37話 強さの正体
アリの侵攻は止まらない。
ダンジョン内部にまでアリが押し寄せていた。
シンエイは、第二階層のボス部屋で巨大なアリを撃破する。
しかし……
新たな敵の出現によって、シンエイの刀が折れた。
――シンエイ――
青みがかった黒い鎧をまとったアリが、
ゆっくりとボス部屋の中へと踏み込んできた。
普通のアリたちは、
その個体を避けるように左右へ分かれる。
いつのまにか、シンエイは群れに囲まれていた。
鎧のアリが目の前で止まり、
ハサミのような顎をカチカチと鳴らす。
シンエイは折れた刀を鎧のアリへ投げつけた。
が、
鎧のアリが首を傾け、それを避ける。
空を走る刀。
その刀は後方のアリの頭部に突き刺さった。
「ふむ。
堅さだけではないようですね」
シンエイは手首から血を流し、
瞬時に固めて新たな刀を形成する。
二刀を構え、
カマキリのような姿勢でアリを睨む。
それに呼応するかのように鎧のアリが顎を鳴らす。
カチカチという音が、少しずつ近づく。
周囲のアリたちも、じりじりと間合いを詰めてくる。
半径一メートルの間合いに踏み込んだ瞬間――
シンエイの刀が光の筋となって残像を残す。
その筋に沿って、アリの体が斜めにずり落ちた。
それを見計らったかのように、
鎧のアリが真っ正面から突進してきた。
右腕の刀で受け止めるシンエイ。
シンエイの顔が、噛み砕かれそうなほど近い。
刀と顎の間でカチカチと顎が鳴る。
粘った液体がアリの口元から滴り、
シンエイの頬へと落ちた。
そのとき――
均衡が崩れた。
アリの顎のハサミが、シンエイの刀を折る。
と同時に、シンエイの顔に迫った鎧のアリの頭が……
ずるりと落ちた。
シンエイは左の刀で、
装甲の隙間から首を断ち切っていたのだった。
それでも止まらないアリの群れ。
空中で飛び掛かったアリたちが、
血しぶきを散らしながら崩れ落ちる。
しかし侵攻は止まらない。
さらなる鎧のアリ。
次々と巨大なアリが侵入してきた。
「ふむ、ならばこれはどうでしょうか?」
シンエイが刀を捨てた。
両手首から再び血が流れる。
「パチンッ」
しなる鞭のような音が響いた。
シンエイの右腕が消えたように見え、
鎧のアリの首が転がった。
鎧のアリも、巨大なアリも、
すべてのアリが一斉に襲い掛かる。
しかし、
シンエイの腕が再び消える。
血が鞭のようにしなり、
無数のアリへ絡みつく。
そして腕を胸へと引き戻すと……
アリの体が引き裂かれ、
肉塊となって地面へ転がった。
***
ダンジョンの外では、
朝日がゆっくりと森を照らし始めていた。
夜が明けたのだ。
そしてダンジョン内では……
レッドが赤ウニとなってアリたちを串刺しにしていた。
赤い悪魔となって串刺しにしながら走り抜ける。
颯爽と現れたレッドに比べ、
カブトは……
なぜかサナギになっていた。
しかし、二体の配下が復活したのだ。
復活の儀式は終わり、
サンクが戦場へと踏み出す。
「さあ、これで俺の出番だな」
震えながらも胸を張り、
サンクは堂々と大見得を切った。
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