閑話 勇樹の任務②
相手を挑発して三人で来るよう促す勇樹。
「舐めやがってぇー!」
黒人の男がキレると待ったをかける金髪の男。
「待て!ここは相手の言うとおり三人同時で行こう。」
三人がお互いを見合いうなずくとすぐさま取り囲むように展開し始める。
「いいねこれなら少し本気を出せそうだぜ!」
先陣はチャイナ服の女性で弓を連射。次いで金髪の男がキューブを長い筒状にしてレーザーを放つ、黒人の男は日本刀を持って上空から仕掛ける。
「後ろは壁だ逃げ場はない」
金髪の男が決めきれると確信するも。弓の攻撃とレーザーをよけ、黒人の男が斬りかかってくるもこれも避けきる。後ろの壁には大穴が空き威力自体はかなりある攻撃のようだ。
「嘘でしょあれ全部避けたの?」
女性が言うが。ニヤリと表情を変える金髪の男。すべての攻撃を避け堂々と立つ勇樹に向かって一発の弾丸が飛んでくるスナイパーだ。壁が壊れたと同時に合図となり外に待機していた異能者専用の殺し屋が全魔力を乗せた弾丸を発射して勇樹を襲う。それは音もない攻撃のため回避は不能だ。だがそれは一般的な異能者に対してである。勇樹は常に自身の体から魔力を微力に流して感知できるようにしており領域の様な物が存在する。そのため攻撃的な魔力は領域に入った瞬間感知可能なのである。首を傾けひょいと避ける勇樹。
「う、うそだろ」
驚愕で言葉が出ないような顔になっている。
「なんだ?今のが狙いだったのか?暗殺されかけるなんて日常茶飯事だし簡単に避けれもするし防げるぞ。だがまあ音がしないのはすごかったな今までで初めての経験だ」
腕を組んで称賛する勇樹。
「あの攻撃は今まで避けたやつはいないんだ!政令指定者クラスのやつらでも避けれない回避不能の意識外の攻撃だったんだぞ!」
丁寧に説明してキレる金髪の男。
「ボ、ボスこいつ本当にやばいぜ今までのやつとは明らかに強さの桁が違う!」
黒人の男も戦闘不可能なほど戦意喪失している。
「私もこんなの割に合わないよ!」
チャイナ服の女性も戦意喪失した。
「仕方ない!全魔力よこせお前ら!」
最終手段とばかりにキューブの形に戻しボスと言われる男の上にキューブが置かれ魔力を吸収していく。
「ボス!これは?」
「俺らの組織全員の魔力を俺に集めてあいつを倒すもうこれしかない」
賭けに出ると宣言するボス。
「すごい魔力だわ!これならこの前発表された三人目の政令指定者の魔力を超えている!これなら倒せる!」
チャイナ服の女性がその魔力の量を語る。
「おーすげーな魔力の量が」
座り込んで様子を見ている勇樹。
「どうだすごいだろう!この魔力俺達三人の魔力にさらにここにいる奴全員の魔力も合わせた状態だ。今の俺は誰にも勝てない!」
キューブを変形させ剣のようになる。すさまじい魔力を纏い軽く横に斬るだけで壁が両断される。
「どうだ軽く振るだけでこの力!」
自信満々になり威力を自慢するボス。
「ここ最近じゃお前が一番強いのは確実だな」
「そうだろだから死ね!」
勇樹に向かい剣戟を放ちに行くと、すさまじい速度に建物が耐え切れず崩壊。そのまま勇樹を上空に吹き飛ばし先程の仲間が使った武器をキューブが複製し。手に触れず遠隔操作で攻撃を加える。
「どうだ思い知ったか!さっきまでの威勢はどうした?オルディンさんよ!」
無言で籠手を交差してガードして耐える勇樹。
「・・・・んーー惜しい」
急につぶやく勇樹。攻撃の手を止め空中で静止する二人。
「惜しい?何がだ!」
「魔力量があるのによ。なんだその適当な魔力操作は!いいか?魔力の量があれば強いみたいに思うかもしれないが結局は一撃にどれだけ圧縮した魔力が乗せれるかで威力も変わる。さっきまで、出来てたのに急に魔力が上がったら適当になりやがって」
残念だと呆れた顔になる勇樹。
「魔力量が上がれば魔力操作はそれだけ難しくなる!だがそのデメリットを無視してでもメリットが上回るほど豊潤な魔力量なら別だろ?」
何を言っているんだこいつはとお互い見ている。
「お前馬鹿かよせっかくある魔力を圧縮すればさらに強化できるのにしないほうがおかしいだろ」
頭を掻きながら答える勇樹。
「それはこっちのセリフだこの魔力量だぞ!人間にこれほどの魔力を完璧に操作できるわけがない!ましてや圧縮なんてしたらその場で爆発して魔力暴走するはずだ!」
そのセリフにカチンとくる勇樹。
「最初から決めつけやがって!見とけよお前」
勇樹は武装を解除すると新たに勇樹の体に魔力の膜が広がる広がり終わると姿が変わり。全身鎧のようなアーティファクトに包まれる。見た目はSFチックな感じと西洋鎧を合体させた様な感じだ。背中あたりにブースターの様な物がありそこから光が噴射していて青い光の羽が生えている。
「な、なんだそれはすさまじい魔力を感じる。アーティファクト自体にこもる魔力か。ということは強化系のアーティファクト!それも神器クラス」
アーティファクトにも能力が違うものがある異能のように特殊能力があるものもあるが、太一達魔法少女の杖のように魔力を内包した強化系のアーティファクトも存在する。
「おいおい何をする気だ!まさかその馬鹿げた魔力で圧縮する気か?正気じゃない!」
待てと手を伸ばすボス。
「この鎧は”光鎧ドラゴンメイギス” シリーズの全身鎧でな、一番弱いのがこれなんだけどお前の魔力よりちょっと多いくらいだから選んだ」
日本刀を取り出す勇樹。そのまま居合の構えを取る。
「一番弱い?何を馬鹿なそれにどんどん圧縮していってやがる人間業じゃねぇー」
おびえた様子で見ているボス。
「じゃあ見せてやるからよく見とけ!夜刀流居合光武 白夜!」
一瞬でアメリカ全土に白い空が浮かぶ斬撃、余りの威力にもはやビームになっており白い龍が登っていくのが見える、基地丸ごと灰と化し大規模なクレーターが出来上がる外から見たら突如として光の柱が立ち込めすさまじい衝撃を放つ異様な光景となっていた。
「よく見すぎたせいで疲れて寝ちまったか」
巨大クレーターの中に死んではいない三人が気絶していて倒れていた。勇樹の魔力操作によって気絶にとどめるように調整したのだ。まさに神業をしてのけた勇樹に電話がかかる。
「もしもし?」
「もしもしじゃないですよ!どうするんですかこんなバカげた被害だして」
華原兄がいきなり騒ぐ。
「基地はつぶせて一石二鳥だ三人は気絶しているし任務完了だろ?」
「そ、そうですが何もここまでしなくても」
「正直なところここ最近じゃ一番強い相手だったから許せ。魔神王以上がこんなにすぐ来るなんて思わなかったぜ」
「っ!本当ですか?それなら何とか上にも誤魔化せそうですね。これで山下さんの負担が和らげばいいですが」
「そうだな終わったから早く連れてけ」
「了解です」
転移で電話しながらやってくる華原兄。
「腹減ったし飯食おうぜ!ん?待てよ大統領にお願いするか!いいもん食えそうだ。そのあとはたっぷり寝たいな随分と寝てないし」
しめしめと企む勇樹。
「それはいいですね!ん?ちょっと失礼」
華原兄の電話に連絡がくる。何やら話し込んでいて長い電話になるかと思ったらすぐさま勇樹に伝言が来る。
「弟さんの太一さんが瀕死で重症ですこのままだと死ぬかもしれないと」
青ざめた顔で答える華原兄。
「なに?・・・・急いで向かう!手続きとか諸々は省く悪いがこのまま向かう!」
「僕が転移で...」
焦っている勇樹の耳には通じづ青い全身鎧を纏って足にすさまじい魔力を圧縮させ太一の元へと飛んでいくのだった。これは余談だがクレーターがさらにおおきくなったらしい。
「ま、まずいぞー早く病院に連絡しないと大パニックになる!それに統括にもーあーもう!」
災難な華原兄 ”華原 サー” であった。




