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姉、襲来

あの夜から数日が立った、ある日のことだった。

今日は休日。そのため特に用事が無かったレイは一人悪戦苦闘していた。

「ハァ、また失敗してしまいました、ホントに出来るようになるのでしょうか。」

美南に教えてもらったお菓子作りに取り掛かっていたのだ。

そんなレイを横目に祐輔は声をかけた。

「レイ、俺は部活に行ってくるから、ドアを締めておいてくれ。」

「部活、ですか?」

「あれ?言ってなかったっけ?じゃ、とりあえず今度部活について教えるから、ひとまず行ってくるよ。」

「分かりました。・・えぇーっと、い、いってらっしゃい、、、ませ。」

「あー、さすがにまだ慣れないか、」

出来なくて謝るレイに祐輔は思わず微笑んだ。

そう、実はあの夜のあと、

「なぁ、俺達家族になるんだし、敬語、変えないか?」

「・・敬語をやめろ、と言うことですか?」

「まぁ、出来たらでいいけどな、」

「・・家族ならそれが普通なのでしょうか?」

「家族に敬語を使うやつは見たことないかな、だから少しでも慣れてほしいっていうか、」

「フフッ、分かりました。家族として、頑張らせていただきます!」

そんな事を思い出しながら、祐輔は玄関へと向かった。

「じゃ、行ってくる。」

ドアを開け外へ出た祐輔は少し歩くと、誰かとすれ違った。

ーー誰だ?

思わず懐かしい気がして振り返ったが、もう誰もいなかった。気のせいか、と思いつつ祐輔は学校へと向かった。


    ***


ガチャ

どうすれば完成するのか悩んでいたレイを現実に呼び覚ましたのは、何者かが玄関を開ける音だった。

その音を聞いたレイは祐輔が帰ってきたのだと思って玄関へと向かった。

「お帰りなさい、祐輔さ・・えっ?」

「えっ?」

どこか祐輔に似た顔立ちの知らない女性が立っていた。


  ***


その後、部活から帰ってきた祐輔は意気揚々と下校道を歩いていた。

「今日は部活が早く終わったし、帰ってオンラインゲームの続きでもやるか!」

と意気込みながら玄関のドアを開けた祐輔はその光景を見て思わず絶句した。

いつもより靴が多いのだ。それも女性用だ。やけに大人っぽいので、美南のではないだろうと思いつつリビングのドアを開けた。

「・・・やっぱり来てたのかよ、来るときは連絡してくれって言ったじゃねーか。」

「いいじゃん、姉が弟の家に無断で入っちゃだめなんて法律ないだろ?」

この女性は俺の姉の林 由利。俺とは小さい頃に親戚の家に引き取られたため別居していたが、最近では、たまに勝手に家に入っては、なにかしてから帰っていく嵐みたいな姉だ。

「てか、なにしに来たんだよ!絶対碌なことじゃないだろ、」

「あらあら、せっかく愛しの姉が帰ってきたっていうのに、その反応は頂けないねぇ。フフッ、そんなことより、こんなに可愛い子をどっから連れ込んできたんだい?」

レイのことをチラッと見たあとニヤニヤしながら聞いてくる姉に、内心しまったっと思った。

この姉のことだ、レイを見つけたらきっと玩具みたいに遊んでくるだろう。

大丈夫か!?と思いつつレイを見ると、案の定、顔を赤くして目を瞑っていた。

なにやってくれたんだよ、姉貴!!と思わずツッコミながら

「レイ、姉貴の言ってたことは全部信じなくていいからな!」

とひとまずフォローをいれると

「え?信じなくていいということは林様の言っていたことは嘘っだたのですか?」

若干悲しそうに言うレイに困惑した。

「うわぁ〜、祐輔がレイちゃんを裏切ったぁ〜、」

本っ当になにやってくれたんだよ!と祐輔は一人、姉を恨んだ。

「で、マジで姉貴は何しに来たんだよ、」

「特に理由はないけど、ちゃんと生活できてるのか気になっちゃったからかな。」

「まぁな、今じゃレイにも手伝ってもらってるから、結構楽になってきたのもデカいけど、」

「なら言うことはありませんね。・・それで、どこで攫ってきたの?こんな可愛い子を。まさか薬でも使ってるんじゃないだろうね!?」

「さすがにそんなことしねーよ!簡単に説明すると、いきなり家にレイが来たんだよ。」

「ふーん。あ、レイちゃん麦茶組んでくれない?」

「分かりました。」

それぐらい自分でいけよ、と言おうとしたとき由利は真剣な顔で聞いてきた。

「祐輔、あの子AIなの?」

!?驚きのあまり、俺は姉貴を凝視した。

「すごく精密に作られててびっくりしたわ。」

「なんで、分かったんだ?」

「さぁ?姉の勘ってやつよ、祐輔と思いの外仲が良さそうだったから何も言わないでおいてたけど。でもそんなことより、あんたはどうなの?母を殺したAIをまだ憎んでるの?」

「・・・憎んでいないと言ったら嘘になる。でもレイは違う。母さんを殺したやつじゃない。それに、俺達は家族になったんだ、俺はレイに笑ってて欲しいから。」

「フフッ、祐輔も大人になったのね、感心、感心!」

そう話していると、レイが麦茶を持ってやってきた。

「麦茶、組んできましたよ。」

「お!ありがと〜!」

お礼を言って麦茶を受け取った由利はそれを一口で飲み干すと、レイに言った。

「祐輔と家族になったって聞いたわ、祐輔と家族なら私とも家族ってことだから、困ったことがあったら姉である私に何でも相談しなさい!」

「はい!お世話になります。林様!」

「どっちも林じゃ分からないでしょ?私のことは、由利姉で構わないわ、」

「分かりました。由利姉様」

「うむ、よろしいです、」

なにやってんだよ、とため息をついていると

「じゃ、私は帰るわ。二人とも頑張ってね♪」

そそくさと荷物をまとめてリビングを出たと思ったら、あっ!と声がした後

「レイちゃん、祐輔のタイプっておしとやかな女の子だから、チャンスありよ!頑張って♪」

最後の最後に爆弾発言を残し、帰っていった。

思わずレイを見ると

「べ、別にそういうつもりじゃありませんからね!」

と家に帰ってきたとき以上に顔を赤くしてレイは言った。



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