25話 各階層の守護者
サンクの目の前に、
カブトとカマキリが横たわっている。
俺はカブトの体をさすりながら話した。
「カマキリの魔物に、殺されかけて……
可哀想に」
<お前が殺しかけたんじゃ!>
「怖かっただろ?
失神までしてしまって……。
ほら、魔力を飲むんだ」
俺は骨の指先で手を切りつけ、
カブトに血を飲ませた。
すると、次第に体が大きくなっていく。
やがて、カブトが目を覚ました。
「私は……死んだのか?」
その体は、
ダンジョンの通路がやっと通れるほどの大きさになっていた。
巨大な体となったカブトが、小刻みに震える。
「はっ!?
魔王様……私を蘇らせてくださったのですか?」
「いや、死んじゃいなかったぜ。
それにしてもデカくなったな」
「はい。
もう少しすれば、蛾へと進化できるはずです」
「蛾!?」
「はい。
私は蛾の幼虫です」
「カブトムシの魔物じゃないのか?」
「魔物なので正確には蛾ではないのですが……
魔王様の能力に引き寄せられていきます。
なので、魔王様がカブトというなら、私はカブトです」
よく見ると、
カブトの頭には、カブトムシの角のような突起が生えていた。
そして、
カブトは転がっていたカマキリに赤い糸を巻き付けた。
「こいつはどうします?」
「仲間にしようと思う。
強そうだしな」
「そうですか。
では……
私は二階層を守る守護者として、魔王様に忠誠を誓います」
そう言って、カブトはバリバリと音を立てながら去っていった。
ダンジョンの通路を砕きながら、ボス部屋へと向かっていく。
「さてと……
カマキリに血を飲ませれば配下になるのか?」
「はいでちゅ」
<ダンジョンの魔力核に繋がるだけだがな。
忠誠心は別だ>
「なら、こいつにも血を飲ませるか」
カブトと同じように、手を切って血を飲ませた。
「はっ!?
ここはどこだ!
拙者は死んだのか?」
「いや、死んじゃいない。
それから俺の配下にした。
お前に魔力をやったからな」
「ダンジョンを荒らした拙者などに……
魔力を分けていただけるのですか?
なんと寛大な!」
カマキリは身動きが取れず、もがいていた。
「これは何と柔軟で固い糸。
鉄のようでもあり、赤い血のような糸ですな。
切り抜けることもできますが、少々時間がかかるか……」
レッドやドリュウ、コノハが警戒する。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
少しでも面白い、続きが気になると思っていただけましたら、
ブックマークや↓の『☆☆☆☆☆』で応援いただけると、とても励みになります。
よろしくお願いします!




