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回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


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52話 女王の誇り

 そしてボス部屋では――


 ムマは癇癪を起していた。


「わらわは元より女王であるぞ。

 誰かに指図されるの筋合いはない」


 巨大なアリの背に据えられた玉座へ腰を下ろす。


「それにしても妙じゃ」


 足を高々と上げ足を組み替える。


「あの時の魔王とはまるで別人じゃ。

 あの強者の気配はどこに消えた?」


 自分の体を見下ろす。


「進化したのはよいが……

 わらわの可憐な姿が人間へと近づいていくのも気に入らぬ」


 ムマがつぶやいていると……


 ボス部屋へ侵入者が現れた。


 B級パーティーのアパタイトたちだ。


 アパタイトが辺りを見回しながら、

 警戒して入ってきた。


 そしてムマを見て驚く。


「あ……あの時のアリ……!」


「何だこの弱々しい人間は……

 こんな輩をわらわが相手しなくてはいけないのか?」


「ば……化け物だ!」


 アパタイトの仲間がムマを指さす。


「おのれ人間。

 わらわのことを化け物だと?

 頭が高いわ」


 ムマが顎で命じる。


 羽アリが動いた。


 進化した女王の影響なのか、

 わずか数日でムマは親衛隊の羽アリまで育て上げていた。


 大量にアリを生み出す能力によって、

 お互いを戦わせ競わせる。


 すでに、


 ムマの元には小さな軍隊が完成しつつあった。


 羽アリが、アパタイトに襲いかかる。


 その瞬間だった。


 木の根が伸びた。


 羽アリの槍が、根に突き刺さる。


 矛先は、アパタイトの首元寸前で止まっていた。


「あわわわわ……」


 アパタイトは尻もちをついて腰を抜かしている。


「人間の見方をするのか?

 コノハ」


 ムマが目を見開いてコノハに言った。


「殺すなという、王の命令です。

 あなたも聞いていたはずです」


 コノハは冷静だった。


「破るつもりですか?」


「こんなくらいで死にはしない。

 邪魔をするな」


「王に報告します」


 巨大なアリが踏み潰そうとした瞬間。


 木の根がアパタイトたちを包み込んだ。


 そして地中へ消えた。


 その時、アパタイトたちはあまりの恐怖に気絶していた。


 ***


「また来訪者か」


 次にムマのボス部屋へ来たのは、

 A級パーティーだった。


 トパーズ。


 クオーツ。


 フェルス。


 警戒しながらも、どこか余裕を感じさせていた。


「街がアリに襲われたと聞いていたが……

 そいつらがダンジョン入りしていたのか?」


 トパーズが剣を構える。


「上層にしては強すぎる」


 クオーツが魔法の盾を展開する。


「……あれがボスか」


 フェルスが杖をムマに向ける。


「巨大なアリが一匹。

 鎧のアリが三匹。

 羽アリが二匹」


 トパーズが分析するように一体一体に視線を向ける。


「王のような奴には警戒を怠るな」


 三本指を目から前へ突き出した。


 目くばせで三人がうなずく。


 そして、

 

 三人が同時に動いた。


 一気に鎧のアリへ、三人がそれぞれ対峙する。


 その瞬間――


 トパーズが鎧のアリの首をはね。


 クオーツは空を飛ぶ盾で、

 鎧の隙間に首、肩、腰をめがけ突き刺す。


 フェルスは火の柱を巻き上げ、

 鎧のアリを丸焦げにしていた。


 鎧のアリは、一瞬にして三匹とも力なく倒れた。


 それを見ても、

 

 羽アリと巨大アリは微動だにしなかった。


 巨大アリは、足を使って顔を整えている。


 羽アリは直立不動で目線さえ動かさない。


 命令を待っているように……。


 命令を下せる者はただ一人。


 ムマだけだ。


「いけ」


 ムマが小さく顎を振り、


 動き出すアリたち。


 巨大なアリが三人を踏みつぶそうと立ちあがった。

 

 踏みつける脚をトパーズが剣で防ぎ、

 クオーツが盾を何重にも重ねて防ぐ。


 フェルスは、避けながら魔法の杖を突き立てる。


 巨大アリの脚が、地響きとともに土煙を上げた。


 その土煙が消え、フェルスの姿が見えてくる。


 すると、


 二匹の羽アリが、


 フェルスを槍で串刺しにしていた。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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