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回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


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75/88

75話 人外


 シンエイとダイヤの間に、火花が散っていた。


 シンエイは鎖の先に重りを付け、

 その衝撃でダイヤモンドを破壊する。


 ダイヤも負けていない。


 アダマス・アトラスの切れ味は世界最高峰。


 迫る鉄球さえ切り裂いた。


 ダイヤが、ぼろぼろになった剣を捨て、

 また新たな剣を作り出す。


「何度でも作り出してやる」

 

 それは、はったりだった。

 いつかは魔力が尽きる。

 その瞬間、勝負は決する。


「何度でも再生させましょう」


 シンエイが、砕けた鉄球を再生させた。


 だが、それも永遠ではない。


 シンエイ自身、それを理解していた。


 お互いに、にやりと笑う。


「拙者はダンジョンの階層を任されたボス。

 勝負を挑んだからには、

 あなたに敗れるわけにはいかない」


「それはこっちのセリフだ。

 五大英傑と言われた世界の代表者が、

 ダンジョンの階層ボスごときに敗れるわけにはいかない」


「ダンジョンは、拙者のテリトリー。

 そこに踏み入れたあなたに、

 勝ち目などないのです」


 シンエイが消えた。


 気配すら残さずに。


 時折聞こえる鎖の音を頼りに、

 ダイヤは耳を澄ます。


 飛来する音。


 羽ばたく音。


 精神を研ぎ澄まし、

 飛んでくる鉄球を切り捨てる。


 シンエイも負けていない。


 音を重ね、

 両端の鉄球を時間差で叩きこむ。


 一方が斬られても、

 一方がダイヤの体を砕く。


 そして、


 シンエイが罠を仕掛けた。


 今までの戦闘で、

 意識を音に誘導させていた。


 視線を操るための罠。


 正面に残した鎖を鳴らし、

 ダイヤの意識をそこへ集中させる。


 鎖もまた透明で見えない。


 ダイヤは、

 正面で鳴る鎖の音へ反応した。


 そこへ。

 背後から急所を狙った鉄球が迫る。


 ダイヤは正面の音へ向け、

 剣を振るった。


 アダマス・アトラスが弧を描き、

 空間を切り裂く。


 次の瞬間。


 シンエイの鉄球が、

 背後からダイヤの胸を貫いた。


 骨が砕け、

 鮮血が飛び散る。


 しかし――


 ダイヤの剣筋は止まらなかった。


 振り抜かれた斬撃が、

 円を描くように背後へ到達する。


「なっ……」


 シンエイの声が漏れた。


 そして。


 ダイヤの斬撃が、

 シンエイごとダンジョンを両断した。


 轟音が、ダンジョン内を駆け巡る。


 階層そのものが割れた。


 壁が砕け、

 地面が裂け、

 衝撃がダンジョン全体を揺らす。


 シンエイの姿が現れる。


 鉄の鎧が、

 音を立ててずり落ちた。


 そして、

 赤い霧となってシンエイが消滅する。


 ダイヤはその場で膝をついた。


 剣にもたれかかるようにして、

 意識を失った。


 砕けたダンジョンを、

 コノハの木の根が静かに繋いでいく。


 その根が、

 傷ついたダイヤを優しく包み込んだ。


 ダンジョン内にいた者たちは、

 その衝撃に呆気にとられた。


 冒険者だけでなく、

 魔物たちまで呼吸を忘れて立ち尽くす。


 誰も理解できなかった。


 これほどの斬撃を、

 人間が放ったということを。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


少しでも面白い思っていただけましたら、

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よろしくお願いします!

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