10話 王の危機
数日が過ぎると、スライムがうじゃうじゃと
一階層を埋め尽くしていた。
「なんじゃこりゃ!」
足の踏み場すらない。
「助けたスライムが、
際限なく産み落としているみたいでちゅ」
「あのスライムはどこにいる?
見分けがつかないぞ!」
そこに、普通のスライムより大きなスライムが近寄ってくる。
「おうさま。
僕の眷属を増やしてやったぞ。
人間たちはまだ来ないのか?」
こいつなりに、恩返ししているつもりか?
「こんなに増やしてどうするんだ?」
「人間が来ると思って、産み落としたのに、
冒険者が来ないな。
情報収集もできないや」
「情報収集?」
「僕の眷属は、魔力の塊。
だから眷属の彼らが死んだら、
僕に情報が入ってくるんだよね」
よく分からないけど、分身体のような感じだろうか。
「人間でいえば細胞が動いてるって感じかな?
違うのは、魔力を含んでいるってことだけどね」
なるほど。
「魔力は僕の魔力だから、僕のものだからね。
死ねば魔力も僕に戻ってくるってことさ」
そう言えば、意志がないって言ってたな。
「こいつらに意思がないってことは、
殺されても痛みを感じないってことなのか?」
「そうだね。
条件反射で攻撃はすると思うけどな」
こんな、何も考えてない奴に……
細胞の塊にも、俺は勝てないってことか……。
<天敵だからな>
俺は何て弱いんだ。
いや、そんなことはどうでもいい。
魔法が使えるようになったんだからな。
<お前は我の力を得たのだから、弱くは……>
そうだ!
「お前は何で、そんなに体が大きくなったんだ?」
「産み落としたスライムが分裂して多くなってきたんで、
今は吸収してるところだよ」
そういえば……
ダンジョンはスライムを産み落としてないって言ってたな。
「吸収ね……
それで、何を食ってスライムは成長するんだ?」
「成長は戦闘で勝てば成長?
成長というより進化だね。
何を食うかと言われれば、何でも食べるよ」
「ちょっと待て、
俺の血も吸収して進化するのか?」
「この前、吸収したのは魔力だけだな」
「俺の血を吸収したら、
情報収集で、止血も出来るってこと?」
「たぶんね。
血をくれるの?」
<ほう。
それは良いことを思いついたな。
さっさと血をくれてやれ>
なんだよ、妙に乗り気だな。
俺は自分の手を切りつけ、スライムに血を吸収させた。
血を吸った瞬間、スライムの体が赤く染まった。
ぷるぷると体を震わせながら、ピョコピョコと飛び跳ねている。
「おうさま……なんか、力が湧いてきたぞ」
<よくやった。サンク。
上出来だ!>
ああ、そうだな。
俺にとっても良いことだ。
血に色に染まったことで、
他のスライムと見分け出来るようになったからな。
「そうだ。
お前にも名前を付けてやろう」
「僕にも名前くれるの?」
「レッド。
レッドにしよう」
<そのまんまか!
我は好きだがな。
フハハハハ!>
えらく上機嫌だな。カンカイは……。
<当たり前だろ。
これで天敵はいなくなった>
何を浮かれているのか知らないけれど、
カンカイも、面白いところがあるんだな。
「ありがとう。
これで、僕もダンジョンの仲間入りだね」
レッドもダンジョンの仲間となった。
仲間が増えたのは嬉しい。
そういえば、このスライム。
どうやって分裂してるんだ?
「分裂するてことは何か養分を得ているってことだろ?
今は何を食ってるんだ?」
「あ、そういうことね。
それならダンジョンの魔力を貰ってるから、
王様の魔力を食ってるってことだね。
王様はダンジョンの魔力と繋がってるから」
「はあ?
ダンジョンの魔力と俺の魔力が繋がっている?
なら、俺の魔力はどうなってる?」
<それは人間の生命力を魔力に変換しないと……
魔力が尽きて死ぬな>
「マジか!?
人間が来ないと、俺は死ぬのか!?」
<そうだな……。
繁殖力の繁殖力も、想像以上だな>
そんな時、前に追い払った冒険者が、
仲間を引き連れて、ぞろぞろと訪れて来た。
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