63話 英雄の再会
英雄コランダムが、リュウドウ王国へとやって来た。
ファンファーレが鳴り響き、カラフルな花びらが街を舞う。
白馬に乗り、ゆっくりと街を闊歩するコランダム。
銀色の鎧の背で、白いマントが風に揺れていた。
「歓迎ありがとう!
私が来たからにはもう大丈夫だ。
この街は守られる」
その言葉に、住民たちの歓声が巻き起こった。
「女神の加護があらんことを……」
騎士を思わせる風貌は、まさに女神の守護者そのものだった。
国中が、彼の到着に沸き立っていた。
***
しばらくして、コランダムがギルドに現れた。
「私は疫病のダンジョンが復活したと聞いてやって来た。
誰か現状を教えてほしい」
A級冒険者のトパーズが前に出る。
「俺はあのダンジョンで敗北した。
でも……」
ギルド中の視線が集まる。
「過去の疫病のダンジョンとは様子が違う。
そこまでの害は感じられない。
ただ……」
「ただ?」
「恐ろしく、魔物が強い。
低層からの階層ボスに、
開拓のダンジョンの女王が配置されているほどに……」
「それは大変だ」
コランダムは跳ねあがった口髭の端を整えた。
「君はそのダンジョンに詳しいのかね?」
「いや。
俺たちは、まだ一度しか訪れていない。
そして四階層で全滅した」
「君たちの階級は?」
「三人パーティーの全員がA級だ」
「うむ。
誰か他に詳しい者は?」
「恥ずかしながら……
俺たちよりもD級パーティーの方が深く潜っている。
彼らのほうが詳しかと」
「その冒険者と話がしたい」
D級パーティー《スファレライトの輝き》が呼び出された。
ダイヤは、隠れるようにメンバーの後ろに立っていた。
その姿を見た瞬間――
コランダムが目を見開き大口を開けて固まる。
「君は……
ダイヤモンドか……
ダイヤモンド・アル・アダマス……」
皆の注目がダイヤに集中した。
「久しぶりだ、コランダム。
元気そうだな」
「やっぱりダイヤなのか!
死んだと思っていたぞ!
生きていたのか……」
コランダムは思わずダイヤを抱きしめる。
「いや~、良かった。
本当に良かった」
ダイヤの顔には、嬉しさと困惑が入り混じっていた。
やがて二人は、ギルド長に頼んで個室へ移動することになった。
***
「元気そうでなによりだ。
だが、アダマス王国では探し回っていたぞ?
知らせなくていいのか?」
「知らせるどころか、黙っていてほしい」
ダイヤの表情が沈む。
「俺は王位継承争いに巻き込まれた。
妻や子供を……俺が殺したことになっている。」
ダイヤがコランダムの手を取った。
「だから……頼む。
黙っていてくれ」
必死だった。
それを見たコランダムは黙って天を仰ぐ。
「なんということだ……」
「せっかく立ち直れたんだ。
それに今の生活が楽しいんだ。
壊さないでほしい」
D級パーティーの仲間たちも深く頭を下げていた。
コランダムがおもむろに剣を抜き、
胸の前で剣の刃先を上に向ける。
「女神に誓って。
私は誰にも話さない」
礼節を重んじる騎士としての誓約だった。
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