9話 成長
次の日。
廃墟のダンジョンに、活気が戻ってきた。
スライムが一階層に、ちらほら出現し始めていた。
仲間になったスライムの影響だろう。
<違うな。
ダンジョンは、まだスライムを産み落としておらん>
魔王の話なんて聞いてたら騙されるだけだろ?
死んだ爺ちゃんが
「悪い奴のいうことなど聞くな」って言ってたからな。
これで冒険者が来れば……。
「なんだか、ダンジョンらしくなってきたな」
<魔王だが、我はお前に能力を与えたのじゃぞ>
知るか。
「な、コノハ」
「はい、おうちゃま。
でも、まだ一階層しかないでちゅ。
人間が来ないとダンジョンも成長しませんでちゅね」
「ダンジョンが成長する?」
<そうだ。
人間の生気をダンジョンが吸い、
魔力は循環する>
ダンジョンが成長するなんて、ワクワクする。
<それは、王も強大な魔力を……>
「人間を……
冒険者をこのダンジョンへ来やすくすれば、
成長するってことだな」
<……ふう>
「はいでちゅ。
人間が来ることで、ダンジョンは成長するでちゅ」
俺は、こう考えた。
もう、ここに住み着くと決心したんだから、
魔物は一緒に暮らす俺の仲間だ。
俺のことを「王」と呼んでくれて、
なんだか悪い気はしない。
新たなダンジョンとして生まれ変わり、
魔物たちも弱い。
だから回復魔法しか使えない俺のことでも、
見た目がカンカイと似てるから、
王様と呼んでいるってことだろう。
俺も王様らしく、
魔物の暮らしやすい環境を、
のんびりと作っていこう。
<我の話を聞こうとしないが、
我とは違う、新たなダンジョン作りは、
お前らしくて良いかもしれんな>
<追放された恨みを人間に向けた我よりも……>
カンカイさんよぉ。
何があったか知らないけれど、
魔法を使えるようにしてくれた恩は忘れないぜ。
今は、魔法を使えるようになったし、
仲間もできた。
独りぼっちだった俺を、
こんなに楽しい思いにさせてくれたことは、
礼を言うよ。
ありがとう。
だから……
冒険者がダンジョンに来やすい環境を整えなければな。
そう思った。
しかし――
数日が過ぎると、スライムがうじゃうじゃと
一階層を埋め尽くしていた。
「なんじゃこりゃ!」
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