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回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


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57話 動き出す勇者候補

 

 冒険者ギルドでは――


 サンクのダンジョンの話で持ちきりだった。


「おい、ダイヤ!

 あのダンジョンはどうなっている」


 トパーズが詰め寄る。


「どうなってるって?」


 ダイヤは平然と答えた。


「ダンジョンボスだったアリが、

 階層ボスとなっていたぞ。

 しかも、浅い階層のだぞ」


「あのアリ、ダンジョンボスだったのか。

 知らなかったよ」


 トパーズは、ダイヤの実力を探るように質問を続けた。


「開拓のダンジョンを、お前は知らないのか?」


「ああ。

 俺はここに来てまだそんなに日が経ってないからな。

 知らなかったよ」


 トパーズの目が細められる。


 ダイヤの腹を探るような視線だった。


「お前たちはどうやって六階層まで行ったんだ?」


「今回はアリのボスの手前で引き返したから、

 俺たちは六階層まで行ってないぞ」


 それでもダイヤは平然としていた。


「なに!?

 すると階層ボスは何度も変わるというのか」


 トパーズが顎に手を当て、眉をひそめる。


 鋭い視線がダイヤに向けられた。


「ということは……

 お前が戦った階層ボスより、

 今の階層ボスのほうが弱いということか……」


「そうとは限らないだろ?

 違和感を感じたから俺たちは引き返したんだ」


 真実を交えながら、うまくかわす。


「何者なんだ、あのダンジョンのボスは……

 ゾンビとか、厄災の魔王だとか、大したことないとか……

 どの噂が本当なんだ」


「さあな」


 ダイヤは笑っていた。


「だから、あのダンジョンは面白いんじゃないか?」


「そ、そうだな……

 殺す気もないみたいだしな」


 そんな話をしていると……


 五大英傑の一人であるS級冒険者のコランダムが、

 この街に訪れるという噂が流れた。


 ギルドの中がどよめく。


「この街に勇者候補がやって来るってよ!」


「厄災の霧じゃなかったけど……。

 すべての国民が眠りに襲われたのは脅威だろ」


「これでこの国も救われるな」


「俺はあのダンジョン、楽しかったのになぁ。

 また廃墟のダンジョンになっちまうのか?」


 冒険者たちは、

 恐れている者と期待している者に分かれていた。


 そんな状況だからこそ、

 勇者候補が動いたのかもしれない。


 ダイヤはそう考えていた。


「時間の問題かな……」


 自分の正体がばれるのも、

 そう遠くない未来だろう。


 今は幼少期に使っていた通称――

 

 ダイヤの名前を使っている。


 当時D級として登録した記録が、

 そのまま残っていた。


 しかし……


 冒険者の一人が高らかに声を上げた。


「五大英傑。


 コランダム。

 ダイヤモンド。

 ミスリル。

 アダマンタイト。

 オリハルコン。


 勇者候補が我らの街にやって来る!」


 その中に、自分の名前もあった。


 ダイヤは視線を落とした。


 隠れるように、仲間の元に戻る。


 


 消息不明。


 生きているのか死んでいるのかも分からない存在。


 それが今のダイヤモンドだった。


 だが、


 コランダムと出会えば、

 嘘では逃げ切れない。


 そのコランダムが、


 サンクのダンジョンに興味を持ったらしい。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


少しでも面白い思っていただけましたら、

ブックマークや↓の『☆☆☆☆☆』で応援いただけると、とても励みになります。


よろしくお願いします!

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