第15話 探索
「まさか本当に洞窟があるとは」
「知識は力なりとはよく言ったものでござるなぁ……」
あれから少ししてマシュウ達と合流したノートゥーン達は、今度は壁走こそしなかったがノートゥーンの無茶苦茶な移動方で数時間とせず洞窟前へと戻って来ていた。
「まぁまさかノートゥーン殿に拙者も含め2人まとめて抱っこされた上に、林の中をあんな無茶苦茶なスピードで移動するとは思ってなかったでござる」
「いやぁ、ノートゥーンさんがあんな力持ちだったとは……私も鍛え直さなくては。さて、それでは洞窟に行くわけですが、皆さんこれを」
「これは?」
「浄化布だよノーちゃん。洞窟は空気の流れが悪いから毒が充満してたり空気が澱んでる事が多いの。だからそれ対策にこの浄化布を口元に巻いておくの」
「なるほど」
「一応私達の分も用意してはいたんだけど……いいんですか?こんな上物の道具を使わせてもらっちゃって?」
「勿論、一時的とはいえ我々は仲間。一人が倒れればその分の負担を被るのは全員になりますからね」
「その通りでござる。だからこそ時々いるパーティーを組んだ相手が初心者だったりした時に見下したり大切に扱わぬ輩の考えが分からんのでござるよなぁ」
「あぁ、時々居ますよねぇ。新人イビリやらパーティー組んだ仲間を見捨てるよく分からない連中が。絶対に無さそうですがお二人はそんな冒険者になってはいけませんよ?」
2人の反応を見るに冒険者あるあるなのだろうそんな話を聞かされながら、ルシィーナ達は受け取った浄化布を口元へと巻き、2人に続き洞窟へと入っていくのだった。
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「さて、鉱石取るなら深い所がと思って来たらいいもの……まさかここまで豊作だとは」
「持ってきたアイテムポーチやら圧縮箱の大半が1日かからず埋まるとは……全く、驚きでござる」
鉱石でいっぱいになった一定量のアイテムを仕舞って置くことの出来るアイテムポーチと、様々な物を小さくして仕舞う圧縮箱を天裂は懐に仕舞いながらそう言う。
「それだけ人の手が一切ついてない未踏の地だったって訳ですよね。まだ冒険者になって日は浅いですが、これ程迄に冒険者冥利に尽きる事はない、ですよね!」
「お、ルシィーナさん分かってますねぇ。まぁ……こんなに短時間で大量の鉱石が手に入るのは──────」
「シィー、このピンクの水晶はなにー?」
「えっ、凄い!それオリハルコンだよノーちゃん!」
「おぉ、これがオリハルコン」
「あの無尽蔵のスタミナと並外れた探知力を持つノートゥーンさんのお陰ですね。尻尾があるから獣人なのでしょうが、本当にただの獣人なのでしょうか」
「それを本人に聞くのは御法度でござるよ、マシュウ殿。我らに牙を向けぬならそれでよし、でござろう?」
「ハハッ。そうですね。それに……」
「ねぇシィー、ここら辺の壁若干キラキラしてるんだけど」
「んー……あ、本当だ。よく気づいたねノーちゃん。どれ……おぉ、ノーちゃんこれ魔力通るからミスリルだよ」
「そうなの?ミスリルって緑っぽくなかったっけ?」
「ミスリルは精錬して純度が高くなる前はこんな感じなんだよー」
「へー……!」
「あんな微笑ましい方々とのせっかくの仲を裂くような真似、こちらからお断りです」
遠目に次々と鉱石を見つけてくる妹と、その鉱石を見極める姉を見て、マシュウは天裂へそう呟くのだった。
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「さて、では鉱石も充分、入口と同階層の地図化も最低限は出来ましたし、一旦ここで探索は切り上げて報告に戻りましょう」
あの後、洞窟内の地図を作りながら鉱石採掘を進めた一行は手頃な広さの周囲の地形を把握できている場所で休息を取りながらこの後の話をしていた。
「それはここが広すぎるから、ですか?」
「ですね。確認しただけでも下に降りる場所が5、上に行くのが8、分岐から100m進んで先が見えないなら引き返すくらいの探索でもこれは正直手に負えません」
「やっぱり、そうでしたか」
(ノーちゃんはどう?竜の場所とかは掴めた?)
(翼を目にして走り回らせてるけどダメだね、広すぎてまだここ含めて数回層分くらいしか把握できてないし、ここ全然全貌が掴めないよ)
(そっかぁ……まぁ今回はここまでって感じだねぇ)
(仕方ないね……って)
「なんか……ゆれてる?」
「あ、本当だ。ちょっと揺れてる」
「地震でござるか?」
「……いや、これは揺れが近づいてきて──────全員回避!」
マシュウのその叫び声に合わせ、それぞれ近くの通路へと飛び退り、突如地面から飛び出してきたその巨大なゴツゴツとした物を避ける。
「これは……竜?!」
「まさか伝承は本当だったでござるか?!」
「いや違う!こいつは竜じゃない!シィー!」
「とりあえず土煙を払います!空圧砲陣!」
襲撃して来た相手の巨大なシルエットに2人が驚く中、ルシィーナが周囲の土煙を風の防弾で吹き飛ばすと、そこには甲殻に覆われたずっしりとした巨体の魔物が居た。
「ハハハ……これが竜と言われても私は驚きませんよ」
「でも翼がない。ならこいつは竜じゃないよ。力的にも……うん、やっぱりこいつは「混ざり物」だ」
「うむ。大きさこそ異常でござるが、こいつは土蜴で竜ではござらぬな」
「なら倒すのみ、ですよね!」
「うん!」「うむ!」「あぁ!」
自分達では勝てない相手ではない、そう判断した四人はそれぞれ武器を構え、目の前の敵へと向かうのだった。




