13話 実力
冒険者の集団に赤いスライムが駆け巡る。
赤い残像が光の筋となって冒険者を翻弄した。
「見せてもらおうか。
冒険者の実力とやらを……」
スライムのレッドは、王のためにと奮い立つ。
***
「レッドめ、あいつやるじゃないか!」
俺はワクワクしながら
弱小モンスターのスライムが活躍する姿を期待した。
すでに気づいた時には
冒険者の足元に達していた。
「なんだこの赤いスライムは!
こんなスライム、見たことないぞ!」
冒険者たちが動揺している。
「速い!?
これはスライムの動きじゃねえ!」
B級冒険者の剣士が、慌てて剣を振り下ろす。
すると、赤いスライムが真っ二つに切られた。
「切った感触がねえ……」
それは赤い残像だった。
きょろきょろと周りを見渡し、
剣を構えながら汗をぬぐう剣士。
その時――
赤い影が剣士の背後に現れた。
すかさず背後へ剣を振りかざす。
「なにっ……消えた!?」
そんなスライムを見て、俺は思わず叫んだ。
「行け! レッド。
俺が補助してやる」
そして、俺は手をかざした。
すると――
冒険者の動きが、ぴたりと止まった。
「な、なんだ……体が……」
と同時に、スライムも静止していた。
「どうしたレッド。
今がチャンスだろ」
俺の手は興奮から、行け行けと手でジェスチャーを送った。
その手の動きと同じように、皆が吹き飛ぶ。
スライムも冒険者も、同じように。
「なにを遊んでるんだ」
<遊んでなどおらんわ。
その前に、このままだとスライムまで死ぬぞ……>
「え!?
スライムがピンチなのか?」
そう言って、俺が頭を押さえた途端、
皆が一斉に動き出した。
「王様!
僕の邪魔をしないで下さい」
冒険者たちも、呆然としていた。
「はあ、はあ、はあ……
何が起きたんだ?」
前に来た冒険者が、慌てたように俺を指さしていた。
「剣士の旦那……。あ……あ、あいつです!
今と同じ訳の分からない力で、俺たちを殺そうとした奴です」
俺は冒険者に来てもらうために、
ちょっと脅してやろうと思った。
「がおーーー!!!」
腕を振り上げ、ゾンビのようにおどけてみた。
「あれのどこが、魔王なんだ?
低級ゾンビじゃないか」
<お前、今のは脅しているつもりか?
猿が腕を上げて喜んでいるようにしか見えんぞ>
……魔王の威厳など、どこにもなかった。
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