26
朝だ。
あー昨日はそのまま寝ちゃったんだった。
とりあえずクリーンをかけて着替える。
軽くメイクしながら考える。
森に帰ろう。
何か理由を作らないと無理かなぁ。
1人じゃ帰らせてくれないかもしれない。
どうしよう。
ドアがノックされて
「リリー起きてるか?」
ユーグさんだ。
起きてるけど寝てたらどうするんだ?
ドアを開けて
「おはようございます。」
「よかったぁ。この前のように出て行ってなくて。おはようリリー。ゆっくり寝れたか?」
あぁ、また出て行ったかもと心配してきたんだ。
ごめんよぅ。
さっき起きたから。
「ユーグさんも寝れた?お腹空いてるから早く食べに行こう!」
「そうだな。」
一緒に食堂に向かう。
バジル様が待っていた。
オレール様はアリーヌ様が疲れているから部屋で一緒にとるそうだ。
仲が良くて羨ましい。
朝食を食べ終わると話があると言って塔の部屋に行く。
ディオンさんとカレンさんもいてお茶の用意をする。
バジル様が
「リリーすまないがこの2人に髪を見せてくれないか?」
「ええっと…わかりました。」
またウィッグとネットを外して髪を解く。
髪を見てめを見開いて息をのむ2人。
カレンさんは両手で口を押さえている。
「できれば偽らずにこの髪で過ごしてほしいが、その色を見るとよからぬ事を考える奴らは出てくるだろう。ユーグの婚約者として陛下との約束もあるから手を出した者は処罰できる。が陛下が取り込みたがるかもしれない。王族でも手出ししない事としてるが…」
「旦那様、リリー様ではなくユーグ様に手を出されるかもしれません。ユーグ様を亡き者にしリリー様を独り身にすれば手にいれられると。」
「もしかしたらお2人の子供を無理矢理婚約者にする事もあるかもしれません。」
おおぅ。色々な事を思いつくもんだね。
でも私のせいでユーグさんが殺されるのは嫌だ。
「やはり隠した方がいいか…」
「身の安全を考えるとその方が良いかと。」
「リリーすまない。今まで通り髪を隠して過ごしてくれ。」
「わかりました。私も危険な目にあいたくないですし、私のせいで他の人達が怪我したりするのは嫌なので気にしないで下さい。」
「ありがとう。じゃあ悪いがディオンとカレン2人は外してくれ。3人で話したい。」
「「かしこまりました。失礼いたします。」」
2人が部屋を出て行く。
「さてユーグ、ユーグも隣の部屋にいてくれ。私はリリーと話したい。」
「俺がいてはできない話ですか?」
「ああ。終われば呼ぶから部屋で待ちなさい。」
「わかりました。リリー何かあったら呼んでくれ。」
そう言って隣の部屋に行った。
「何も言わず急に言ってすまない。あの2人は口外しないから安心して良い。」
「わかりました。」
「昨日の話なんだが…リリーはどうしたい?ユーグの婚約者になっているが王族になりたいなら殿下に嫁ぐ事もできる。」
「あの殿下ってあの部屋にいた薄茶色の髪の人ですか?」
「そうだが?…まさか名乗っていないのか?」
「はい。確か…私も含めて誰も…あのオッ…ゔゔん公爵が
国王陛下と言ってたし王妃様は自分で私王妃だものとかなんか言ったような…特に名乗っていないですね。でも殿下には婚約者の方がいるんですよね?まさか一夫多妻なんですか?
無理です。ダメです。受け付けません!」
「名乗っていないのか…殿下は結婚されている。私達は一夫一妻だが王族は後継の問題があるから正妻が子供を産めなかったら側妃を娶る事がある。リリーが望むなら側妃になれるだろうが髪の事や故郷の事を知るとリリーを正妻にするだろう。そうすると今の妃を側妃にすると言う事なんだが…」
「無理です!嫌です!側妃なんてなりたくないです!ましてや正妻なんて…そんな奪いたいほどの魅力があるんですか?」
ぶふぉっ…ゴホゴホッ…
大丈夫かい?バジルさんや。
「魅力って…殿下は顔が良かっただろう?性格はまぁ腐っても王族だから。次期国王だし金もある。女性は好きなんじゃないのかい?」
「興味ないなぁ。」
「はははっ!興味ないか!」
「あっ、ないです。顔が良くてもっていうか私からすればこちらは美男美女ばかりですよ。見るだけで満足です。国王と言っても親の地位を引き継ぐだけだしお金は…庶民達の税でしょ?それを好き勝手に使うのはダメでしょう。」
「そうかそうか。ではリリーは何がしたい?何を望む?」
「何がしたい…望む事……私は美味しい物が食べたい。特別な事は何も…平凡な日常を穏やかに笑って過ごしたい。」
「そうか。平凡な日常を穏やかに…そこにリリーの日常にユーグは入っているかい?」
「ユーグさん?」
なぜにユーグさん?
わからなくて首を傾げると
「回復魔法が使える君をユーグの婚約者にしただろう?囲い込まれない為とは言え無理矢理だったからな。だから嫌なら婚約解消すればいい。ユーグに他に相手ができたら陛下には伝えるからそれまでは婚約者のふりをしていればいい。」
ユーグさんが他の女性と…
それは…見たくないな。
「あの婚約者のフリはできません。私の足を見たから責任をとると言うくらい真面目なユーグさんです。気にしなくていいのにずっと気にしてて。そんな真面目なユーグさんは仮でも婚約者がいたら好きな人ができても口説けないでしょう?婚約者がいないなら口説くでしょうから。それに私はこの世界の者ではないし庶民です。貴族のユーグさんとは身分差がありますから。」
「足を見られたのにいいのかい?」
苦笑する。
「故郷では普通です。もっと短いスカートを履いている人もいますよ。」
「…では婚約はなかった事にしていいのかな?」
キュッと胸が痛んだ気がした。
「はい。ユーグさんの気持ちがないのに責任だけで結婚はできませんから。…バジル様お世話になりました。皆様にも感謝を伝えて下さい。ありがとうございました。私はこれで失礼します。」
バタン!
バタバタバタ…
急いで部屋に戻りポーチと鞄を持つと部屋を出る。
玄関近くでディオンさんに会ったのでお世話になったお礼と家に帰る事、詳しくはバジル様に聞いてほしいと伝えて外に出る。
追いかけてこないと思うけどこられたら帰れないだろうから早足で町を抜け森に向かう。
森の近くになって振り返るが誰もついてきていないみたい。
ホッとして森の中を歩いて家に帰る。




