12話 赤いスライム
能力を持たない俺は、冒険者になることもできなかった。
だから、冒険者にランクがあることも知らなかった。
「B級ってそんなに強いのか!?」
<フハハハハ!
片腹痛いわい>
うるさい。
能力がないから冒険者になれなかったんだよ。
知らなくて当然だろ。
<それはすまんかった。
冒険者はD、C、B、A、S級とランクがある。
S級が我の知っている最上級じゃな>
なんでカンカイがそんなことを知ってるんだよ。
<我は元人間じゃと言ったろ?
もともと、D級冒険者の回復師だったんじゃ>
D級って最弱じゃん。
<前に話しただろうが!
最弱にして最強の……>
お前に、なんだか親近感がわいて来たよ。
<お前呼ばわりか……。
我は最強の魔王……>
「レッド。
お前なら、B級冒険者に勝てるか?」
「まだ進化したばかりだから分かんないよ。
二回も進化したけど、
戦っていないから判断できないね」
「はあ?
二回進化した?」
「うん。
二回、王様の魔力を吸っただろ」
すごいな、そんなに簡単に進化するのか。
<簡単じゃないだろ。
魔力を吸われれば、魔力がなくなる。
お前、死ぬぞ>
なるほどな。
なおさら、冒険者に喜んでもらわないとな。
「おうちゃま。
レッドばかりにずるいでちゅ。
あたちにもくだちゃい!」
コノハが腕組みしながら、
地団駄を踏んでいる。
「魔力が増えたらな」
「約束でちゅよ」
俺は、レッドの能力も確認したくて、
赤いスライムのレッドを戦わせてみることにした。
「レッド。
くれぐれも、冒険者を殺さないようにな。
お前が死にそうになったら、俺が止血してやる」
「止血!
それだけは勘弁してくれ。
死にたくないからね」
<やつめ、よく分かっておるわ
フハハハハ>
「なんだよ、せっかく助けてやろうと思ったのに」
「大丈夫だよ、王様。
僕はいざとなったら分裂して逃げるから。
絶対に、止血しないでね!」
そして――
赤いスライムが消えた。
次の瞬間。
土煙だけが巻きあがる。
赤いスライムの残像が、
ダンジョンの床をジグザグに走り抜ける。
「見せてもらおうか。
冒険者の実力とやらを……」
気づいた時には、
赤いスライムはすでに冒険者の足元にいた。
「なんだこの赤いスライムは!
こんなスライム、見たことないぞ!」
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