30話 魔王の力
少し前にさかのぼる。
――魔王サンクの目線――
ダイヤが鬼気迫る顔で、少しずつ近づいて来る。
「ひっ!
ひえ~~~!!!
こっちに来るな!」
俺は咄嗟に両腕をスライドさせるように振り払った。
すると――
冒険者たちが血みどろになって倒れていた。
「どうしよう……。
なんでこの人たち、自分から壁にぶつかったりしたの?
頭おかしいの?」
そこにコノハが出てきた。
「さすが魔王ちゃまです」
「この人たちが勝手に……」
「魔王ちゃまのお力でちゅ!」
真剣なまなざしに、俺はまんざらでもないような気がしてきた。
「魔王の力を見たか!
はっはっはっはっは……」
冗談で言ったつもりなのに、コノハが拍手している。
<ようやく、魔王らしくなったのう>
「あの冒険者たち、馬鹿なの?
自分から自滅しちゃったよ」
<お前がやったのだ>
「またまた冗談を……」
<我の言った通りだったろ?
お前がダンジョンを守りたいと思ったから、この結果になった。
それでいいじゃないか>
「俺は何もしてないぞ」
<冒険者の前に立ちふさがっただろう>
「怖くて謝って許してもらおうとしただけだけどね……」
<あれは良くないな。
お前は魔王だ。家臣に恥ずかしくない姿を見せねばならん>
「そうだな。
今度は頑張ってみるよ」
さて、この冒険者をどうしたものか……。
「そうだ。
こいつらの武器や防具を頂こう」
「はいでちゅ、まおうちゃま。
さすが魔王様でちゅ。
みたでちゅか、魔王ちゃまの力を!」
コノハが腕組みをして胸を張っている。
「フフフフフッ」
「いいから回復してやれ」
「ほんとに優しいんだから、魔王ちゃまは……ポッ」
「それと、ドリュウに指示だ。
出入り口付近に部屋を一つ作ってくれ」
「それとカブトにベッドを作ってもらおう」
「カブトは死にまちた……」
「ああ、そうだった。
早く復活してやらないとな……
ということは、ベッドは無理か……」
そこへドリュウが現れた。
「ドリュウの眷属にベッドを作らせましょうぜ」
「できるのか?」
「お安い御用で」
「コノハはこいつらの回復が済んだら、
その部屋に運んで寝かせてやってくれ」
「そこまでする必要はないでしゅ」
「ちがう。
こいつらを放り投げて外に逃がすより、
寝かせてたんまり生命力を頂くんだ」
「なるほどでちゅ!
さすが、まおうちゃま」
<お前も、結構えげつないな>
「あ、そうだ!
生命力を貰うんだ。
だから、魔石は彼らに差し上げようじゃないか」
「椀飯振舞でちゅね。
そんなところも……ぽっ」
そして冒険者たちは、
コノハの根に優しく包まれ、
地面へと引き込まれていった。
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