20話 謎の冒険者
俺は冒険者に何度も来てもらいたくて、
楽しくなるようなダンジョンにしたかった。
それには、お宝が必要だ。
罠をうまく使えば、冒険者から武器や防具を貰えると考えた。
魔物を倒し、魔力の結晶である鉱石を冒険者に与えるんだから、
冒険者から貰ったっていいだろ?
費用対効果だ。
そう考えた。
でも、その日ダンジョンに現れた冒険者たちは……
どこか違っていた。
***
そんなとき、冒険者パーティーがダンジョンに現れた。
「おい、ダイヤ。
このダンジョン、噂だとかなりヤバいらしいぞ」
「うん。
だから、見に来たんじゃないか」
その冒険者は、落ち着いた声をしていた。
辺りを見回し、油断がない。
「俺たちは、D級冒険者しかいないパーティーだぞ。
もし、恐ろしい魔物が出てきたらどうするんだ」
だが、仲間たちはそうでもないようだ。
「その時は逃げればいい。それだけだ」
リーダーは、ダイヤと呼ばれるD級冒険者のようだ。
妙にどっしりとした落ち着きが、引っかかた。
一階層は、スライムが担当している。
そしてそのボスはレッドだ。
「これはいい機会だ。
レッド、お前の実力を見せてやれ!」
「うん。分かった」
俺は、モグラのドリュウにも指示を出した。
「二階層まで来たら、お前の罠を見せてくれ。
実験のチャンスだ」
「任せてくだせえ」
そう言って、床の中に潜っていった。
***
コノハは至る所に隠し部屋を設置してくれていた。
「おうちゃま。
ここから見えるでちゅ」
「さすがだ。
コノハ」
また、もじもじしていた。
スライムたちが倒されていく。
だがそれは、
レッドが次々と冒険者の情報を手に入れている、
ということでもある。
「……ん?」
レッドは何か異変を察知したらしい。
「どういうことかな。
あのリーダー……本当にD級か?」
レッドのいるボス部屋に近づいてくる冒険者たち。
スライムたちをまるで相手にしていなかった。
ボス部屋の、赤い扉が開かれる。
「ふっふっふ。
よくここまでたどり着いたな」
「スライムのくせに偉そうだな」
リーダーのダイヤは、腕を横に突き出し仲間を止めた。
「本物だ」
ダイヤの雰囲気が変わった。
「赤いスライムなんて見たことがない。
こいつは強いぞ」
ダイヤが盾を構え、剣を突き出す。
そしてレッドが動いた。
赤い残像を残し、床に土煙が舞う。
レッドは一瞬で足元にいた。
「行け! 今だ!
お前の必殺技を見せてやれ!」
俺はそう心の中で叫んだ。
レッドから、鋭い針が放たれた。
そして――
冒険者ダイヤの体を貫……
貫かなかった!
貫くどころか、レッドの針が砕け散った。
「なんて固い体をしてやがる」
そうレッドが叫んだ、その瞬間。
冒険者ダイヤの剣が振り抜かれた。
レッドの体が、霧のように消えてしまった。
「レッドーーー!!!」
レッドが……消えた。
胸が、締め付けられる。
「俺のせいだーーー!!!」
<落ち着け>
「うおーーー!!!」
<落ち着けと言っておろうが>
これで落ち着けるわけがないだろ。
<レッドはもう、お前の仲間になったのであろう>
そうだが?
<ならば、復活させればよい>
復活できるのか?
<どうやって、モグラやコノハが生まれてきたというのだ?>
……あっ。
<そういうことだ。
お前の配下だろう>
なんだ。
泣いて損したな。
<……だが>
カンカイの声が低くなる。
<あの冒険者。……曲者だな。
傷が、一切ついておらん>
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