レイと洋服とショッピング
「今日はたくさん楽しむぞ〜!」
そんなやる気に満ち溢れた美南の声とともに二人のショッピングが始まった。
ここは市内最大のショッピングモール、通称レサメットモール。
そんな場所に、今日はレイと美南が二人で来ていた。きっかけは、レイの深刻な服不足が原因で起こったのだ。
ある日のこと
気の進まない勉強をするために、祐輔重い足取りで勉強机の椅子に座った。
「高校入ってからムズすぎるんだよな、物理とか分かんねぇよホントにな〜」
と半ば現実逃避をしながら周りを見渡していると、洗濯物を頑張って畳んでいるレイに目が止まった。
レイがここに来てまだ1ヶ月しか立っていないが、レイは飲み込みが早い。もう洗濯物に関しては祐輔よりも手際良く進められるだろう。レイはAIである以前に一人の女の子なので、レイが来てからというもの祐輔は洗濯に関して何もすることが無くなったのだ。が、ここで祐輔に一つの疑問が湧いた。
「なぁ、レイ。レイっていつも服の柄が変わんないけど、何着ぐらい持ってるんだ?」
ビクッ!という効果音がつきそうなくらい驚いたレイは渋々言った。
「・・・だいたい、、2着ぐらいです。」
「ふ~ん。」
レイが何故言うのを躊躇ったのかは分からないが、こういうことは今一分からないため、美南に相談することにした。
「というわけで、レイの服が足りないらしいんけど、あんまり女子の服とかわかんないから頼めないか?」
「へぇ~、うん。いいよ!わたしもレイとショッピングとか行ってみたかったから!」
「本当か!助かるぜ、ありがとな」
という過程でこうなったのである。
「ということで、ここが地域で一番大きいショッピングモールです。どう?すっごく大きいでしょ、」
「はい、こんなに大きい建物は初めて見ました。中も綺羅びやかですね」
「じゃあ、早速服を探しに行かない?おすすめの場所があるの」
「分かりました、行きましょう」
二人は人の多いモールの中を歩き始めた。
「今回の服の件だけど、どうせ祐輔がいろいろ言ってきたんでしょ?」
「はい、まぁ」
レイはどこか気恥ずかしそうに答えた。
「祐輔は乙女心が分かってないのよ、女の子が一番自分の服のことを気にしてるんだから、」
レイはただ無言でうなずいた。
「レイ、そう言えばあの後祐輔とはどうなったの?なにかあった?」
「祐輔さ・・コホンッ祐輔君とはあれから家族になりました。」
(無事に敬称をつけずに呼ぶことが出来ました!)
「へぇ~、あの祐輔と家族に。良かったねレイ。
で、どこまで行ったの、祐輔と、」
「どこまでも何も、そういう関係ではありません」
そう言うとレイはプイッと顔を反らしてしまった。
(祐輔と家族にかぁ、順調だね)
「とうちゃーく、ここがそのお店。ミラクラって言うんだよ。」
「ミラクラ・・そう言えば祐輔君もそのようなブランドの服を持っていた気がします。」
「でしょ?さ、レイに似合う服を探そ。祐輔をギャフンと言わせてやるんだから!」
「服と言っても、あまり良し悪しが分からなくて、、、」
「大丈夫、そこは私に任せて!」
と自信満々に胸を張ると、いくつかの服を見繕ってきた。
「ひとまず、着てみてから考えましょ」
・・試着中・・
「ッ//・・これはさすがに恥ずかしいです。」
レイに着せたのはチャイナ服。祐輔が好きそうな服だし、遊び心があったからなぁ
「せっかくこんなに美人の人形・・じゃなくてモデルがいるんだから、ね?お願い
それに、祐輔の好きそうな服も見繕うからね?」
「・・わ、分かりました。それなら構いません、、」
洋服店の視線を集めているとは露知らず、その後も美南のお遊びは続いた。
その後いくつかの服を買った後に二人はフードコートに来ていた。
「うーっ、こんなにも疲れるものなのですか、ショッピングと言うものは。」
「ま、まぁ気を取り直して最後にゲーセン行こ?」
(うーん、ちょっと遊びすぎちゃったかなぁ)
「ゲー、セン?」
「そうそう、ちょうどフードコートと繋がってるし、すぐそこだよ。」
そう言うと、美南はレイの手を連れてゲーセンへと入っていった。
「いろいろなものがありますね。」
「うん、ショッピングモールでの遊び場だからね。メダルゲームとかはあんまりやらないから、クレーンゲームやろうよ!」
「クレーンゲームとは?」
「説明より見たほうが早いから、」
美南は近くにあった橙色のマスコットぬいぐるみのクレーンゲームをやり始めた
美南が操作していたアームはぬいぐるみに引っかかりそのまま穴に落ちていった。
「クレーンゲームの商品は多少の金額がしそうですが、クレーンゲームだと100円でとれるものなのですか?」
レイは100円を入れながら聞いた。
「うーん、まぁ私は結構上手い方だけど、レイはまだ始めたばかりだから「あ、取れました。」・・」
「え・・、私のアイデンティティ奪わないでぇ」
「え?あっごめんなさい、えぇとまぐれだっただけです。それに、まだ始めたてですから、その・・」
「・・ッフフ、アハハッ面白いねレイ、こんなに笑ったの久しぶり、」
「えっと、怒ってないのですか?」
「ぜーんぜん、むしろこんなに楽しませてもらって申し訳ない気分だもん」
「わ、私も今日はとても楽しかったです。」
そんなレイの答えを聞いて
「・・私達、友達にならない?」
「とも、だちですか?」
「うん、レイと遊ぶのすっごく楽しかったし、これからも遊んだりしたいなって思って、それで・・」
「友達というのは、普段遊ぶものなのですか?」
「!、そうだよ!他にもLANEで電話したり、一緒に勉強したりする友達、」
「ーーなりたいです、美南さんと友達に」
「ほ、ホント!じゃあLANE交換しちゃおう」
二人はスマホをかざして連絡先の交換をした。
「初めての友達でとっても嬉しいです。」
「私もこんなに素を出せたのは初めてだから、これからもよろしくね!」
「はい!」
スマホとにらめっこするレイを横目に祐輔は問いかけた。
「レイ、美南と随分仲良くなったんだな?」
「え!?あ、はい。友達ができました。」
嬉しそうに口を緩めるレイを見て、祐輔も微笑ましい気持ちになった。
「今日のショッピング、何かいいことでもあったのか?」
「・・・・」
「・・どうしたんだ?」
「お、乙女の秘密です!」
そう言うとさっさと部屋に戻って行ってしまった。
「本当に何があったんだ、レイ?」
一人残された祐輔はただただ呆然と立っていた。
「うぅっ、ちゃんと言えたのでしょうか」
レイの見つめるLANEの画面には、
”美南のワンポイントアドバイス”
”祐輔に暴かれたくない事を聞かれたら乙女の秘密って言って誤魔化せば通せるよ”




