第14話
「でもやはりあれだけの威力を出せるというのは、親和性以上にきちんと陣や起こしたい現象をはっきり思い浮かべていたからですし、自信を持っていいですよ」
「はい、ありがとうございますマシュウさん!」
「ノートゥーン殿もよくあの大魔法の中ですり抜けて来た狼に対処出来たでござるな」
「ん、シィーに手出しはさせない」
「はははっ!やはりノートゥーンさんは頼りになる妹さんですねルシィーナさん。さて、目的地が見えてきましたよ皆さん」
うっすらと朝霧立ち込める森の中、昨夜の一件について話しながら歩いていた4人は木々の間から覗く岩壁を目にし歩みを早める。
そして更に少し歩みを進めると……
「さて、ようやっと着いた訳ですがこれは……」
「でっっっっかいでござるなぁ」
「おぉー……」
「まさかここまで大きいとは……」
両端の見えない高さが50mはあるであろう巨大な崖が現れ、それを見た4人はそれぞれ様々な反応をしたものの、その壮大さに圧巻されていた。
「凄い大きさだけど……それよりも目を引くのは、この傷の多さだね……」
「そうでござるな……一体何が暴れたのか」
「小さいのはただの傷跡から大きいのは数メートルも……ただ傷跡は古い様ですし、この場に傷跡の主がいなさそうなのは救いですね」
「そんな事どうでもいいでしょ。さっさと洞窟さがそ洞窟」
「そうだねノーちゃん。さて、それじゃあ洞窟だけど……」
「二手に分かれて捜索するでござるか?」
「まぁそれで行くしかないですよね。では2、2で別れて見つけ次第相方が報告にといった感じで」
ルシィーナの提案に加え、見つからなかった場合反対側に行くとだけ約束した4人は、互いの武運を祈るといつもの2人組に別れて散策し始める。
「とはいえ……まだ少し歩いたくらいだけど霧が晴れても端が分からないし、これは行って戻るだけでも何日かかるかな?」
「……はぁ、ねぇシィー。わざわざバカ正直に歩くつもりなの?」
「へ?いやズルできるならやりたい事だけど……あ」
「ったく、数ヶ月能力使ってないだけで忘れないでよね……っと!ほら、乗って』
「うん!えへへ、ありがとノーちゃん」
『はいはい。飛ばすからしっかり捕まっててよ!』
体を変形させ、長い手足に固く長い爪、短い首と尖った頭に翼をマントの様な姿にした竜に変形したノートゥーンは、そう言って背中にルシィーナを乗せて走り始める。
「た、確かに森は走りにくいだろうけど……壁を走るのは勘弁してよね、ノーちゃん……」
『でもその走り方のお陰で1時間しないうちに着いたんだし結果オーライ、でしょ?」
「まぁそうだけど……でもこれはなかなか、立ち入るのには勇気が要るねぇ……」
「どう見ても普通の作られ方で出来たって感じではないよねぇ。なんかの攻撃が当たった拍子に出来た……みたいな」
「そんな感じだろうねぇ……だとしてもここまで大きくて抉られてる傷跡は絶対に自然には出来ないよね」
余りにも大きく縦に切り裂かれた崖の奥に佇む暗い洞窟を見て、2人はそんな会話をしながらも恐る恐る洞窟内に足を踏み入れる。
しかし数歩足を踏み入れた途端、ノートゥーンは何かを感じたのか、一瞬足を止めた後走るのに向いた形に足を変形させて走り始めようとした所でルシィーナに捕まる。
「シィー!離してよ!」
「落ち着いてノーちゃん!何かあったの?!」
「説明なんてしてる場合じゃない!行かないと……!やっと見つけたんだ!」
「だとしても一回落ち着いて!」
普段ならすぐにでも振り払えるだろうルシィーナの羽交い締めを振り払えず、じたばたしていたノートゥーンはルシィーナにそう言われ、足を元の形に戻し大人しくなる。
「それで、一体どうしたの?突然焦って走り出そうとしちゃって」
「……シィー。この洞窟、間違いなく竜が居るよ」
「なるほどねぇ……確かにやっと見つけた手がかりだもん、焦っちゃうよね。それで竜は何処ら辺に居るの?」
「えっ……と…………遠い……いや、これは深い?この場所の下、すっごい地下深くに居るよ」
「ふむふむ。それはどれくらいで行けそうなの?」
「真っ直ぐ行けるなら数週間あれば……」
「真っ直ぐ行って数週間かぁ……それに洞窟だし真っ直ぐ行ける訳ないし、ちょっと今回は厳しいかなぁ」
「うっ……でも、うん。そうだね、ごめんシィー、少し早まった。それに、ここで分かるって事は相当な力の持ち主だし、今の僕じゃ敵わない相手だったかも」
「そんなに?」
「うん。それこそ五行とか、それくらいの強さがあると思う。それくらい山の中に踏み入ったタイミングでこの竜の領域に入ったって感じがしたもん」
ルシィーナに落ち着かされ、冷静に状況を見れるようになったノートゥーンはルシィーナが居て良かったと本気で思い、感謝する。
「とりあえず一旦引き返してマシュウさん達を呼んでこよ。そういや、ノーちゃんも竜だけどここの竜の領域に入っちゃって大丈夫なの?」
「多分大丈夫……かな?敵意は感じないし、僕も行かなきゃって考えただけで敵意はまだ向けて無かったから襲われる理由はないよ。竜は知性があるからね」
「ノーちゃんがそう言うなら大丈夫そうだね。よし!それじゃあ戻って二人を呼んでこよう!」
「おー」
「あ、でも壁走は勘弁してね」
「はいはい」
洞窟から戻り、外に出た二人はそう話しながら元来た道を今度はきちんと地面を走って戻るのだった。
次回から洞窟回であります!
そしてそれと同時に今日で毎日2話投稿は一旦おしまいですー!楽しんでいただけたでしょうか?
もし楽しんで貰えたら幸いです!
さてさて、2話投稿は終わりますが、それでも毎日1話は投稿していきますので、のこり数週間よろしくお願いしますっ!




