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回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


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45/88

45話 覚えていない勝利

 魔王カンカイがサンクと入れ替わり、

 アリの侵攻をひとりで止めてしまった。


 女王アリは拘束され、

 残りのアリはすべてカンカイによって討ち滅ぼされた。


 血を搾り取られ、サンクの体へと吸収された。


 そしてサンクの体からは、

 禍々しいオーラが溢れていた。


<サンク……

 サンク……

 目覚めよ>


「はっ!?」


 胸を押さえる。


 確か……

 刺されたはずだ。


「俺は死んだのか?」


 だが、胸に傷はなかった。


<ようやく目覚めたか……。

 アリは片づけてやったぞ。

 あとはお前に任せた>


「え?

 どういうこと?」


<おお、それとな……

 アリの魔力を奪ってやった。

 感謝しろ>


「なんだって!?」


<少し疲れた……。

 我は休む>


 おい、カンカイ。


<……>


 目の前には……。

 心配そうにこちらを見つめるコノハがいた。


 どうやら俺は玉座に座ったまま、眠っていたらしい。


 眼下には配下が伏していた。


「あっ……まおうちゃまのお目覚めでちゅ。

 皆のもの、面を上げるでちゅ」


 レッド。

 ドリュウ。

 シンエイ。


 そしてコノハが跪いている。


 カブトはボス部屋の繭の中で、静かに眠っていた。


「この者の処遇はどういたしまちゅか?」


 シンエイに拘束されたまま、アリの女王が伏している。


「なんで拘束されてるの?」


「それは、カンカイちゃまが……」


 コノハが口を押えた。


「はっ!?

 いえ……まおうちゃまのなされたことでちゅ」


「俺が?」


 まったく覚えてない。


「そうでちゅ」


 ……確かに、カンカイがそんな話をしていた気もする。


 魔力を奪った、とか。


「そうだった……たしか……」


 そう、つぶやいた瞬間。


「さすが魔王様!」


 シンエイやレッドが尊敬の眼差しを向けてくる。


「いや今の言葉は思い出したって意味で……」


 配下たちは、俺の言葉を誰も聞いてなかった。


 ……まあいいか。


「そういえば魔物の魔力って奪えるの?」


 レッドがその言葉に答える。


「僕の眷属は魔物にやられると、

 情報を持った魔力が戻ってくるんだ……です」


 レッドの語尾がおかしい。


「でも、残りの魔力は……

 勝ったものが魔力を奪う感じだね……です。

 魔王様の奪い方は、すべて奪ってた感じだけど……です」


「ああ、だから眷属同士で戦うと

 勝った奴の体が大きくなってたんだ!」


「そうだね……です」


「なんだよレッド。

 さっきから変だぞ」


「だって魔王様が次はないって言うから……」


「俺そんなこと言った?」


「え~!?

 覚えてないの?」


 レッドの表情が、いつものように戻ったみたいだ。

 顔はないけど……。


 でも、これでよかったのか?


 ……俺はレッドに何をしたんだ?


「さて」


 俺は女王アリの方を見た。


 どうしようかな……。


「前へ」


 シンエイが女王を押し出した。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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