンジョンは人が近づかぬよう、

 赤い霧を残した」


<なるほど。

 そうして我を封じようとしたのだな>


 ダンジョンは人間の生命力無しには維持できない。

 人が立ち入らなければ、やがて魔力は枯れる。


 カンカイは徐々に力を失い、

 ダンジョンは廃墟へ向かっていた。


 俺がダンジョンへ訪れたときには、

 赤い霧は晴れ、カンカイは最後の時を迎えていたのだ。


<我はかつて冒険者に傷つけられた。

 その憎しみで赤い霧を生み、

 結果として国ごと滅ぼしてしまった>


 カンカイが悲しそうに話を続ける。


<だから、お前は我を討伐するために送り込まれた存在だ。

 魔王いるところに勇者あり。

 お前の浄化の力で、我は滅びる>


「それは違う」


 初代勇者ジュンが、穏やかな声で否定する。


「お前はサンクを受け入れた。

 同じ弱い者として同じ匂いを感じたのだろう?

 滅びるんじゃない……救われるんだ」


 浄化は破壊ではなく、再生。


<浄化されるということは、

 魔王ではなく、人として終われるということか……

 なんと奇妙な運命なのだろうな>


 その言葉に、俺は寂しさと温かさを同時に感じた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


少しでも面白い思っていただけましたら、

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よろしくお願いします!

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