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君の瞳に映る笑顔


今日は有崎の卒業式。

有崎の家で高野はネクタイの調整や髪をワックスで少しふわっと

くせを付けたりと支度を手伝う。

「冬真はカッコイイから何でも似合うな」

有崎はいつもと違う髪型に少し恥ずかしそうだ。

「そんな事ないですよ…似合ってますか?」

高野は微笑んで

「凄くイイ!」

「本当?」

「うん!」

高野は優しくキスをする。

「あ、ありがとう…」

照れている有崎を高野は可愛く思うが言葉にしたら怒られそうで

笑顔で隠した。

「そろそろ時間だな」

高野と有崎は家を出て駅まで一緒に歩く。

「いってらっしゃい!」

高野は有崎に手を振り微笑んだ。

「行ってきます」

有崎も微笑む。そして駅の中に消えて行った。

「さてと、俺は…」

高野も買い物に行くために歩き出した。

有崎は卒業式の後、謝恩会やら、同期会やらで遅くなり、

次の日には沖縄に旅立った。高野とは電話で喋ったが会う事は

出来ず、有崎は帰ったらすぐに行きます!と寂しそうだった。



休み明けいつもの様に舘石と昼食を取っている時に

舘石に想い人と付き合う事になったと報告したら

「え~~~!そうなの~!色々聞きたい教えて~~」

とワクワクして目を輝かせている。

「もったいないので、秘密です」

高野は含み笑いをすると舘石は不満の声を漏らす。

「何それ!私、聞く権利あると思うわよ!」

「無いですよ」

ぶすくれる舘石だったが”良かったね”と微笑んでくれた。



旅行から帰った有崎は高野の帰りを待って一緒に家に入った。

「疲れているのに大丈夫?」

「大丈夫です。これ、お土産です!」

大きな袋から大量の沖縄土産を出す。

「…凄いな…」

「一緒に食べたくて…」

「嬉しいよ、ありがとう」

有崎は高野を見つめていた。高野は微笑みキスをする。

「……んっ…」

会えなかった時間の分、長く想いを込めて…

ゆっくりと唇を離すと高野のお腹が鳴った。

「うっ…ごめん、ムード壊した…」

有崎は笑ってソーキそばあるから作りますねとキッチンに向う。

「冬真、明日は休みだし…泊まる?」

「は…うん、泊まっていい?」

「もちろん、ゆっくりしよう」

ソーキそばを食べ卒業式と旅行の話しを高野にした。

髪をセットしてもらったせいか告白をしてくる女子が

多数いたことは内緒にしておく。

ふたりでベッドに横になると有崎は抱き付き頭を埋める。

「今日は疲れているだろう…」

「疲れて無い…」

高野は有崎の頭を撫でる。そして深いキスをして

離れていた寂しさを埋めるように身体を重ねた…



朝を迎え今日は中嶋の引っ越しの日。

中嶋の家に行くとほとんどの荷物が運び出されていた。

「何も無くなっちゃったね…」

「うん、でももう寂しくないだろう」

中嶋は少し離れた所に立っている高野を見て言う。

「うん…でも少し寂しいよ…けど、これからも変わらないよな」

「ああ、何時でも会いに来るよ」

有崎は微笑んで頷いた。”これ、高野さんから”と小さな

紙の手提げ袋を渡した。

「………」

「高野さんから聞いた。ありがとう」

中嶋は驚いた顔をしたが微笑み袋を受け取り高野の方に歩く。

「男、見せましたね!冬真の事をよろしくお願いします」

「中嶋君…冬真と一緒に幸せになるよ。ありがとう」

中嶋は微笑み袋を持ち上げて”ありがとうございます”と言い

高野から離れた。そして中嶋は彼氏と一緒に行ってしまった。

ちょっと寂しそうな顔をしていた有崎だが高野に向き

「高志さん、この後ヒロ誘ってお昼食べませんか?

 俺、作りますから」

「何処かに食べに行ってもいいよ」

「いえ、作りたいから…ヒロにもちゃんと言いたい…」

高野は微笑み頷いた。浩章に連絡をし、買い物をして家に着くと

浩章もすぐに着いた。

「お邪魔します…俺…お邪魔じゃない?」

浩章はそっとソファーに座る。

「ヒロ、色々ありがとう。高志さんと付き合う事になれたのは

 ヒロのお陰だと思ってる。だから邪魔なんて言わないで!

 俺、ヒロと今まで通りに付き合いたい。一生弟なんでしょ!

 高志さんとも今まで通りにして欲しい」

浩章は驚いたようにふたりを見た。もうふたりには関わる事が

出来ないと思っていたから…

「浩章、俺も同じ思いだよ。今まで通り!」

高志も微笑み優しく言う。

「冬真~~~~!ありがとう!!」

浩章は有崎に抱きつこうとした…が、高志に襟首を持たれて

抱きつくのは無し!と止められた。

「うっ…制限は有るのね…」

しゅんとした浩章だったが嬉しそうに笑った。

「ところで明日、桜を撮りに車で出掛けようと思っているけど、

 ふたりとも行かない?」

「え?…俺も行っていいの?」

浩章が遠慮がちに言うと

「もちろん!」

ふたりが声を揃えて言う。

わーい!と言った浩章の目には微かに光ものがあった。




日々は過ぎ明日は有崎の初出勤日、夜有崎は高野の家に来ていた。

「明日は本当に一緒に行ってもいいの?」

ソファーでコーヒーを飲んでいると有崎が確認する。

「いいよ、用意はして来ただろう?」

「うん」

高野のクローゼットには有崎のスーツも掛けられていた。

ネクタイは高野に貰った物がセットしてある。

「そうだ…」

高野は立ち上がり引き出しから革で出来たキーケースを出し

有崎に渡した。

「綺麗なキーケースだね」

それは貰ったお財布と同じ色で鍵を包める様になっていた。

「それと」

高野は鍵を渡す。

「え?」

「ここの鍵。何時でも来ていいから、俺と色違い」

と言って自分のキーケースを見せた。

「ありがとう!嬉しい」

有崎は手の中のキーケースと鍵を嬉しそうに見つめた。

「そうそう、中嶋からペアのキーホルダー使わせて貰いますって

 連絡来てた。ありがとうって」

「そうか、気に入ってくれるといいな」

「気に入るよ!」

「ならいいけど、さて明日は早いから寝ようか」

「うん」

有崎は緊張して寝られないかと思ったが高野の温もりでぐっすり

と寝る事ができた。


朝、玄関で有崎は最終チェックをされている。

「うん、これでいい感じ!」

「ありがとう。これで自信を持って行ける!」

高野は微笑む。有崎は背筋を伸ばして言う。

「今日からよろしくお願いします!高野先輩!」

「なんかくすぐったいな~、頑張ってくれよ有崎君!」

ふたりは笑い合い軽いキスをして

「さて、時間だ!行こうか」

「はい」

微笑み軽やかに歩き出すふたりの瞳には互いの最高の笑顔が

映っていた。


                 END


君の瞳に映る笑顔  ご覧いただきありがとうございました。無事に有崎も社会人となり高野と同じ会社で頑張っていくと思います。その中で色々と問題もあるかと思いますが…

もうすぐ4月、入学、進学、入社、移動等節目になる時期です。皆様も良き新しい出会いがある事を祈っております。本当に長い間お付き合いいただきありがとうございました。少しでもほっこりして頂けたのなら幸いです。

                       あらかると

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