48話 弱さと強さ
「コノハちゃん。
カブトのボス部屋は、鍵かけないでいいからね」
コノハが俺を睨んでいる。
「ちゃん……!?
セクハラです!」
「え~!?
ちゃんで読んだらセクハラなの?」
「逮捕されますよ」
「誰に?」
「さあ?」
でも、シンエイがいるから、俺の出番はないだろうな。
問題は、ダイヤか……。
ダイヤだけは、シンエイは素通りさせるからな……。
絶対あいつは、ダイヤと俺を戦わせたいと思ってるな。
「なあ、カンカイ」
あの血が噴き出すやつ。
どうすればいいの?
配下がすごく怖がってたからね。
必殺技に使えるよね?
<そう願えばよかろう>
「配下の会話で聞いたんだけど、
みんな眠っちゃうんでしょ?」
<本来はそうではない。
死をもたらす毒の霧だ>
「何で眠る霧になったの?」
<それは我のほうが聞きたいわ!>
「でも、眠らせて装備をはぎ取って、
入り口に放り込めば最強だよね。
生命力とお宝を取り放題だ」
<そういうところは、えげつないな>
「ダンジョンに挑むんだから、
それなりの報いはあって当然だろ?」
<まあな>
「強い奴は弱い奴に容赦しないじゃん
ずっとそうだった」
<逆だろ?>
「逆?
意味が分からない」
<そうか>
「俺は能力を持っていなかったから、
誰にも相手をされなかった」
<そうか……>
「ギルドでも、街でも。
誰も俺を相手にしてくれなかった」
<弱いお前は、我の前に挑んできたがな>
「今は違う。
だから、弱い俺が報いを受けさせてやる!」
<弱い奴ほど許すことはできないか……。
まるで我のことか>
「お前は強いんだろ?」
<我は弱い。
……最弱の回復師だ>
「でも、魔王だろ?
強いじゃん」
<本当の強さとはそういうものではない。
ただ、お前は持ってると思うぞ>
「じゃあ、お前の言う強さとは何だよ?」
<それは自分で考えろ>
「けちっ」
<お前に力を譲った。
我とは違った物語を見せてもらえそうだったからな。
お前の強さを見せてくれ>
「でもさあ、配下が話していることを聞いたんだけど、
昔の血の霧は人を殺す毒だったんだろ?」
<ああ、そうだ>
「あれはダメだね」
<我に言うようになったな>
「なんでそんなに憎かったんだ?」
<我が弱かったからだ>
「なるほどね」
その言葉が妙に心に刺さった。
<……>
「本当の強さね……。
頑張ってみるよ」
<お前にこの力を渡して良かった……>
「なに?」
<こう言う大事なところだけ、聞こえないんだな>
そう言ってカンカイが笑っていた。
少しだけ嬉しそうに。
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