14話 真の実力
「がおーーー!!!」
俺は腕を振り上げ、ゾンビのようにおどけてみた。
「あれのどこが、魔王なんだ?
低級ゾンビじゃないか」
<お前、今のは脅しているつもりか?
猿が腕を上げて喜んでいるようにしか見えんぞ>
俺に意識が向いているうちに、
スライムが攻撃を仕掛けた。
「今の相手は僕だぞ!」
スライムの攻撃が、冒険者にヒットする。
「ぽよ~ん」
剣士が、きょとんとした目でスライムを見る。
「攻撃を当てられ、実力の違いが分かったか!
あっはっはっはっは」
俺は、スライムが得意顔になっていると分かった。
顔はないけど……。
しかし、冒険者たちは逆に元気を取り戻した。
「このスライムは、見掛け倒しだ!
おそるるに足りん。
今だ、魔物どもを狩るぞー!」
スライムのレッドが、瞬間移動のように俺の前に現れた。
「手加減すると、僕の攻撃力じゃあ効かないみたいだな。
王様。手加減なしで攻撃してもいいか?」
「人間を殺すなよ。
殺したら、あいつらしつこいからな」
「それは保証できない……かな?」
人間を殺せば、恨みを買って大軍勢でやってくるだろう。
今、そんな状態になったら、ダンジョンを消されてしまう。
それは避けたい。
<大勢来てもらった方が、一気に殺せて一石二鳥だぞ>
お前の言うことは聞かないって言っただろ。
「レッド。
お前は何をするつもりなんだ?」
ちょっと考えた様子のスライムが、つまらなそうに答えた。
「せっかく、サプライズで僕の強さを見せたかったのに。
言ったら、ネタバレじゃん」
「良いから話せよ」
「王様は、僕に血を分けてくれたから、
僕は王様の血を体内の魔力と癒合して魔力体から
血肉体になったんだよね」
「うん。
なに言ってるか分からんけどな」
「だから、王様に殺されかけたとき、
血が固まるってことを知ったんだ」
「俺はお前を殺そうとしたことは、
一回もないぞ」
「ただ、僕には血の概念を持っていないから、
他人の血をコントロールすることはできないんだ」
「お前難しいことを話す奴だったんだな。
俺には一つも意味が分からん」
「だからね。
僕の体を固める技が出来そうなんだよね」
「なるほど!
止血魔法の応用だな!」
<そこだけは理解できるのか……>
「じゃ、王様。
行ってくるね」
「くれぐれも、人間は殺さないようにな」
「うん。
頑張ってみるよ。
期待しないでね」
すると、レッドの姿が消えた。
土煙が床を舞う。
それと同時に――
レッドは冒険者の集団の真ん中に姿を現した。
「ハリネズ……ミッ!」
レッドがそういったかと思うと、
恐ろしい光景が俺の前に広がった。
レッドの体が――
一瞬で膨れ上がる。
次の瞬間。
無数の針が、
破裂するように四方へと飛び出す。
まるで
巨大な赤いウニのようだった。
そして、その針は……
冒険者たちを串刺しにしていた。
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