56話 王の裁定(最低)
ムマはサンクの命令に背き、
人間を殺そうとした。
その処罰を決めるため、
俺は王としての裁定を下そうとしていた。
***
「違う!
コノハ殿の能力を見込んで、
そのくらいの攻撃をしてもようと判断しただけじゃ」
コノハは目を細めムマを見下していた。
「まだ、こいつの言うことを信じますか」
そうだなぁ……。
王として処罰を下さなければならないよな。
約束を破った配下を許せば……
約束そのものが意味を失う。
王の言葉が軽く思われてしまう……。
迷うなぁ……。
「こいつを食っていいかな?
暇だったから、シンエイと相談してたんだよね」
レッドは、ムマの階層で冒険者が止まり、
その隙にシンエイと何やら動いていたみたいだった。
「アリがさあ、
僕の階層でまた暴れるから、そいつを食ったんだよね……
そしたら、僕の眷属の情報がムマに渡ってたみたいなんだ」
シンエイとは相談していたのは情報解析の話しかな?
それよりも、ムマの処遇を考えないと……。
「ムマよ……
お前を追放する」
と言いかけた。
その瞬間だった。
「わらわは誰の命令も聞かぬ。
わらわは女王であるぞ」
ムマは転がったまま、体から何かが噴き出し始めた。
「王様!
フェロモンを吸わないでください!
匂いで誘惑しています!」
コノハがとっさに叫んだ。
甘い匂いが周囲に広がる。
レッドも
シンエイも
ドリュウも
力なくその場に倒れた。
***
コノハだけが、かろうじて意識を保っている。
「こいつ……
何か仕掛けてきたの?」
俺は何が起きたのか分からなかった。
<なぜだ!?
なぜ、お前に効いていない!?>
「なぜじゃ!?
なぜ、お前に効かぬのだ!?」
ムマとカンカイの声が、
シンクロして思わずおかしくなった。
「魔王と女王のコラボだ!
あはははは!」
笑いが止まらない。
「これって攻撃されてるの?」
笑い死にしそうだ。
「カンカイまで俺を攻撃するなよ」
<あれはフェロモンを吸い込ませ、
思いのままに操る技じゃ。
どういうことだ!?>
「お前、そいつに勝ったんだろ?」
<あの技を出される前に殺したか、
血の結界を張れたからな。
だが、今は不意打ちじゃ>
「へぇ。
お前にも効くんだ」
少し嬉しくなった。
「万能じゃないんだな」
<うるさい。
我は最弱の回復師だ>
「魔王のくせに……
カンカイもかわいいところがあるじゃないか」
おかしくて仕方ない。
膝をつき、地面を叩いて笑っていた。
気づくと……。
目の前のムマが血だらけになっていた。
「どうしたムマ。
大丈夫か?」
<お前の方が面白いな。
頭どうかしておる……>
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